「自己破産」とは? ~申立て要件と免責要件・破産手続と免責手続~

■申し立て要件 と 免責許可要件
(1) 「申し立て要件」」
(2) 「免責許可要件」
■ 「破産手続き」と「免責手続き」
(1) 「破産手続きとは?」
(2) 「免責手続きとは?」
(3) 「破産手続き」と「免責手続き」の関係は?
(4) 「個人の破産手続き~免責決定までの工程」
■ 「自己破産」のメリットデ&メリット・「自己破産」に向いている人
■ まとめ ~メリット&デメリットは?~
■ 借金問題の無料法律相談の案内
● 日本法規情報 (債務整理相談サポート)
![]()
■ 自己破産とは?

![]()
「自己破産」とは、借金を返せなくなった人(支払不能状態)が裁判所に申し立てて、所有財産を整理し換価処分(お金に換える)して債権者に分配したうえで、残った借金の支払い義務を免責・免除(帳消し)にする制度です。
自己破産は、大きく分けて「破産手続」と「免責手続」の二つの手続から成り立っています。これらについては後で詳述しますが、超簡略して述べると下記になります。
破産手続とは、返済できなくなった人の財産を処分し、債権者に公平に分配する裁判手続。
免責手続とは、借金の支払義務を免除してよいかを判断する裁判手続。
そして、自己破産では「破産手続」⇒「免責手続」の順序(制度上別個の手続)で審理が進みます。
これらによって、困難を極めた借金返済から解放され、新たな経済環境を築き人生を再スタートさせる機会をもつことができます。
● 自己破産に必要な「申立て要件」と「免責(許可)要件」
「自己破産」も「個人再生」と同じく裁判手続きなので「自己破産」をするには、裁判所に対する「「申立て要件」とと裁判所がその申し出の内容を認める「免責(許可)要件」が備わることで自己破産は完結します。
「申し立て要件」が備わっていないと申請自体ができませんし「免責(許可)要件」が備わっていないと免責・免除は認められず自己破産は成立しません。
「申し立て要件」と「免責(許可)要件」は、破産手続の流れでそれぞれ異なる場面で求められる条件であり「申立て要件(入口)」⇒「免責(許可)要件(出口)」の順序で審理が進みます。
(1)「申立て要件」
「申立て要件」とは、自己破産を利用できる資格があるかどうかを判断する条件で、裁判所に申し立てる時点での必要条件です。なかでも支払不能・返済能力なしになっていることが重要な「申し立て要件」となっています。
この申立て要件が備わっていれば、裁判所によって破産手続きの開始決定がなされます。つまり破産手続きが始まるということです。
なお、免責手続きについては、破産手続きとは別個の手続きなので、制度上、免責手続きも「申立て要件」が必要となります。
ただ、個人の自己破産の場合は破産申し立て書に「免責許可申立て」も同時に含めるのが通常なので、両者に関連していて、取り立てて免責手続きの申し立て要件の存否が問題になることはありません。
もっとも、破産手続き開始決定がなされることが免責手続に進むことの前提条件となっているので、破産手続きが始まっていなければ、免責手続きには進めません。
1. 借金が支払い不能であること。返済自体が継続してできない状態であること。(非常に重要)
⇒ 単に一時的な不能ではなく、弁済期に一般的、継続的に弁済できない状態(返済能力なし)が必要。詳しくは⇒こちら
2. 裁判所へ予納金の納付があること。
⇒ 予納金とは、破産手続に必要な費用を裁判所に事前に支払うお金が必要。
3. 債務者本人または法定代理人が申し立てること。
⇒ 原則として破産する本人、もしくは弁護士などが裁判所に申し立てること。
4. 破産手続開始目的が正当である。申し立てが誠実にされたこと
⇒ 借金を返せないから、正当に借金整理のために破産を申し立てる」という、きちんとした理由・目的が必要です。
例えば、最初から自己破産をするつもりで(債権者を欺く目的で)借金をして浪費やギャンブルを繰り返すようなケースは、申し立ての段階で「不当な目的」あるいは「不誠実な申し立て」であると判断されて、申し立て自体が却下あるいは棄却されます。
(2) 「免責(許可)要件」
「免責(許可)要件」とは、破産手続き開始決定がなされた後「免責手続」の中で借金のすべてを免責・免除をしてもいいか否かを審理する際に必要な条件をいいます。なかでも複数ある免責不許可事由がないことが重要な「免責(許可)要件」となります。
もしあれば、免責・免除が認められないことになりますが、それでも裁量免責で救済されて免責・免除されることがあります。
