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「任意整理」とは? ~当事者間の交渉で借金の利息をカットして月々の返済を減らす手続~


 

< 目 次 >
任意整理とは? ~最も利用回数が多い~

貸金業者の取立て行為をストップできる!(催促をストップ!)
減額はどの位? 元本減額は困難だが利息カットを目指す!
(1) 「利息」カットだけでも決してバカにならない!
(2) 過去に利息制限法違反金利を支払った人は再計算をして過払返還請求が可能!

任意整理する借金を選択できる ~親戚・友人に迷惑をかけたくない~
任意整理すると5年間は信用情報機関に登録される
まとめ ~条件・メリットとデメリット・向いている人~
(1)「任意整理」が認められる条件
(2)「任意整理」のメリット&デメリット一覧
(3)「任意整理」で借金整理することが向いている人
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■ 任意整理とは?~最も利用回数が多い~

 

<とりあえず債務整理初心者の方がおさえておくべき視点>

「任意整理」とは、返済しきれなくなった借金を貸し手側と話し合いをして決してバカにはならない利息をカットして無理なく返済できるようにする手続です(交渉人は通常は弁護士や司法書士の専門家です)。したがって、裁判所が関与することはありません。
⇒ 「任意整理」とは、当事者である債権者(貸金業者)と債務者(借主)間の話し合いで合意(和解)に達することで借主に無理のない分割返済期間(3~5年以内)と月々の返済額を決めて借金問題を解決する手続をいいます。目指すはあくまで利息のカットです。借金の元本の減額も交渉事ですから可能性はありますが非常に低いです。でも、利息は積み重なると決してバカにはならない金額になります。「任意整理」後は、その利息を支払う必要がなくなるので、完済に向けてのゴールが明確に見えてきます。場合によっては、払いすぎた利息(過払い金)が戻ってくることもあります。また、自己破産や個人再生と異なり、複数の借金を抱える中で特定の債権者(借入先)を選んで整理することも可能です。また、裁判所を利用しない解決方法なので複雑なプロセスは通る必要なく官報に載ることもありません。一番多く利用される方法です。
但し、大きなデメリットとして、信用情報に事故記録として記録され(いわゆるブラックリストに載る)、新たにクレジットカード加入にしたり、新たに、借り入れやローンを組むことが難しくなります。

※毎月きちんと返済しても、なかなか借金が減らないのは利息支払いがあるからです。

 

任意整理・個人再生・自己破産の3者比較表

>>最も利用者の多い債務整理手続<<

「任意整理」は裁判所に申し立てる必要はありません。『裁判所を介さない私的解決手続』というのが「任意整理」の大きな特徴です。

裁判所を介さずに、借主(債務者)本人(またはその代理人の弁護士・司法書士)が貸金業者(債権者)との話し合い(和解交渉)で返済額の減額、返済時期、返済方法の緩和といった、借主(債務者)がこれから無理なく返済を続けられるような返済条件を提示し両者の合意でもって解決を図る方法です(私的な債務整理方法)

「任意整理」での和解交渉とは、言ってしまえば、もう返せないという人と、返してほしい人との間で、折り合いを付ける話し合いというイメージです。⇒要は、お互いに話し合って、双方が納得すれば借金を減額できるということ。

当事者間の話し合いで解決するので、その過程に法律で定められたルールがあるわけでなく、解決案は両者が合意できる範囲で自由に作り出すことができます。だから、他の債務整理手続である「個人再生」「自己破産」のように裁判所が介入するがために必要となる複雑な手続はいらず費用も安くすみます。

そういった意味で「任意整理」は一番手軽に使える債務整理手続であり最も多く利用されている方法です。

アコムなどの消費者金融、VISAカードなどのクレジットカード、あるいは様々な銀行系カードローンなどの貸金業者からの借り入れが多額にのぼり返済が難しくなってきたときに有効です。

なぜなら、これらは無担保融資ですから利息を高めに設定されていて、複数のカードローンを抱えてしまった多重債務者だと、毎月の利息負担だけでも膨れ上がっているはずなので、利息をカットできる「任意整理」による解決が非常に効果的といわれているからです。

だいたい借金総額が200万円程度になった場合の解決手段として有効です。和解するためには、このままでは借金返済が困難であることを説明し、新たな合意できる返済条件を見出すために互いに譲歩しながらまとめ上げていくことになります。

