「任意整理」したら銀行口座は凍結される?凍結口座はいつ解除される?
2021/09/13
■銀行口座が凍結され相殺されるケースとはどういうケースか?
① 銀行とその系列の消費者金融のうち後者のみに借金がある場合
② 銀行とその系列の消費者金融の両方から借り入れがある場合
■凍結口座はいつ解除されるのか?
■銀行は「受任通知」を受領後の口座入金額は相殺しません
■まとめ
① 任意整理で銀行口座が凍結されるケース
② 任意整理で銀行口座が凍結されないケース
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■「任意整理」したら銀行口座を凍結される可能性は高い!
「任意整理」とは、借金に関する支払い総額や月々の支払い額、あるいは支払い方法などの見直しを、貸金業者との話し合いによって解決する借金整理手続きのことをいいます。
「任意整理」は、その依頼を受けた弁護士などの専門家が、その任を引き受けた旨の「受任通知」を貸金業者に送付することで始まります。
もし、あなたが銀行のカードローンで200万円を借金をして、残りの借金120万円のときに返済不能となって「任意整理」した場合、そして、その時にその銀行に残高25万円の口座を持っていたら、銀行は弁護士らからの「受任通知」受け取った時点で、間違えなくその口座を凍結するでしょう。
「口座凍結」とはその口座にある残高を引き出すことができないということです。その目的は、一言でいえば債権回収を図るための債権保全のためです。
銀行は預金者がもっている預金債権(払い戻し請求権)25万円の引き出しを禁止して(凍結)、その債権を返済が滞っている貸金債権120万円でもって相殺することによって、貸金債権の一部(この場合は25万円分)でもいいから債権の回収を図ることにあります。
そうすることによって、口座に入っている預金残高25万円が、自動的に借金120万円の返済に充てられて、銀行にとっては25万円分は回収できて、残りの債権を120万円から95万円に減らすことができるのです。だから、銀行にとって、凍結は必要な行為なのです。
銀行が口座凍結をする時期は、受任通知を受け取った時点であり、それと同時に相殺を主張してきます。
相殺を主張する側の債権を「自働債権」。相殺を主張される側の債権を「受働債権」といいます。上記の例でいうと、銀行が持っている120万円の貸金債権が「自働債権」、預金者もっている預金債権25万円が「受働債権」となります。
このように、凍結、そして相殺は、相手方の同意を要しない債権者たる銀行の一方的行為によってなされてしまうので、口座凍結され相殺を主張されると、それを防ぐ手立てはなくどうしようもありません。どうしてもそれを避けたいのであれば「受任通知」を送付する前に銀行から全預金25万円を引き出しておかなければなりません。
■ 銀行口座が凍結され相殺されるケースとはどういうケースか?
口座が凍結されると、口座から出金できなくなります。ただ、入金はできます(もっとも、銀行によっては入金もできないところがあるようです)。
出金が光熱費といった公共料金の支払いに使われるものであっても出金はできません。また、同じ銀行で同一名義人である限り、別の支店にある口座であっても、凍結されて出金はできなくなります。
① 銀行と同系列の消費者金融のうち後者からのみ借り入れがある場合
さて、ここで考えてもらいたいことがあります。
消費者金融のアコムと東京三菱UFJ銀行は、東京三菱UFJ銀行を親会社であるため両者は系列関係にあります。
もし、アコムに対して借金を負っていて、その借金だけを選択して「任意整理」しようとする場合、東京三菱UFJ銀行に口座をもっていたら、系列ということで、その預金口座も凍結されてしまうのでしょうか?
この場合、いくら系列だとしても、東京三菱UFJ銀行からは何も借り入れがありません。この場合は、東京三菱UFJ銀行の口座が凍結されることはありません。このことは特に問題ありません。
② 銀行とその系列の消費者金融の両方から借り入れがある場合
ところが、もしアコムと東京三菱UFJ銀行の両方から借金を負っている場合はどうでしょうか?この場合は、ちょっと話は違ってきます。
例えば、あなたは、アコムには90万円、東京三菱UFJ銀行には50万円の借金があります。そして、あなたは東京三菱UFJ銀行に口座をもっていて、そこには26万円の残高があるとします。そういう状況の中で、あなたはアコムに対する借金だけを「任意整理」しようとします。
そのとき東京三菱UFJ銀行はその残高26万円の預金口座を凍結するのでしょうか?
