「任意整理」の和解交渉でカットを目指す対象は3つ「経過利息」と「将来利息」と「遅延損害金」
2025/04/07
■ 任意整理で提示する和解案の内容についての全国統一基準
■「経過利息」「遅延損害金」の場合
■ まとめ
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■「経過利息」「将来利息」「遅延損害金」について
貸金業者、金融業者とのお金の貸し借りには「利息」が付くのは当然のことです。
「利息」とはお金(元本)を借りることができたという金融サービスの【対価・利用料】といえます。
ただ「利息」は、お金を借りている間ずっと発生し続けるので、借金した側からすれば、ときには自らを苦しめる『悩みの種』となることもあります。
銀行系、消費者金融系のカードローンでのキャッシングは、無担保融資となるので非常に気軽かつ手軽に借り入れが出来てしまう反面、金利がかなり高く設定されているし、債務者からの返済金は、まずは「利息」の返済に充てられて、次に「元本」に充てられていくので、返済の中味については「利息ばかり支払わされて、一向に元本が減らない」というタメ息混じりの状況が生まれます。
そして、時が経てば経つほど、借入件数が多ければ多いほど、多重債務化されて「利息」は、どんどん膨らんでいきます。
※キャッシングの金利・利息についてはこちら。
したがって、借金の返済に苦労しているとき「利息」の減額またはカットだけでも実現できたら借金完済に向けて明確な道筋が立てられて債務者の負担軽減に大きく資することになります。
「利息」は「任意整理」の合意の成立(和解契約)の前後で「経過利息」と「将来利息」の二つに分けられます。
〇「将来利息」とは、任意整理が成立(和解契約成立)してから任意整理の返済が完了するまでのこれから発生するであろう約定利息をいいます。
なお、上記に二つのほかに利息とは性格を異にするけど「遅延損害金」という支払い金が発生する場合があります。
■ 任意整理で提示する和解案の内容についての全国統一基準
「任意整理」は、裁判所が介入しないので取扱い件数は非常に多く、しかも私的な借金減額手続きであるから、その決着の仕方はどのような形式で交渉し決着しても原則自由といえます。ただ、まったく自由というよりは、弁護士、司法書士共通の全国的な統一基準、つまり交渉対象となる和解案の内容について一応うまくいったという目安(利息、元本、遅延損害金等の扱いについて)を予め決めておいた方が好ましいといえます。その構築を目指す目標として手続を進めていくのがより合理的といえます。
任意整理を依頼する弁護士によって、交渉結果に天と地の大きな開きがあったら弁護士全体の信用問題に発展しかねません。どの弁護士に依頼しようにも最低限のポイントについては共通認識をもって交渉を進めていく方が信頼の確保という点で間違えないです。
【任意整理における弁護士会の統一基準】
(1)初回からのすべての取引履歴の開示を請求する ⇒※
(2)利息制限法に基づく引き直し計算で債権額を確定する
(3)和解案の提示の際に、遅延損害金や将来利息を付けない
※上記の三つの基準のうち、このページで関係する基準は(3)であり、和解交渉の段階で、借金返済の滞納により生じた過去の遅延損害金と、現在の借金元本にかかる将来利息の二つを免除するよう貸金業者に求めます
■「経過利息」「遅延損害金」の場合
「経過利息」とは、和解交渉成立までに発生した未払いの利息を言います(過去に発生した利息)。
例えば、毎月の支払期日が月初めの1日である場合で、7月1日の支払いはなんとかできたけど、8月1日の支払いが困難な状況で今後の見通しもたたないので、支払いが延滞になる前の7月20日に弁護士に任意整理を依頼し、弁護士は7月21日に貸金業者に受任通知を送付し、7月22日に貸金業者が受領しました。
受任通知の効果として、貸金業者の取り立て行為の禁止と貸金業者への取引履歴開示請求を行使して、借金の減額交渉を続けた結果、約3か月後の10月20日に任意整理が成立し借金返済金額の減額が実現しました(7月1日から10月20日までに発生した利息が経過利息)。