裁判所で免責手続を通じて免責(許可)要件が備わっていると判断されれば、裁判所は免責許可決定をします。そうなると、未だ借金が残っていたとしても、その返済義務は免責・免除されます。
つまり、抽象的な言い方になりますが、基本的には、裁判所が「この人が、もはや返済を続けていくことが困難といえるほどの借金を抱えてしまった原因に特に不誠実な点がない」と認められれば、免責許可決定が下されるということです。
1. 免責不許可事由がないこと。
⇒破産法252条に定められた免責不許可事由(財産隠匿、特定債権者への優遇返済、詐欺的借入など)がないこと。
2. 免責不許可事由があっても裁量免責の適用があること。
⇒仮に、免責不許可事由があっても裁判所が「一切の事情を考慮」して裁量で免責を認めること。
3. 破産手続きへの誠実な協力すること。
⇒裁判所や破産管財人に対して正確な情報を提供し、手続きに誠実に協力すること(破産法252条1項4号・5号など)。ただし、裁量免責の適用がある。
注意点:「申し立て要件の4)」と「免責(許可)要件の1)」とは重なる部分があり、悪質度が高い時は手続を開始させるまでもなく申立ての段階で却下することがある。
(3) 「申立て要件」と「免責(許可)要件」の関係
● 申立て要件
「申立て要件」とは、そもそも破産手続きを始めることができるかどうかを判断するための条件です。
裁判所は、現在の収入や借金の総額、生活状況などを外形的・客観的に見て「この人は、もはや自力で借金を返済していくことが難しい状態かどうか」を判断します。
この段階では、
- 「なぜ収入が少ないのか」
- 「なぜ借金が増えてしまったのか」
- 「なぜ返済を続けるのが困難になってしまったのか」
といった事情や理由そのものは、原則として判断材料にはなりません。
あくまで、今の経済状態として返済不能かどうかという事実に着目し、破産手続に入る資格があるかどうかを判断するのが「申立て要件」です。
● 免責(許可)要件
「免責(許可)要件」が備わっているかどうかの判断は、借金の未払いについて、はたして本当に免除してもよい行動をしていたかという判断です。「借金をした理由」や「なぜ、支払不能状態になってしまっのか?」「手続きを進めていくうえできちんと協力しているか」といった本人の行動や姿勢が要件が備わっているか否か判断する重要な材料になります。
一方、「免責(許可)要件」は、破産手続を進めたうえで、残った借金の支払い義務を免除してよいかどうか評価を通じて判断するための条件です。
ここでは、単に返せないかどうかではなく、
・「借金をした理由や経緯」
・「支払不能状態に至った過程」
・「手続きに対して誠実に協力しているか」
・「財産や収入を正しく申告しているか」
といった、本人の行動や姿勢が重要な判断材料になります。
もっとも、これは道徳的な善悪を裁くという意味ではなく、法律上定められた「免責不許可事由」に該当する事情があるか、そして、そのような事情を裁判所が評価すことによって免責を認めるのが相当か、という点を総合的に判断するものです。
● 二つの要件の関係
そもそも破産手続きに入れていいのか、という【申し立て要件】」と「実際に借金を免責・免除していいのか、という【免責(許可)要件】」の二つの要件は、自己破産を認定するうえでの必須要件であり、両者の関係は密接です。ところが、両者の役割は全く違っています。だから、それぞれが別々の判断基準をもっています。
そこから、何がわかるかというと「申し立て要件」が備わって破産手続きが進み破産手続開始決定がなされても、必ず「免責許可要件」が備わって残りの借金の免責・免除がなされるとは限りません。逆に言えば、免責不許可事由があっても「申立て要件」が備われば破産手続きは開始される進行することになります。
「申立て要件」は、破産手続に入れてよいかどうかを判断する条件です。
「免責(許可)要件」は、実際に借金の支払い義務を免除してよいかどうかを判断する条件です。
この二つの要件は、どちらも自己破産制度の価値達成のために、重要な役割を持っていて両者の関係は密接です。でも、判断の目的も基準もまったく異なっていて、裁判所はそれぞれを別の視点・別の基準で判断します。
この二段階構造からわかるのは、「申立て要件」が備わって破産手続開始決定がなされたとしても、必ずしも免責(借金の免除)が認められるとは限らないという点です。逆に言えば、浪費やギャンブルなどの事情があり免責不許可事由が問題となる場合でも、返済不能という状態が認められれば、破産手続そのものは開始されるということになります。
