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「任意整理」後に支払が出来なくなった場合どうする? ~その場合二度目の「任意整理」はできるか?

      2023/10/08

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■「任意整理」の支払いが滞った、あるいは滞りそうになった場合に再び「任意整理」ができるか?

 
「人間万事塞翁が馬」人の人生って色んなことが起きるもんです。

このままでは返済しきれないであろう借金を、相手方(貸金業者)との幾度となる交渉を経て、なんとか返済条件を緩和してもらい「任意整理」に応じてもらって、ようやく借金問題を解決することができました。

「さあ~、これからは、この約束をきちんと守って返済していきながら、人生を再起動させるぞ!」と日々前向きに頑張ってきたのに、支払が遅れてしまった。それが軽微の数日程度で、すぐに入金するのであれば大して問題にはならないと思いますが

(※ もし、その遅れが事前にわかっているならば、借入先や前に「任意整理」を担当してくれた弁護士・司法書士に連絡して対処をお願いするのが信頼関係の維持するためにも大切です)

ただ、事態が大ごとで、会社が倒産してしまったとか、急にリストラにあってしまったとか、あるいは家族の一人が突然の大病で入院し、その入院費が大きな出費となってしまったとか・・・・等々の思いがけない事態が生じてしまった結果、約束した条件での支払いが長期的に続けていけなくなってしまうなんてことは十分にあり得ることです。そんな時に、そのまま放置するのはもってのほかですが・・・・。

その場合、どうしたらいいのか?

いずれにしても、毎月債務者自身が債権者の指定の口座に振り込んでいる場合は、債権者へ支払いが遅れることを連絡する必要があります。その際に支払いが遅れてしまう理由と、今後の展開をしっかりと誠意を示して伝えます。もし、一度目の「任意整理」を行った弁護士・司法書士が債務者に代行して支払をしている場合は、その弁護士・司法書士に必ず伝えます。と同時に今後についての相談もします。何もせずに放置するのはもってのほかです(弁護士・司法書士の印象も悪くなり、辞任される恐れもあります)。

そういったなか、真っ先に、思いつくのは、相談に応じてもらった貸金業者に、もう一度相談に乗ってもらう、つまりもう一度「任意整理」をお願いしてみるということですが、果たして、それは可能なのでしょうか?

そもそも「任意整理」というのは、裁判所が介入することなく二者間の交渉のみで、両者が納得し合意さえすれば、どのような解決案であろうと自由なわけです。「任意整理」は、まったくの私的な債務整理手法だからです。

だから、相手方(貸金業者)が再度の「任意整理」に応じてもいいと言ってくれたなら、それが二度目であろうと、三度目であろうと、四度目であろうと、何度でも「任意整理」できるのです。

ただ、理論的には可能だとしても、相手方(貸金業者)がそれに応じるかどうかは全く別問題であり、実際は応じてくれる可能性はなかなか難しいかもしれません。そう思って再度交渉を持ちかけた方が間違えないです。

なぜなら、初回の「任意整理」の交渉の段階で、お互いに真剣に解決へ向けて取り組んだはずです。

そこには経過利息(未払い利息)、将来利息、遅延損害金のカット、あるいは返済スケジュールの見直しとか、お互いがギリギリの条件を出し合って、妥協できる最終の解決案を両者の合意を経て作成したはずでしょうから、基本的にはさらなる条件譲歩というのはなかなか困難だろうし、断られてしまうケースも十分あり得ます。
 

 
返済困難に陥った事情が自分のせいではないので、その心情は理解できるとしても、そういった真剣に向き合って生まれた合意案、解決案であったにもかかわらず、約束を果たせなかったのですから、債権者(貸金業者)の期待感というか信頼感は損なわれたといっていいでしょう。

だから、再度の「任意整理」をお願いをして、もう一度受け入れてくれるには、かなりハードルの高い交渉となることが目に見えていて、それを乗り越えなければなりません。

そもそも、二度目の「任意整理」の申し出をすること自体が、債権者の債務者に対する信頼感を大きく揺るがしかねません!そういったなか、二度目の任意整理ができるかは債権者の応対次第となります。

