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任意整理は司法書士と弁護士どっちに依頼すべき?140万円が境界線

< 目 次 >
司法書士の「140万円ルール」とは?
(1) 司法書士の本来の主要業務とは?~弁護士と司法書士の業務範囲~
(2) 140万円ルールは認定司法書士の場合に問題となる<
事例でわかる「弁護士と司法書士、どっち向き?」
(1) 事例A:消費者金融3社合計90万円(A社30万、B社20万、C社40万) 延滞は始まったばかりの時
(2) 事例B:クレジットカード1社160万円、他事2社で計50万円、すでに給与差押えの予告を受ける
(3) 事例C:自営業で事業用ローンと個人のカードローン合計300万円(各社はすべて100万円以下)<
(4) 事例D:過払い金が発生していそう(10年以上前からの取引)
(5) 事例E:140万円以下でも「債権者が多い」「全体像が複雑」な場合<
任意整理・個人再生・自己破産「司法書士と弁護士」の適性
まとめ
借金問題・無料法律相談のご案内

 

■ 司法書士の「140万円ルール」とは? 損をしないための正しい理解を!

📌こんな人におすすめ
・借金が140万円以下で、任意整理を検討している方
・司法書士と弁護士の違いが分からずどちらに依頼するか迷っている
・費用を抑えて債務整理したい方
・まずは無料相談で状況を整理したい

「借金の整理をしたいけど、弁護士、司法書士のどちらにお願いすればいいのか?」初めて債務整理を考える人にとっては、費用もかかるし、悩みどころです。よく目にするのが「140万円以下なら司法書士」「それ以外は弁護士」という情報です。でも、この“140万円ルール”は、実は正しく理解していないと損をすることがあります。

この記事では、司法書士と弁護士の違い、そして「認定司法書士」が関われる範囲について、事例を交えて分かりやすく解説します。

(1) 弁護士と司法書士の違い?~司法書士の主要業務の範囲と140万円ルールとの関係性~

弁護士も司法書士も、法律に関する専門的な知識と資格を兼ね備えた国家資格者です。
したがって、両者とも借金問題(債務整理)の解決に関わることができます。
ただし、対応できる範囲や手続きには明確な違いがあります。

まず、弁護士についていえば、裁判外の交渉であろうと、裁判上の訴訟行為であろうと、あらゆる法律問題に関して制限なく代理人として携わることができます。
したがって、債務整理に関しても金額の大小に関係なく「任意整理の交渉」「自己破産/個人再生」の訴訟代理人として対応できます。
ゆえに、弁護士に債務整理を依頼する場合は、何ら制限はありません。

それに対して、司法書士の場合は、その主要な業務はあくまで法律に関する書類の作成や提出といった手続の代行業務となっています。その範囲に限れば、債権額が140万円内であろうと超えていようとも任意整理のみならず個人再生・自己破産での業務はできます。ただ、弁護士と違って、実際に法廷に立っての裁判上の訴訟行為、および裁判外でも依頼人の代理人としての行為は一切できないとされています。

なお、司法書士の業務範囲には「140万円ルール」と呼ばれる制限が関係してきます。
この点については、次章で詳しく解説します。 ▶140万円ルールの正しい理解はこちら

弁護士と司法書士の業務範囲比較

● 弁護士の業務範囲・・・・・・・身近に起きる小さなトラブルから大企業や国が絡むでかいトラブル、事件までありとあらゆるジャンルの法律問題に対し法的なアドバイスをしたり、代理人として相手方と交渉したり、さらに訴訟上の代理人として裁判所に出廷して訴訟行為を行うことができます(訴訟代理人)。要は法律に関係するすべての業務を制限なくサポートすることができます。
● 司法書士の主要な業務範囲・・・不動産の登記、会社の登記、供託の手続きや、裁判所、検察庁、法務局に提出する書類の作成・提出を依頼人の代理人として行うことなどを主要な業務とします。いわゆる書類の作成・提出の代行業務です。例えば、土地、家屋の売買契約に契約書の作成や不動産登記手続(例えば、所有権などの権利関係の登録)商業登記手続(例えば、企業に関する代表者などの情報を登録)などの代行です。

 

(2) 認定司法書士に依頼する前に要注意!140万円ルールの落とし穴とは?

