個人再生における「履行テスト」とは? ~実際に長期間にわたって返済可能かを調査~
2021/12/14
■「履行テスト」開始時期と実施期間
(1) 東京地裁の場合
(2) その他の裁判所の場合
■ 積み立てられた金額の行く末は?
(1) 東京地裁の場合
(2) その他の裁判所の場合
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■「履行テスト」とは?〜その目的と内容は?〜
「個人再生」は裁判所が全面的に介入して借金問題を解決する債務整理手続です。
債務者側から提出された再生計画(返済計画)案を裁判所が認可すると、借金額は大幅に減額されますが、その減額された借金額を当然毎月々返済していくことになります。 自己破産のように借金返済が免除になることはありません。
その再生計画案を認可する権限が裁判所にあるわけですが、裁判所にある以上は債務者にきちんと返済能力が備わっているかを判断しなければなりません。
特に個人再生の返済期間は3~5年の長期間になるので、その判断は非常に重要となります。
そこで、長期間にわたって継続的に返済を続けていけるか否かを確認するために、多くの裁判所は「履行テスト」という仕組みを設けて実施していて、その結果を踏まえて再生計画案を認可するか否かを判断しています。
「履行テスト」とは、個人再生を申立てる債務者に【継続的な返済能力があるかどうかを確認するためのテスト】を言っていいでしょう。
その内容は、再生計画案の認可前に、もし債務者側が提出した再生計画案が認可されたら、返済することになるであろう月々の返済額と基本的に同額の金額を債務者に一定期間実際に積み立てさせることで、その再生計画案に実行性があるかどうかを見極めるテストです。
金額は、当然に作成する再生計画案によって異なってきます。もし、再生計画案で毎月々の分割返済金を4万円と設定した場合、「履行テスト」で毎月々振り込む(積み立て)金額も基本4万円となります。
債務者本人の経済状況や抱えている借金の金額等々を考慮して、依頼した弁護士・司法書士との綿密な話し合いを通じて、これから返済を継続できるであろう金額を決めて裁判所に提出する再生計画案を練ることになります。非常に重要なプロセスです。
ところで「履行テスト」は法律上の規定ではなく裁判所の運用によって行われているものです。よって、裁判所によって具体的なやり方や実施期間が異なっています。でも、多くの裁判所がこの仕組みを実施しています。
したがって、その名称も色々あって「履行可能性テスト」とか「トレーニング期間」とか「積み立てトレーニング」「積立金制度」とかあります。
「履行テスト」で、毎月の指定日に遅延なく積み立てられていれば、再生計画認可へ向けてプラス材料と裁判所は判断するだろうし、それに対して、ときどき遅延したり、積み立て金額が予定金額に不足している場合があるとか、そういったことがあると裁判所は再生計画の実現性に疑念を抱き認可は難しい状況になります。
※履行テストに必要な因果の流れ ⇒「毎月指定された期日までに」⇒「指定された額のお金を」⇒「指定された口座に振り込む(積み立て)」
■「履行テスト」開始時期と実施期間
提出された再生計画案は「履行テスト」の結果をふまえて認可するか否かを決めるわけですから「履行テスト」は個人再生の申立てから認可されるまでの間に実施することになりますが、前述したように、この仕組みは各地の裁判所の運用という形で実施されているから、開始時期、実施期間等々で異なります。
~個人再生の手続の流れはおおむね下記の流れで進められます~
① 個人再生を申立てる
↓
② 個人再生委員が選任されることもある(東京地裁では選任必須)
↓
③ 個人再生委員が選任されると面談調査が行われる
↓
④ 個人再生の開始手続が決定される
↓
⑤ 債権調査が行われる
↓
⑥ 再生計画案を作成する
↓
⑥ 再生計画案を裁判所に提出する
↓
⑦ 再生計画案が認可される or 不認可になる
(1) 東京地裁の場合
東京地裁の場合は、個人再生の申立てをすると、直ちに個人再生委員の選任がなされます。この個人再生委員の選任は東京地裁では必須事項となっています。
申立てから1週間以内に個人再生委員から示された振込先口座に第一回目の振り込み(積み立て)を行うことになります。
つまり、東京地裁の「履行テスト」の開始時期は、個人再生の申立てから1週間以内に行うものとされていて、第二回目以降は毎月一回のペースとなります。
第一回目の振り込み(積み立て)は、裁判所が個人再生の再生手続開始決定をすべきか否かの判断材料の1つにもなるので、第一回目の振り込み(積み立て)を確認後、申立てから3週間以内に個人再生委員は裁判所に「開始決定に関する意見書」を提出し、この意見書をもとに裁判所が開始決定をするかどうかを判断します。