● 申立て要件:
⇒「返せない状態かどうか」を見る入口の判断
● 免責(許可)要件:
⇒「借金を帳消しにしてよいか」を見る出口の判断
自己破産は、この二つの判断を段階的に行うことで、債務者の救済と債権者との公平とのバランスを取る制度になっています。
●「破産手続」と「免責手続」
(1)「破産手続」と「免責手続」の定義
●「破産手続き」とは ⇒ 整理・清算・分配手続に入る手続)
債務者が、継続して借金の返済ができなくなった場合に、所有財産を換価処分(現金化)し、借金返済のために債権者に公平に分配することを目的とする裁判手続。
●「免責手続き」とは ⇒ 借金の帳消し可能かを判断する手続)
破産手続きを経ても借金の完済に至らなかった場合、残りの借金の返済義務を免責・免除を判断する裁判手続。
(2)「破産手続」の法的効果
そもそも法的効果とは何か?
一般論として「ある行為や出来事が起きたときに、法律ルールで強制的に生じる法律が定めた結果のことです。その結果には良い結果もあれば、負担になる結果もあります。
- ※自己破産を例にとると下記の一つ一つが法的効果となる
- 借金の支払い義務が免除される
- 財産が処分される場合がある
- 一定期間、職業制限がかかることがある
1. 債権者が自由に取り立てできなくなる
債務者の所有財産は、裁判所の管理下に置かれて借金問題を整理することになるため、債権者は個別に取り立て(個別の催促、請求、差押え)をすることができなくなります。この理由は、ある債権者だけが先に取り立てを続けると、他の債権者との間で不公平が生じるからです。それから債務者の生活を立て直すための物理的・精神的な準備期間を確保するためです。
2. 債務者は自分の所有財産の処分を原則制限される
債務者の所有財産は、裁判所の管理下に置かれるため、債務者は自由勝手に自分の財産の売却するなど処分できなくなります。この理由は、債務者の財産は債権者への借金返済に充てるためにあるので、それを勝手に処分するのは、債権者の利益が著しく損なわれるからです。但し、これからの生活を維持するために、所有財産でも一部のモノ(自由財産)は没収されません。
3.債務者の所有財産は債権者に公平に配分される
債務者の所有財産は、裁判所の管理下に置かれて、手続に従って整理、換価処分(現金化)して債権者に公平に分配されます。これがないと、先に取り立てた人だけが得をする。何も回収できない債権者が出てしまう。といった不公平が生じます。とにかく「みんな同じルールで平等に・・・」というのがコンセプトです。
4.契約関係に関する効果
双務契約(お互いに何かをする義務を持っている契約 例:売買契約)で、双方未履行(お互いどっちも果たすべき義務が終わっていない状態)のときは、破産管財人が契約解除を選択するか、そのままお互いの義務を果たすのを選択するかを選ぶます。
5.債務者は一定期間、行動に制限がかかる
債務者は、破産手続き開始決定日から免責許可決定日までの間、居住・旅行制限、資格・職業の制限。郵送物の破産管財人への転送といった行動制限がかかります。この理由は、罰を与えるためではなく、破産手続きを公正、かつスムーズに進められて、正しく終えるための一時的なルールです。
6.手続に協力する法的義務が生じる
破産手続が始まると、債務者には破産手続を進めるために、裁判所や破産管財人に協力する義務が生じます。これは、決して罰を与えるためでなく、正直に状況を説明し手続きを円滑に進めるためのルールです。免責を認めてもらうための重要なポイントであり、協力しないと免責が認められなく恐れがあります。
- ※協力する義務とは、例えば下記があります
- 借金の内容や金額を正確に伝える
- 収入や財産の状況を正直に申告する
- 通帳・契約書など、必要な資料を提出する
- 裁判所や破産管財人からの質問にきちんと答える
7.官報に掲載
国の広報誌である「官報」に指名や性別、破産した事実が掲載されます。
(3)「免責手続」の法的効果
法的効果の意味は「破産手続き」の章を参照してください。
1. 借金を返済する義務がなくなる
免責手続きを経て裁判所から免責が認められると、原則として残っている借金は返さなくてよくなります。借りたお金の元本、返済にかかっていた利息、返済が遅れて生じるペナルティである遅延損害金も含めたすべてについて返済する義務がなくなります。(1)で述べた破産手続きだけではまだ借金は帳消しにならない。免責手続きを経て免責(許可)要件を備わって初めて借金が帳消しになります(破産=免責ではない).