結論から言うとから東京三菱UFJ銀行はその預金口座を凍結します。
凍結して、先ほどのように相殺を主張して、東京三菱UFJ銀行はあなたに対して持つ50万円の債権(自働債権)でもって、あなたが銀行に対して持つ26万円の預金債権(受働債権)との相殺を主張して、銀行があなたに対して持つ50万円の債権のうち26万円分を回収するのです。
そうなると、あなたの口座残高は当然ゼロになります。
さて、どうして、両方から借り入れをししている場合は、口座凍結されるのでしょうか?
その前に、まず、前提問題として理解しておくべきことがあります。
銀行(銀行カードローン)としては、借金の返済が滞るという不測の事態が起こった場合の債権回収方法は、先ほどから述べている「相殺」を主張のほかに「保証会社」をつけるという方法があります。これは一般的に行われていることです。
銀行でカードローンを利用する場合、多くはその保証会社が審査をして、銀行が債務者に担保や保証人の提供を要求しない代わりに、もし債務者の返済が万が一にも滞った場合には、保証会社が債務者に成り代わって銀行への返済を保証する仕組みになっています。
この成り代わり弁済を「代位弁済」といいます。
そして、保証会社が銀行に代位弁済した後は、今度は保証会社が債務者に貸金返還請求権を持つます(求償権)。本来は、債務者が支払うべき金額だからこれは当然ですよね。
そして、その保証会社は、その銀行の系列の消費者金融会社がなっていることが多く、東京三菱UFJ銀行のカードローンの保証会社はアコムということになります。
以上を前提として、続きを述べていきます
「任意整理」は、その債務整理の対象を取捨選択できて、アコムに対する債務のみを選択して、そのことは東京三菱UFJ銀行に対する債務には影響を与えず、そのまま残しておくことができます。
ところが、繰り返しますが東京三菱UFJ銀行とアコムとは系列関係にあります。
しかも、アコムはカードローン債権の最終担保となる保証会社でもあるので、その保証会社アコムを「任意整理」するということは、銀行のカードローン債権の行く末にマイナスの影響を与えかねません。
銀行は、保証会社の債務を整理してしまうような経済状況にある債務者は、将来に銀行のカードローンの返済にも悪影響を及ぼしかねないと判断します。
だからこそ、そういう事態を導いた債務者の預金口座を凍結して、カードローンに関し債務者がもつ期限の利益を喪失させて(期限の利益喪失条項)、すぐにでも相殺できる条件に整えて(相殺適状)、貸金債権(カードローン)の確保に努めるわけなんです。
※「期限の利益喪失」とは?「期限の利益喪失条項(約款)」とは?
①当事者双方が同種の債権を対立させていること(民法505条1項本文)
②当事者双方の債務が弁済期にあること(民法505条1項本文)
※但し、自働債権は必ず返済期日が到来していることが必要(但し、期限の利益喪失条項が効果を発する)ですが、受働債権はまだ返済期日が来ていなくても、相殺を主張する債権者が期限の利益を放棄することで、相殺を主張することができます(136条2項本文)。受働債権に返済期日の定めがない場合も同様です。
③債務が相殺できるものであること(民法505条1項但書)
具体的には、繰り返しになりますが、口座凍結した預金債権26万円を50万円の貸金債権でもって相殺することによって、50万円の債権のうち26万円分を回収するのです。
思うに、系列ということで、そして保証会社ということで、東京三菱UFJ銀行が行う凍結・相殺を認めてしまうというのは「任意整理」の意味というか、その存在価値がなくなってしまうという感じがしないでもないですが、
仮にそうだとしても、そもそも相殺権の行使は、先に述べたように一方的にできてしまうので、相殺を主張されてしまうと、どうしようにも対処できません。やはりそれに対抗するためには「受任通知」を送付する前に、口座から全額を引き出しておくしかないでしょう。
■ 凍結口座はいつ解除されるのか?