ところで、同じ司法書士でも法務省より認定を受けた「認定司法書士」資格があります。これによると、先の主要な業務のほかに、債務整理の債権額が貸金業者一社当たり140万円以下であれば、任意整理に限って、簡易裁判所の手続内で実際に法廷に立って訴訟代理人として訴訟行為を行うことが出来るし、140万円以下であれば裁判外で依頼人の代理人として相手方と借金減額交渉(任意整理)することもできます。

つまり「認定司法書士は簡易裁判所で債権額140万円以下の訴訟代理人になれる」ということです。以下は、認定司法書士を前提に記述します。

ところで、この140万円という数字には「注意」が必要です。例えば複数の貸金業者からの借金があって、その合計金額が140万円を超過していても各社ごとの債権額が140万円を超えていなければ、認定司法書士は相手方の貸金業者と任意整理の交渉はできるし、必要であれば簡易裁判所での訴訟代理人として訴訟行為をすることが出来ます。

例えば、借金の合計が200万円あって140万円を超えていても、各社の債権額がA社30万円、B社70万円、c社10万円、D社90万円で合計額が140万円を超えていても、4社個々が140万円を超過していないなら、認定司法書士が携わることができ、管轄が簡易裁判所で訴訟代理人として訴訟行為、裁判外でも任意整理の交渉代理人となることができます。ただし、案件が個人再生や自己破産まで進んでしまうと、代理人行為はできません。あくまでできるのは任意整理の範囲だけです。

そして、合計200万円のうち一社でも債権額が140万円を超過していたら、もはや認定司法書士であってもすべての段階で代理人として関わることはできません。

※簡易裁判所で扱える訴訟の債権額は140万円以下です。裏を返せば、訴訟の債権額が140万円以下の場合は、簡易裁判所が第一審の管轄裁判所になります。140万円を超える場合、それから、個人再生、自己破産の申し立ての場合は、第一審は、かならず地方裁判所が管轄します。簡易裁判所ではありません。これらのことからしても一社の債権額が140万円を超えていたら認定司法書士は関与できないことなっています。

一般的に言って、費用については司法書士の方が低くくなる傾向にあります。でも、案件のややこしさや将来の展開まで見据えて「トータルで損が少ない方」を選ぶのがコツです。これについては後で事案を上げて詳しく述べます。いずれにしても「総額が140万円を超えたら司法書士は使えない」と短絡的に思い込むのは非常にもったいないということです。
 

▶ 140万円ルールの落とし穴 (整理編)

認定司法書士に依頼する際に注意すべきポイントを、以下に整理します。

  • ① 認定司法書士とは?通常の司法書士との違い

    司法書士の中でも、法務省の認定を受けた者は「認定司法書士」として、債権額140万円を限度に簡易裁判所での訴訟代理や
    裁判外での任意整理の交渉が可能になります。

  • ② 140万円ルールの正しい意味と誤解

    このルールは「1社あたりの債権額が140万円以下なら認定司法書士が代理できる」というもので、合計金額ではなく個別債権額が基準です。

  • ③ 認定司法書士が対応できるケース・できないケース
    複数社の債務がある場合でも、各社が140万円以下なら対応可能。1社でも140万円を超えればできません。
  • ④ 裁判所の管轄と手続きの違い
    140万円以下は簡易裁判所が管轄。超えると地方裁判所に移り、認定司法書士でも代理権は消滅します。

▶ 認定司法書士の対応可否早見表

下記の表では、代表的なケースをもとに認定司法書士の対応可否を整理していますので、実際は状況によって異なるため、詳細は専門家にご相談ください。

債権者構成 各社の債権額 合計債務額 認定司法書士の対応可否
1社のみ 130万円 130万円 ◎ 対応可能
1社のみ 150万円 150万円 ✕ 対応不可
3社 A社50万、B社60万、C社70万 180万円 ◎ 対応可能
2社 A社30万、B社160万 190万円 ✕ 対応不可(B社が超過)

※上記はあくまで一例です。実際の対応可否は債権額の算定方法や裁判所の判断によって異なる場合があります。詳細は専門家にご相談ください。

※ 債権額が140万円を超えると、簡易裁判所の管轄外となり、認定司法書士の代理権は消滅します。

▶ 弁護士と認定司法書士の対応可否比較表

上記の早見表で対応可否の目安を確認したうえで、次に「弁護士と認定司法書士のどちらに依頼すべきか」を比較したい方のために、下記の表を用意しました。

項目 弁護士 認定司法書士
債権額が140万円を超える案件 ✅ 対応可能 ❌ 対応できません
債権額が140万円以下の案件 ✅ 対応可能 ✅ 対応可能
裁判所への訴訟代理 ✅ 可能(すべての裁判所) ✅ 簡易裁判所に限り可能(140万円以下)
任意整理の交渉・和解 ✅ 可能 ✅ 可能(140万円以下)
自己破産・個人再生 ✅ 申立て・代理人として一括対応可能 ❌ 書類作成支援のみ(本人申立て支援)
受任通知後の連絡停止 ✅ 可(直ちに取立てストップ期待) ✅ 可(範囲内の債権について同様に抑止効果)
費用の目安 やや高め(事務所による) 比較的低め(事務所による)
相談窓口の傾向 全国展開の事務所が多い 地域密着型が多い