その道の専門家である弁護士や司法書士に依頼すれば、そういった交渉事を任せっきりができて、依頼人は交渉に直接かかわる必要がありません。
 

 
この手軽かつ他と比べて安価、しかも任せっきりにできるという点が「任意整理」のメリットの一つといっていいでしょう。

もっとも、合意が必要ということは合意に至らなかったら、当然ですが「任意整理」は成立しないことになります。

つまり、合意する前は、相手が提示した案には法的拘束力はないから、それに応じなければならないという法的義務はありません。提示された条件案が、自分の意にそぐわなければ拒否しても何ら問題はないのです。

ただ、一旦合意に達すれば、それは法的な拘束力(和解契約)があるから、その合意した内容をお互いが守っていかなければならないのは言うまでもありません。もし、守られないと責めを負わなければなりません。任意整理は不成立になります。
 

余談になりますが「個人再生」や「自己破産」の場合は、話し合いで解決するのではなく、裁判所が介入するので、その判断には強制力が働き、当事者はその導き出された判断に不満があっても従わなければならない義務が発生します。だから「合意」という要素は出てきません
「自己破産」or「個人再生」の場合は、裁判所の介入が不可欠となるので、返済が滞っているからといって全員が全員申立てられるというわけではありません。今まさに支払不能な状態にある、あるいはこのままだと支払不能な状態に陥りかねないという危機的状況にあることが必要とされます。
それに対して「任意整理」は裁判所は介入しない当事者間での交渉⇒合意をもって問題を解決する手法ですから「任意整理」の条件が明確に定められているわけではありません。冒頭に申し上げたように返済が困難な状況(返済不能に陥る危険性がある)に「任意整理」できるのはもちろんですが、必ずそのような状況にまで陥る必要はなく、単に債権者からの催促を止めたいがために弁護士に依頼するといった場合でも「任意整理」することができます。

だから、より良い条件での合意を勝ち取るための交渉を不慣れな依頼人一人でやると相手が百戦練磨の貸金業者となれば、勝ち取るのはなかなか大変なことです。言いくるめられてこちらに旨味のない条件でまとめられてしまうこともあります。

ですから、交渉は依頼人本人の代わりに経験豊富で債務整理に精通し、交渉力に長けた法律の専門家の司法書士や弁護士に依頼するのが適切でしょう。

ところで「任意整理」が成立しても借金がなくなるわけではありません。減額されたとはいえ合意した金額を返済し続けなければなりません。(ただ、ある状況のもとで借金全額がなくなることもあります。これについては後述します)

だから、返済を続けていくための収入源は必要です。一定の継続的な収入があり、生活費を支払っても、返済できるだけの余力が必要だということです。

したがって、返済計画を甘く見積もって途中から返済が滞ってしまったら信用性が失われてしまうので、そんな結果にならないためにも、まずは家計状況をシビアに見積もって、任意整理を選択することの妥当性を弁護士等の専門家の助言をもらいながら判断するのが安心かと思います。

とともに、大切なのは債務者に今後も完済まで返済を継続していく意思があることです。客観的に返済を継続していける収入減があってもこの気持ちが無ければお話になりません。

ところで、貸金業者も民間企業ですから「そう簡単に減額ありきの話し合いに応じてくれるのか?」と思うかもしれません。でも、現在の困窮状態を真剣に伝えればその事情を忖度して協力的になってくれます。

もちろん、すべてがすべて協力的だとはいえません。特にグレーゾーン金利禁止を契機に、過払い金返還請求が多発しているなか、経営が苦しい貸金業者が増えているので、協力の度合いが非常に低いとか、まったく協力に応じないとか、強硬な姿勢をとる業者が増えてきています。

ただ、強硬姿勢を貫いて「任意整理」に応じないでいると、借主(債務者)としては減額してもらわないと生活が成り立たないわけだから、開き直って「自己破産」でもかまわないと言い出しかねません。その場合は裁判所が出てきて裁判沙汰になります。

もし、そうなったら1円も回収できないことになるわけで、結局貸金業者としては強硬姿勢を貫き続けることはかなり難しいことになるでしょう。(-_-;

だから、強弱はありますが、基本的には協力的にならざるをえないのです。

思うに、借主(債務者)側には「自己破産」という最後の切り札があるとはいえ「自己破産」は絶対に避けたいと思っている人もいます。

その場合は、やはり依頼した弁護士、司法書士の交渉力次第であり、それに呼応する貸金業者側の態様一つといってもいいでしょう。

 

 

■ 貸金業者の取立て行為をストップできる!(催促をストップ!)