銀行が口座凍結を解除するのは、保証会社による代位弁済を受けたときです。
まず、銀行は最初に口座を凍結して、相殺でもって債権の回収を図ります。
例えば、カードローンの残高が150万円あって、それが「任意整理」の対象になって、そのとき、債務者の持つ口座預金には25万円あった場合、銀行は、とりあえず口座凍結して、その25万円分を相殺でもって回収します。
そして、150万円から回収した25万円を差し引いた残りの貸付債権125万円は保証会社に代位弁済を請求します。相殺が可能であれば、最初は相殺が先で代位弁済は次順位です。つまり、相殺を先にしなければ銀行は保証会社に代位弁済を請求することはできません。
代位弁済が終了して、銀行としては債権が全部回収された段階で口座は凍結を解除されます。その後は通常通り出入金は自由に行うことができる銀行口座に復帰します。だいたい、口座凍結期間は、銀行が保証会社から代位弁済をうけるまでの1~2か月間くらいです。
以上が、一般的な例ですが、銀行によっては代位弁済後は口座を強制解約させるところもあり、すべてがすべて一般例に従うとはかぎりません。その銀行がどのような行動をとるかは、最後には銀行に確認するしかないのです。
思うに、その口座に特別な思い入れがないのであれば、その口座にこだわる理由はなく、あらたに口座を作ればいいわけです。「任意整理」中でも新規口座は自由で作ることができます。
ところで「任意整理」の申し立てを受けたのは銀行であるにもかかわらず、銀行自らが債務者と「任意整理」の交渉などはしません。交渉事はすべて保証会社に丸投げです。だから「任意整理」の交渉は保証会社と債務者との間で行われることになります。
保証会社が125万円を銀行に代位弁済した後は、先に述べたように、今度は保証会社が求償権として債務者に125万円の返還請求権を持つわけで、「任意整理」の交渉の結果、その125万円がどうなるか?ということです。
銀行の口座残高の25万円は、すでに相殺でもって失っているので、その25万円はもはや戻っては来ません。とにかく、銀行は一切の不利益は負わない仕組みになっているのです。
■銀行は「受任通知」を受領後の口座入金額は相殺しません
受任通知を受け取った前に口座にあった金額は、銀行に相殺されて戻って来ないのは致し方ありません。
>でも、受任通知を受け取った後に入金された金額は相殺しないと解されています。
「自己破産」の受任通知を受け取った後の入金された金額は相殺禁止とする破産法の規定がありますが「任意整理」にはありません。
でも、最初は「任意整理」から入っても、その後の展開によっては「自己破産」が借金問題解決へのベストな方法になるかもしれません。もしそうなったらあとあと「否認権」等の問題が生じかねないので面倒になります。
そういったことを避けるために、一律に受任通知を受け取った後の相殺はしないとされています。
相殺はされませんが、口座の凍結中は入金された金額を引き出すことはできません。
■ まとめ
①「任意整理」で銀行口座が凍結されるケース
2. 銀行カードローンではなく、自動車ローンを任意整理した場合の銀行口座
3. 銀行カードローンとその系列の消費者金融の両方から借金をしていて、後者の借金を任意整理した場合の銀行口座
⇒これは、記事本文でも述べたように、系列の消費者金融は銀行カードローンの保証会社になっていることが多く、その保証会社の借金を任意整理するのは、銀行カードローンの期限の利益を喪失する可能性があるので、よってその口座は凍結され相殺される可能性があります。
②「任意整理」で銀行口座が凍結されないケース
2. A銀行に口座をもっていて、A銀行からの借金もある場合で、全く別のB銀行からの借金を任意整理した場合のA銀行の銀行口座
⇒別の銀行でも任意整理したことにより、その信用情報は載りそれは各金融機関に共有されますが、①の場合はもとより、②の場合であっても、実際にA銀行の債務返済が止まらない限り凍結はありません。
⇒同じ系列の消費者金融の借金が任意整理されたとしても、何ら借り入れがないのに、その銀行の銀行口座が凍結されることはありません。
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