2. 債権者からの請求が完全にできなくなる
免責が確定すると、債権者は電話や郵便での請求訴訟や差押えをすることができません。法律上、もう請求できない状態になります。取り立てが一時的に止まるというレベルではなく、法律上、完全に請求できなくなります。したがって、債務者は取り立てに不安に思う必要は一切ありません。
3. 借金問題の解決が「法的に完結」する
裁判所からの免責が確定すると、借金問題は法律の上きちんと終わった状態になったということです。つまり、債権者は、もう請求できない。訴訟や差押えもできない。借金について争う必要もなくなります。
4. 免責後は行動制限も原則なくなる
破産手続きをきちんと進めるために、一時的に複数の行動の制限がかかることがありましたが、裁判所から免責許可決定が出されると、これらの行動制限は原則としてすべて解除されます。
つまり、普通の生活に戻ることができるということです。
5. 一部の借金は免責されない(要注意)
免責が認められると、原則として多くの借金は支払わなくてよくなります。しかし、すべての借金が免責・免除されるわけではありません。「どんな事情があっても、免責してはいけない借金」というものがあります。「税金や社会保険料、養育費・婚姻費用、故意に人に損害を与えた場合の賠償金、罰金・科料」これらが免責・免除されない借金です。
6. 新しい生活をスタートできる
裁判所から免責が認められて確定すると、借金の返済義務がなくなって借金に縛られない生活を法律上スタートできる状態になります。これは、精神的な問題だけでなくお金・法律・生活の面で再出発できるという意味です。収入は借金返済のために費やすのではなく、新しい将来のための生活に費やすことが可能になります。
(4)「破産手続」と「免責手続」の関係
自己破産制度とは何か? 一般に借金を帳消しにする手続と思われがちです。もちろん、それ自体間違ってはいません。
自己破産制度の目的は「経済的に苦境に陥り、借金の返済が極めて困難になった人を社会から排除せず、ただ、債権者の債権回収の利益との調和を図りながらも、経済的に再出発させること」です。
「迷惑をかけた人にできる限りの償いをした人には、もう一度スタートラインにつく機会を与えてあげようという制度」
つまり、自己破産は単一の制度ではなく、破産手続きと免責手続きという、二つの別個の手続によって成り立っています。
自己破産制度は、この二つの手続が単なる並列ではなく密接に連携しているからこそ達成される結果に説得力がある仕組みとして完結しているのです。つまり、債務者だけを守る制度でもなく、債権者だけを優先する制度でもありません。
「破産手続」とは「借金苦で経済状態が完全に行き詰っている状況を確定し、必要に応じて財産を換価し債権者に平等公平に配当する手続」です。(債権者の保護)
「免責手続」とは「破産手続きと並行して免責調査を進めていく中で、借金を作った経緯やその反省、不正行為の有無、問題解決へ協力度合い、そして生活再建への姿勢等々を評価の対象とし、この人は、残った借金の支払い義務を果たして免除した方がいいのか、よくないのかを判断する手続」です。免除を良しとすれば、免責許可決定が出るのです。この決定によって初めて借金帳消しになるのです。(債務者の保護)
以上から、この二つの手続を一つの手続にまとめ上げるのは不可能です。両手続きが連携を保ちながら、それぞれの視点で下記の三つの項目で独自の役割を果たしていくわけです。
●「手続の果たす役割」の違い
破産手続とは「今の借金事情をいったん整理し精算(配当の有無まで含む)するため」の手続で、今現在のありのままの財産状況を破産のプロセスに乗せるか否か確認する手続。
免責手続とは「その後に、借金を帳消しにしてよいか最終判断をするため」の手続で、これまでの借金について将来的に責任を負わせるのか、法的に免除して終わらせるのかを確認する手続。
●「判断する対象」の違い
破産手続は「お金と財産の客観的状況」を対象とする手続で、今の財産、収入、本人の返済能力の客観面を対象とします。