 
生活の平穏を脅かすような借金取り立て行為は最初から法律上禁止されています。

でも、一定の許容された範囲内では許されています。たとえば、滞納状態が継続していればその範囲内での催促、取り立て行為は一定の許容された範囲内として甘んじて受けざるをえません。

でも、弁護士や司法書士が借主(債務者)から借金の「任意整理」の依頼を受けると、借主(債務者)から依頼を受けたという「受任通知」の書面が貸金業者(債権者)に送付されます。

その送付された「受任通知」を貸金業者(債権者)が受け取った時点からは貸金業者(債権者)からの借主(債務者)への返済の催促、取り立て行為(電話での催促、書面で催促)にはストップがかかります。

ストップがかかるというのは、貸金業者(債権者)に受任通知が届いたそれ以降は借金の取り立て行為は仮にその行為が適法であっても法律上許されないということです。

つまり、生活の平穏を脅かすような借金取り立て行為ではなくても法律上禁止されるということです。

もちろん、借金自体がなくなるわけではありません。取り立て行為そのものが禁止され、支払も

でも、借主(債務者)はしつこい取り立てからは解放されるので、精神的にだいぶ楽になります。

そういった意味でこの弁護士、司法書士からの「受任通知」は効果は大きく「任意整理」の非常に貴重なアイテムとなっています。

もっとも、この効果はなにも「任意整理」特有の効果ではなく、他の二つの債務整理の手法(個人再生、自己破産)でも当然貸金業者(債権者)に「受任通知」を発しますので、この取り立てストップ効果は「任意整理・個人再生・自己破産」三者共通の効果といえるでしょう。

 

■ 減額はどの位?~元本の減額は困難だが利息カットを目指す!~

 
さて、問題は「任意整理」することで、肝心の借金額がどのくらい減るのでしょうか?借金をした債務者にとって一番の関心事です。

まず、基本的には、「任意整理」で元本そのものの減額はできないと考えてください。

もちろん「任意整理」は交渉事ですから、まずは弁護士、司法書士は元本の減額を申し出ることがあっていいし、その交渉術で貸主(債権者) から元本の一部カットを勝ち取れることも考えられます。それは望外なうれしい結果です。でも、貸金業者の立場を考えればその申し出に応じてくれるのはかなり難しいです。

すから「任意整理」が本筋の任務は『利息』のカットです。
 

(1) 「利息」カットだけでも決してバカにならない!

人によっては「なんだぁ~、結局減らされるのは元本じゃなくて利息分だけかぁ~」と思われる人もいるかもしれません。

でも、キャッシングやカードローンなどのような無担保融資制度からの借り入れは、利息制限法の上限金利(15%~20%)に近い高金利で設定されていて、また元利リボ払いで毎月の返済を最低返済額で続けていくと、月々の返済額の半分以上は利息払いに充てられることになるので、「任意整理」をするとその利息部分がカットされ、かなりの金額がカットされることになりかなり効果的です。

まさに「たかが利息、されど利息です!」

「なんたって、毎月きちんと返済しても、なかなか借金が減らなくて気が滅入ってしまうのは、この利息が諸悪の根源といえます。」

~利息制限法の貸出上限金利~ 
・10万円未満・・・・・・・・・・・上限金利20%
・10万円以上100万円未満・・・・・上限金利18%
・100万円以上・・・・・・・・・・上限金利15%
~銀行系カードローンの金利の一例~
・三井住友銀行カードローン・・・・・・2.0%~14.0%
・みずほ銀行カードローン・・・・・・・4.0%~14.5%

~消費者金融系カードローンの金利の一例~
・アコムカードローン・・・・・・・・・3.0%~18.0%
・プロミスカードローン・・・・・・・・4.5%~17.8%

「任意整理」で返済額が減るのは確かです。下記の計算の結果を見てください。

〇〇〇カードローンから80万円を年利18%で月々2万円を返済していった場合にその2万円の元本部分と利息部分の内訳・比率を見てみましょう。

~借入利息の計算式~

利息=元本×金利÷365(日)×借入期間(借りた日数)

80万円の借金の事案に上記の計算式を当てはめてみると、

80万円×18%÷365×30=11,835円が一か月後の1回目の返済にかかる利息額ということになります。

したがって、借主(債務者)が一か月後に2万円を返済してもその2万円全額がまるまる借金の返済に回るということにはなりません。2万円の内訳は11,835円はすべて利息部分の返済であり、残りの8,165円が元本の返済に回されるのです。つまり半分以上が利息の返済回ってしまって、2万円返済しても元本への返済は8,165円にしかならないのです。