つまり、債権者(貸金業)は、債務者の「任意整理」の申出に対して、一度目は応じても二度目は応じる義務はないのです。
 
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そういったなかで、あえて妥協の余地を探るとしたら、さらに返済スケジュールを先に延ばすぐらいしかありませんが、これを相手方(貸金業者)が呑むのはかなり厳しいでしょう。

それどころか「任意整理」に応じたのに、滞納してしまうとなると、滞納が今月の一回だけならなんとか猶予してくれると思いますが、今月、来月と滞納が二回となると期限の利益を喪失を主張されて、残金一括を請求されたり、給与差し押え、訴訟提起されたりしても何ら不思議ではありません。

※「期限の利益喪失」とは?「期限の利益喪失約款」とは?

でも、絶対できないというわけではないので、もし必要ならば、債務整理に精通したしかも交渉術に長けた弁護士や司法書士に依頼してみることが必要です。
 

■ 二度目の「任意整理」が難しい場合の対処法

 
1度目の「任意整理」を受けた債権者(貸金業)が、再度の「任意整理」の申し出に難色を示した場合の対処法についてです。

(1) 複数債権者がいるときは別の債権者の債務を「任意整理」する

 
もし、どうしても「任意整理」にこだわりたいのであれば、一度目の同じ債権者に再度「任意整理」を申し入れするのではなく、一度目の時に外した債権者がいるのであれば、今度はその債権者に「任意整理」を申し入れする方法です。

「任意整理」は、裁判所が介入して当該借金問題の利害関係人すべてを登場させて解決を図る「個人再生」や「自己破産」と違って、対象とする債権者を選べるという特徴があるので、こういう方法がとれます。
 

 
そうすることによって、毎月の支払い額が減って全体の負担額が減って支払いを続けられる可能性がでてくるのです。

今回の「任意整理」の申し出が二度目だとしても、その債権者にとっては一度目なので問題はないわけです。

ただし、これは、一度目の「任意整理」をする時に、他に複数の債権者がいてその中の一部の債権者を「任意整理」の対象から外した場合にできる方法です。

それから、その「任意整理」の対象とする債権が、住宅ローンや自動車ローン(所有権留保が付いている場合)だった場合は、家や自動車を手放さざるを得なくなってしまう恐れが高いです。だから、その場合はこの方法は避けた方がいいです。この種の債権は、仮に一度目でも「任意整理」は出来ますが避けた方がいいということです。
 

(2)「任意整理」にこだわらずに「個人再生」「自己破産」を試してみる

 
再度の「任意整理」が難しい状況の場合に本筋として考えるべき方法は「個人再生」「自己破産」といった別の債務整理の手法を考えていく方法です。このやり方が現実的だし、そういうケースも多いようです。

そのなかでも、まず、考えるべきは「個人再生」です。

「個人再生」は、裁判所が介入してきて少々面倒くさくなりますが、「任意整理」と違って債権者との交渉なしにできるし、うまくいけば「任意整理」よりもずっと借金を減額できる範囲は広くなります。なぜなら、元本まで減額対象となるからです。ただ、このやり方も「任意整理」と同じで月々の支払は免れないので、その点はきちんと支払いしていく覚悟をもたなければなりません。

具体的には、借金総額を通常1/5〜1/10程度に減額してもらい、原則3年間(最長5年)で支払いしていくことになります。

「自己破産」も裁判所が介入してきて債権者との交渉はいりませんし「任意整理」や「個人再生」とは違って月々の支払が免責されます。ただ、価値ある所有財産は原則処分されてしまうのは覚悟しなければなりません。

思うに、自己破産による解決を選択した方がよい場合が多いといえます。なぜなら、先にも触れましたが、個人再生の場合も、手続後に分割支払を行わなければならないため「任意整理」で分割支払が失敗に終わっているわけですから、さらに不成功を重ねてしまうリスクが残るからです。

なお「自己破産」を考える場合「任意整理」で失敗した理由がギャンブルとかいわゆる浪費が原因であれば、「免責」が受けられるかが焦点となりますし「任意整理」しても支払いが滞ってしまった原因を明らかにする必要があります。
 

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