※認定司法書士は、簡易裁判所に限って訴訟代理権を行使できます。簡易裁判所では1件あたり140万円以下の民事事件しか扱えないため、認定司法書士が対応できる訴訟もこの範囲に限られます。

 

● 事例でわかる「弁護士と司法書士、どっち向き?」

  • 事例A:消費者金融3社合計90万円(A社30万、B社20万、C社40万) 延滞は始まったばかりの時
    おすすめは、司法書士対応の任意整理:
    理由:各社140万円以下。将来利息カットの分割(36~60回)が決まりやすく、費用も抑えやすい
  • 事例B:クレジットカード1社160万円、他事2社で計50万円、すでに給与差押えの予告を受ける
    おすすめは、弁護士対応:
    理由:160万円の社は司法書士の代理範囲外。差押えや訴訟の可能性もあり、最初から最後まで弁護士対応で進める。
  • 事例C:自営業で事業用ローンと個人のカードローン合計300万円(各社はすべて100万円以下)
    候補:金額的には司法書士での任意整理も可能ですが、事業用ローンが絡んでいる場合、取引内容や契約相手が単なる「消費者金融やクレジット会社」ではなく、事業融資先が銀行や公庫等々である場合があります。この場合は司法書士が代理人として任意整理の交渉するのは荷が重く、そもそも司法書士法では司法書士の簡易裁判所での代理権は個人債務を想定されていて、事業性債務については原則対象外とされています。だから、代理人は弁護士の方が妥当と考えてます。
    さらに言えば、将来的には業績悪化で個人再生や自己破産に移行する恐れもあり、その場合は司法書士に依頼していてもその代理権は消滅し、新たに弁護士を依頼しなければならなくなります。そう考えた場合、事業での借金と個人の借金が混在している場合、金額的には司法書士でも可能なわけですが、将来を見据えての全体の資産・収支をまとめて整理する必要があり、最初から経験豊富で柔軟の対応できる弁護士に依頼する方がスムーズに進めると思います。
  • 事例D:過払い金が発生していそう(10年以上前からの取引)
    候補:債権額が140万円以下であれば、司法書士でも対応可。ただし過払い金額が大きく争いが想定される場合、請求金額が140万円を超え地方裁判所に移ると司法書士は対応不可で弁護士対応が必須となります。無料診断で見込み額と争点を確認し、140万円を超えそうなら最初から弁護士を依頼すべきです。
  • 事例E:140万円以下でも「債権者が多い」「全体像が複雑」な合場
    候補 ポイント: 各社100万円以下でも10社以上など、件数が多いと手続きが複雑化します。司法書士は個別交渉はできるが、全体の調整・優先順位・再生シミュレーションなどは不得手な場合もかんがえられるので、借入先が多く、将来の再建計画も考えたい場合は弁護士の方がトータルで対応できます。ただ、どちらを選択するか微妙な問題といえます。

■ 任意整理・個人再生・自己破産「弁護士と司法書士」の適性

  • (1) 任意整理のケース(将来利息カット+分割返済の交渉)
    ▼ 司法書士:各社140万円以下ならスピードと費用対効果が良いことが多い。
    ▼ 弁護士:金額・難易度にかかわらず全て対応可能。訴訟になっても継続して対応できる。
  • (2) 自己破産のケース
    ▼ 司法書士:書類作成で“本人申立て”支援は可能だが、裁判所での“代理人”にはなれない
    ▼ 弁護士:受任後の取立て停止、債権者集会対応、裁量免責主張なども含め全面代理
  • (3) 個人再生(小規模・給与所得者等)のケース
    ▼ 司法書士:申立書類の作成支援はできるが、審尋や異議対応等の代理は不可
    ▼ 弁護士:再生計画案の調整・異議対応まで包括的に対応

■ まとめ

単純なケースの借金額140万円以下ならば、スピード解決、費用の両面で司法書士に依頼することは現実的で正解です。でも、140万円ルールは合計金額ではなく「1社ごと」で判断されるわけですから、先の展開によっては、選択する肢が広がる可能性があります。1社でも140万円を超える、訴訟、差押え、個人再生、自己破産に展開する恐れがある。あるいは過払い金が大きく争われそうな展開がありそうなら、最初から弁護士に依頼しといた方が安心です。

最初は司法書士に頼んで、途中から弁護士に切り替えるのもできますが、再度着手金が発生するとか、コスト増になりがちなので、まずは最初の無料法律相談等々の機会を十分に生かして先行きを十分に見すえて、現状で最も良い解決策を確認にしておくのがベターです。
 

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公開日:
最終更新日:2025/11/16