だから、1回目の返済は2万円を返済しても借金の残高(元本)は、80万円ー8,165円=791,835円にしかならないのです。

2回目の返済の利息額は、791,835円×18%÷365×30=11,714円ということになります。したがって、これも同じように2万円返済しても2万円ー11,714円=8,286円が元本への返済に充当されるにすぎないのです。

3回目の返済の利息額は、783,549円×18%÷365×30=11,592円ということになります。そして、2万円ー11,592=8,408円が元本への返済に充当されるにすぎないのです。

4回目の返済の利息額は、775,141円×18%÷365×30=11,467円ということになります。そして、2万円ー11,467=8,533円が元本への返済に充当されるにすぎないのです。

5回目の返済の利息額は、766,608円×18%÷365×30=11,341円ということになります。そして、2万円ー11,341=8,659円が元本への返済に充当されるにすぎないのです。

以上、5回の返済だけをみても実際の合計返済額は10万円であっても、元本への返済は42,051円(8,165円+8,286円+8,408円+8,533円+8,659円)にすぎません。それを除いた半分以上の57,949円すべては利息の返済に充てられているのです。まさに利息の返済の追われて、元本がなかなか減らない状態が続くことになります。

だから「任意整理」で利息分がカットされる効果は結構大きいことで、利息分がカットされればこれまで返済した額10万円がまるまる元本への返済に充当されて、返済総額が減り方は早く借金完済の日の到来が一気に近づきます。よって「減額されるのは利息分だけかぁ~、」と嘆く必要は全くありません。

※上記に述べた一連の計算式は「元利均等返済方式(通常の場合)」であり、「元金均等返済方式」」についてはこちらを参照。

 

利息の計算例 プロミスの「ご返済シュミレーター」で検証

● 貸金業者から50万円(金利17.8%)を借り入れて、月々1万716円で返済していくと、完済まで6年8カ月かかり支払総額857,251円となります。
857,251円ー500,000円=357,251円が利息の返済に費やされることになります。
※ 本来なら、総額857,251円支払わなければならないところを「任意整理」することで500,000円支払えば済む可能性がある。「任意整理」の返済期間は3~5年だから、5年とした場合月々の支払は8,333円で済むことになる。
 
● 貸金業者から100万円(金利15%)を借り入れて、月々3万2161円で返済していくと、完済まで3年半かかり支払総額は1,350,790円となります。
1,350,790円ー1,000,000円=350,790円が利息の返済に費やされることになります。
※ 本来なら、総額1,350,790円支払わなければならないところを「任意整理」することで1,000,000円支払えば済む可能性がある。「任意整理」の返済期間は3~5年だから、5年とした場合月々の支払は1,6666円で済むことになる。

利息は決してバカにはできません!

 
 
「利息」は任意整理が絡んでくると、その成立を境に「経過利息」「将来利息」に分かれてきます。そして、任意整理するに関係なく約束の支払期日を過ぎてしまうと「遅延損害金」が発生します。

●【経過利息・遅延損害金】とは?・・・・「経過利息」とは、最後に支払った日から任意整理が成立(和解契約成立)するまでに発生した約定利息をいいます。
「遅延損害金」とは、約束の支払期日に支払が遅れてしまった場合に借主(債務者)が支払う損害賠償金をいいます。ペナルティとしての意味があるので、利息よりも高額になるのがほとんどです。支払期日の翌日から発生し、延滞分が完済されるまで発生し日割計算で請求されます。約定ではなく法律上当然に発生します。
両者とも任意整理の成立(和解契約成立)の前に発生する支払い分である点で共通性があるので「遅延損害金」を「広義の経過利息」といわれます。
  (※「遅延損害金」についてはこちらを参照)
●【将来利息】とは?・・・・・・・・「将来利息」とは、任意整理が成立(和解契約成立)してから任意整理での返済が完了するまでに発生する約定利息をいいます。

 
「任意整理」では、実務上はこの二つの利息をとともに「遅延損害金」もカットさせるのを通常方針として弁護士や司法書士は貸主(債権者)との交渉に入ります。この交渉に成功すれば「任意整理」はとてもうまくいったということで返済額は大幅に減らすことができます。(下記の関連記事・・・『「任意整理」で解決する際の統一基準~目指す3つの指針~』を参照。

ただ、貸金業者によっては経営状態等を考慮して「将来利息」はカットすることは甘んじても「経過利息」「遅延損害金」については、取ることにこだわる業者もいます。交渉事なのでそこにこだわりをもつのはなんら違法ではないし、むしろ民間企業として当然のことです。でも、こだわりを続けると合意を作れず「任意整理」は不成立の恐れもでてきます。