免責手続は「人の行動や事情」を評価の対象とする手続です。つまり、借金の原因・反省・誠実さ、生活再建への姿勢を対象とします。
●「裁判所が投げかける目線」の違い
破産手続では、裁判所は「この人は目の前の借金が本当は返せものとしてあるのか、それとも返せないものとしてあるのか」を客観的な目線で判断する。
免責手続では、裁判所は「この人を借金苦から解放して良いのか、そうじゃないのかを人の行為・事情をも見て」総合的・評価的・裁量的に判断する。
結局、まとめとして
・破産手続きは「借金状況と財産を確定する手続き」
・免責手続きは「借金を帳消しにするかどうかを確定する手続き」
自己破産は、この2つがそろって初めて意味を持つ制度ということになります。
●「免責手続と破産手続の間には主従関係がある」と言われる背景
ところで、現代の実務や運用状況を踏まえると「免責を得ることで経済的再出発を図る」という目的が、個人破産制度の実質的な中核になっているといわれています。
その理由は、
- (1) 理念レベルでは破産法1条で破産手続きにも財産の清算だけでなく、債務者が再び経済的に自立できるように【経済生活の再生の機会の確保】の目的が設けられている。
- (2) 免責不許可事由があっても裁量免責が原則的に認められる傾向にある。⇒こちら参照
- (3) 法律上の自由財産の保護だけでは不十分のため自由財産範囲の拡張傾向にある。⇒こちら参照
- (4) さらに言えば、個人破産の現状を見ると、実際に債権者に配当すべく財産がほとんどないケース(同時廃止のケース)が多くて、手続きの重心はむしろ免責にあるとされている。つまり、実務的な観点からは「免責を得ることで経済的再出発を図る」という目的が、個人破産制度の実質的な中核になっているとされている。⇒こちら参照
こういった事項制度の理念およびその運用状況をみると、現行の個人破産制度は、免責による経済生活の再生を重視しつつ、その前提として破産手続きが機能している制度と理解することができます。
(5)「個人の破産手続き~免責決定までのフロー」
①破産申立てしてから
↓
②裁判所が調査 (申し立て要件の調査)
└借金が返せない状態かどうか(支払不能か)を判断
↓
③破産手続開始決定
└破産手続きが正式にスタート
└(※個人の場合)同時に「免責手続き」もスタート
↓
④破産管財人の選任(管財事件の場合)
└財産の調査・換金・債権者への配当などを担当
↓
⑤免責手続開始(免責許可要件の調査)
└借金を帳消しにしていいかのチェック
(免責不許可事由の調査⇒裁量免責)
・財産隠しはないか?
・ギャンブルなどが原因ではないか?
・手続きに協力しているか? などなど
↓
⑥債権者集会(※開催される場合)
└債権者の意見や進捗の確認
↓
⑦免責に関する意見申述期間
└債権者などが免責に反対する意見を出せる期間
↓
⑧免責許可決定
└借金の返済義務が正式になくなる!

| 債務者の財産を換価・配当して債権者に公平に分配する | 残った借金の支払義務を免除するとともに経済生活再生のスタートラインを作る | |
| 法律上の位置づけ | 破産法の「破産手続編」 | 破産法の「免責手続編」 |
| 主な判断基準 | 債務者が支払不能状態かどうか | 借金免除が社会的に許されるか(免責不許可事由の有無) |
| 開始のきっかけ | 裁判所が破産手続開始決定を出す | 破産手続開始と同時またはその後に免責申立 |
| 財産は破産管財人等により換価され、債権者に配当される | 免責許可決定が出れば残債務は支払義務が消える | |
| 主に債権者保護のための手続 | 主に債務者救済のための手続 | |
| 単独実施の可否 | 単独で行える(免責申立なしの場合) | 破産手続なしで免責手続だけ行うことは不可 |
| 典型的な終了時点 | 換価・配当が終わった時点で破産手続終結 | 免責許可決定の確定(約1~2か月後) |

日本法規情報-債務整理相談サポート-