だから、1週間以内に一回目の所定金額が振り込まれて(積み立て)いなければ、裁判所は個人再生手続の開始決定をせず、申立ての棄却・却下の可能性があります。
そして「履行テスト」の振り込み(積み立て)期間は、原則6ヶ月間とされています。
もっとも「履行テスト」の実施中に裁判所側で申立人(債務者本人)に十分な返済能力があると裁判所が判断した場合には、6ヶ月を待たずにテスト終了となることもあります。
第一回目はきちんとクリアーして開始決定されても、第二回目以降の分割支払い(積み立て)で不履行があった場合は、個人再生委員から裁判所へ2回意見書の提出機会があって、1回目は債権者による書面決議の前で2回目は再生計画の認可不認可の決定前です。
1回目の意見書は、書面決議に付するかどうか等に関する意見書で、それに基づき裁判所は書面決議に付するかどうか等の決定がなされます。もし、この時点すでに履行テストで支払不履行が生じていたら、個人再生委員は裁判所に意見書をもって「書面決議に附すことができない」と報告することになります。裁判所はこの意見書をもとに判断した結果、個人再生手続は途中で廃止になる可能性がでてきます。
2回目の意見書は、まさに再生計画の認可するか否かの直前に提出する意見書で、もし、この時点で履行テストで支払不履行が生じていたら、個人再生委員は裁判所に意見書をもって「再生計画は不認可にすべき」と報告することになります。裁判所はこの意見書をもとに判断した結果、個人再生手続は不認可になる可能性がでてきます。
なお「履行テスト」は債務者の継続的な返済能力を調べるための仕組みですから、毎月分納払いを堅持しなければならず、ある時払いとか、一括払いでは認められません。
◆ 個人再生申立て後1週間以内にする分割予納金の支払い
◆ 個人再生手続開始決定後の毎月々の分割予納金の支払い
(2) その他の裁判所の場合
他の裁判所(例えば、大阪、横浜、埼玉、千葉・・・・)では、東京地裁のように個人再生委員の選任は必須条件ではありません。弁護士が申立人になっている場合は、個人再生委員の選任はなされません。(まれに、個人再生委員が選任される場合もあります)
振込先口座は、東京地裁のような個人再生委員が選任されるようなことは基本的にないので、個人再生委員の振込先口座はありません。したがって、申立人の振込先口座または代理人弁護士の振込先口座に毎月の指定日に予定金額を振り込みます(積み立て)。振り込まれると、それがわかる通帳のページをコピーして、裁判所に提出します。
「履行テスト」の開始時期は、個人再生開始手続決定後で、毎月決まった指定日に予定金額を原則として4~6か月の間継続して振り込んで(積み立て)いくことになります。
■ 積み立てられた金額の行く末は?
(1) 東京地裁の場合
そもそも、予納金とは、弁護士や司法書士に支払う費用とは関係なく裁判手続の申立時に裁判所に支払う費用で手数料や官報公告費などに充当される金額をいいます。本来は申立て時に裁判所に納めるのが通常です。このことは、東京地裁の場合も同じです。
ただ、東京地裁の場合は、先に述べたように、個人再生委員の選任が必須条件であり「履行テスト」で積み立てられたお金は「分割予納金」として個人再生委員が用意した振込先口座に振込まれ裁判所の管理下納められることになっています。
だから、この毎月々積み立てられた金額は、「履行テスト」が無事に終了しても直ちに申立人に返されるのではなく、まずは個人再生委員の報酬に充当されて、残金があれば申立人(代理人弁護士or債務者本人)に返されます。
個人再生委員の報酬は、代理人弁護士がいるケースでは15万円。債務者本人が申立てるケース(司法書士に依頼した場合も含む)では25万円となります。
(2) その他の裁判所の場合
東京地裁以外の裁判所の場合も東京地裁と同様、予納金として裁判所に支払う費用である手数料や官報公告費などは申立て時に納める点で同じです。
ただ「履行テスト」として積み立てた金額は分割予納金として扱われることはありません。だから、東京地裁のように、個人再生委員の選任は基本ありませんから、分割予納金から個人再生委員の報酬が天引きされることはありません。
そして、この場合の「履行テスト」の金額の振込先は、個人再生委員が用意する口座なんてものはないので、申立人自身の口座や代理人弁護士の預り金口座に積み立てをすることになり、それゆえに、その積立金は裁判所ではなく申立人側の管理下にあって「履行テスト」が無事に終了すれば申立人の手元に戻ります。
手元に戻された積み立て金は、認可された再生計画の弁済に充てたり、弁護士費用の支払いに充てたりすることができるわけです。
この場合の「履行テスト」の実施期間は、東京地裁に述べたように、原則6ヶ月で状況を見て短縮されることもあります。
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