まさに弁護士・司法書士の経験値と交渉力がモノをいいます。

 

ところで、抱えている借金があまりに多額であるため「任意整理」で経過利息、将来利息・遅延損害金をカットできたとしても、月々の返済額が払いきれない場合は、元本にも債務整理のメスが入る「個人再生」や「自己破産」といった別の債務整理の方法を検討してみる必要があります。

なお「任意整理」の場合、不動産やクルマ、預貯金などは没収されません。そして「任意整理」は、私的整理なので官報には載りません。
 

(2) 過去に利息制限法違反金利を支払った人は再計算して過払金返還請求が可能!

先に「任意整理」は、基本的に元本は減額の対象にはならず、カットされるのは利息だけと述べましたが、もし、借り入れの開始時期が平成19年以前であれば、利息制限法の金利を超えた高い利率(グレーゾーン金利)でも貸し付けされていた可能性があります。

もし、その可能性があるのであれば利息制限法に基づく正しい利率(上限金利15%~20%)に引き直して再計算して、利息制限法の上限利率を超えた違法利率で利息を返済していたら、その部分は過払い金として判断されて元本に充当されることになります。元本に充当されるということは。その分の元本が減額されるということです。

そして、再計算の結果、元本がすでに満たされていてすでに完済されていることが判明したにもかかわらず、それでも引き続き違法利率での利息の返済が続けられていたら、その分は過払い金として貸金業者に返還請求できることになります(過払い金返還請求権)。法的にいえば、その部分は貸金業者の不当な利得だったということで「不当利得返還請求権(民法703条)」ということになります。

なお、このことに限っては、両者の「合意」でなされるわけではありません。債務者側が一方的にできて主張することができます。なぜなら、貸金業者が違法金利を取っていたかを調べるわけですから「合意」などは不要です。

※その後、最高裁判決に沿って貸金業法とか出資法の上限金利も利息制限法の上限金利に合わせる形に法改正もされました。

そういったことで、現在、大半の貸金業者は最高裁判決、及び法改正を踏まえて、2009年前後から金利をきちんと20%以下に変更しているので、それ以降に借金している人に関しては、過払い金は存在していないはずです。

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■ 任意整理する借金を選択できる
~親戚・友人・保証人に迷惑をかけたくない~

 
債権者が複数いて、しかも債務超過になって、債務整理しなければならなくなった場合、各債権者の扱いを平等にするのが原則です(債権者平等の原則)。

基本的には「任意整理」もこの「債権者平等の原則」の適用があるのを本筋・原則としますが、整理する借金を選択して特別の扱いができるというのが「任意整理」がもつ大きな特徴です。

どういうことかと言うと「任意整理」とは、複数ある借金のなかで借金整理を望む借金と借金整理を望まずに借金としてそのまま返済を続けていく借金とに分けて、借主(債務者)がその選択を自由にできるということです。そして、その限度で「債権者平等の原則」の適用を外すということです。「任意整理」はそれができるということです。

例えば、貸金業者からの借金は「任意整理」して整理していこう。でも友人や会社からの借金は「任意整理」しちゃうと貸したお金が減ってしまって迷惑をかけるからそのままにしていこう、と選択できるのです。このことは、大きな特徴であるとともに、時としてメリットに繋がります。

これができるのは「任意整理」が、あくまで裁判所の介入がなく債権者債務者の二者間の私的交渉を通して合意を見出し債務整理する手続だから、貸付先の債権者が複数あっても貸付先の債権者全員を整理の対象とすることが法律で強制されているわけではないのです。

したがって、複数ある借金の中に担保付の借金がある場合、その借金を「任意整理」の対象から外すことで、これまで通り返済を続けることができるので担保権の実行を免れ財産を守ることができるのです。

また、同じ理屈で複数ある借金のうちある特定の借金のみに保証人がついている場合、その借金を「任意整理」の対象から外すことで、保証人に借金の請求が行って保証人に迷惑をかけるのをふせげるのです。

それに対して「個人再生」とか「自己破産」は、私的交渉レベルではなく裁判所が介入してくるので、すべての関係する貸主(債権者)のリストを裁判上に提出させ公平・平等・統一的にすべての借金を整理し解決する必要があり、ある特定の債権者のみを債務整理の対象から外して有利な扱いをすることは許さないという「債権者平等の原則」が真正面から当てはまり「債権者平等の原則」違反は許されません。

だから「任意整理」のように整理する借金を選択できるとするのは、債権者に対して不平等扱いになるので許されません。

ちなみに「債権者平等の原則」とは複数の債権者(貸主)がいて、債務整理する際は債務者(借主)の総財産から各々が持っている債権額に応じて、平等・公平に比例配当していく原則をいいます。詳しくは、下記の関連記事を参照してください。

だから「個人再生」や「自己破産」の手法をとってしまうと、友人とか会社からの借金も強制的に整理の対象になってしまい、場合によってはその人たちには迷惑がかかってしまうわけです。

つまり、迷惑をかけたくないから、それらは整理の対象から外したいと、切に思ったとしても「個人再生」「自己破産」の場合は、それをできません。でも「任意整理」は、それができるのです。

 

■「任意整理」すると5年間は信用情報機関に登録される

 
「任意整理」は他の債務整理方法(個人再生・自己破産)に比べて、デメリットは小さいとされていますが、そういったなかで一番大きなデメリットは、なんといっても信用情報機関に掲載されている信用情報に事故情報がついてしまうということです(いわゆる、ブラックリストに載る)。

信用情報にキズがつくと、下記のようなこと(一部)はできなくなります。

①サラ金等の貸金業者から借り入れができなくなります。
②新しいカード会社で新規クレジットカードをつくれなくなります。
③ローンで商品を購入できなくなります。ローン審査が通りません。

こうなってしまうと、日常生活することがかなり厳しくなるかもしれません。

でも、これは仕方がありません。そういうことになっているわけですから・・・。

もう、こうなるのはこりごりだと思うのであれば、自分への戒めとして、これらのことは甘んじて受けて、もう、これからは借金問題でゴタゴタすることは絶対にしないと誓いを立てましょう。

「任意整理」レベルで借金問題が解決できたのですから、良かったと思いましょう。

もっとも「任意整理」が信用情報にキズがつくかどうかは、各信用情報機関によって対応が異なっています。これについては下記の関連記事を参照してください。

 

■ まとめ ~条件・メリットとデメリット・向いている人~

 

(1)「任意整理」が認められる条件

安定した収入が継続的に見込めること
原則として3年~5年で返済できる見込みがあること
完済するまで返済し続ける意思があること

 

(2) 「任意整理」のメリット&デメリット一覧

  

メリット
一旦、借金の返済をとめることができる
任意整理の手続きに裁判所は介入しないので手間・時間がかからない
弁護士等が貸金業者に受任通知を発送した後は取り立てがとまる
利息制限法に基づき金利の引直し計算をし過払い利息を元本に充当できる
経過利息、将来利息、遅延損害金を0%にすることができる
利息がカットされるので3~5年での借金の完済目標を立てることができる
任意整理を行う債権者を選択することができる(債権者平等の原則の排除)
自己破産のような職業上の制限(資格制限)がない
官報(国発行の広報誌)に氏名・住所が掲載されることがない
デメリット
信用情報機関に事故情報が5年間登録され新たな借金ができない

 

 

(3)「任意整理」で借金整理することが向いている人

借金総額が比較的少ない人~収入や家族構成、生活状況などにもよりますが、残元金が100万円~200万円程度~
返済は継続されるので、安定した収入源を持っている人
返済しても利息が減るばかりで元本はなかなか減らない人
手続に手間と時間をかけたくない人~裁判所が関与しないため手軽にできる~
手放したくない財産を持っている人
複数ある借金のなかで保証人付き借金を持っている人~保証人付きの借金を外して他の借金を選択して任意整理できる~
債務整理で借金の整理をすることを家族、友人、勤務先に知られたくない人

 

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(1)電話またはオンライン上のお問い合わせフォームに必要項目に入力して申込する。
(2)相談パートナーより申込日より3営業日以内に電話またはメールにて相談内容の確認と専門家の希望条件をお尋ねします。。
(3)依頼人の要望する条件に合った事務所を複数案内します(平均3~5事務所)。
(4)電話かメールで案内された事務所とやり取りして無料相談の日程を調整する。
(5)依頼人の方から直接事務所に出向いて無料相談を受ける(案内されたすべての法律事務所と無料相談可能)。
(6)無料相談を受けた複数の法律事務所の中から実際に債務整理手続きをお願いする事務所を決めたらをその事務所に依頼する。なお、必ずしも具体的な債務整理手続きを依頼することなく無料相談で終わってもかまいかせん。

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最終更新日:2023/10/10