受任通知の効果で債権の取り立て行為自体は禁止され、その流れで支払いも停止できます。でも、これは事実上停まっているにすぎず、よって、債権自体は法律上正当に存続しているわけだから「経過利息」は法律上は発生してます。
でも、もし、任意整理の和解交渉がうまくいって法律上発生している「経過利息」まですべてカットとなれば、貸金業者(債権者)は債務者との合意で法律上発生している経過利息を放棄するということになって、当然に債務者は支払う必要がなくなります。
一方、任意整理がなんとか合意に達したとはいえ「経過利息」はカットされないとか、またはそもそも任意整理の交渉自体が不調に終われば、法律的には発生している「経過利息」は合意による放棄はなく支払請求を何ら妨げられるものではありません。支払いが必要となります。
もっとも「経過利息」がカットされなかったとしても実際は7月1日から計算されて、計算の元になる期間のメインは弁護士の受任通知(7月21日)から任意整理の成立(10月20日)までの比較的短期間(3~6月間 ※交渉期間が長くなればなるほど経過利息は増えます)であり延滞しているわけでないので、延滞金や遅延損害金の発生を回避されます。よって、その間に発生する金額は「経過利息」のみでそれほど大きな金額にはなりません。
もう一つ支払が発生するものとして「遅延損害金」があります。
「遅延損害金」は「経過利息」と同じで任意整理の成立(和解契約成立)の前に発生する支払分として共通ですが、「経過利息」と違うところは、支払期日が来たにもかかわらず支払いを延滞してしまった場合に発生します(債務不履行を発生条件とする)。仮に延滞が不可抗力であっても法律上当然発生する損害賠償金のことです。利息のように契約で発生するものではありません。
※「遅延損害金」の計算式についてはこちらを参照
受任通知の効果で債権の取り立て行為自体は禁止され、その流れでその支払い自体は停止されますが、それは事実上にすぎず延滞があれば「遅延損害金」は法律上発生しています。
とはいえ、任意整理の和解交渉がうまくいって「遅延損害金」までカットということになれば、法律上発生している「遅延損害金」貸金業者(債権者)は債務者との合意でもって法律上発生している「遅延損害金」を放棄したことになり、当然に債務者は支払う必要はありません。任意整理の和解交渉が不調に終わり任意整理による解決から方向転換してこれまで通りの支払いになれば、事実上の停止にすぎなかったので、法律的に発生していた「遅延損害金」は合意による放棄はなく債務者の支払い義務は生ずることになります。
例えば、先の例で毎月の支払期日が月初めの1日である場合、ある時までは毎月きちんと守って金額を返済していましたが、平成18年3月1日を最後に返済が滞り、平成18年11月1日現在まで返済が一切できずにいて、このままだと借金が膨らむ一方になるので、同年11月5日に弁護士に「任意整理」を依頼しました。
受任した弁護士は、その旨を貸金業者に受任通知を発し貸金業者からの取り立てをストップさせるとともに、約3か月間の和解交渉の末「任意整理」が成立した日は平成19年3月11日でした。
借入をした日から平成18年4月1日(最終支払日)までは「経過利息」が発生していますが、分割支払期日の4月1日に支払われなかったとして、その翌日の4月2日以降は延滞となり「遅延損害金」に変わって延滞分を完済しない限りずっと発生していくことになります。
「経過利息」と「遅延損害金」は「任意整理」による交渉対象に入ります。この交渉には裁判所が一切関与しないので、どの程度減額、カットされるかどうかは貸金業者(債権者)との和解交渉の結果に委ねられます。
ただ、次のようなケースなどがあると「経過利息」のカットは認められない傾向があります。
例えば、取引期間が短い場合です。短いと「返済するつもりがないのに借入れを行ったのでは?」と貸金業者に疑いを持たれることがあるからです。まだ、一回も支払っていないのに任意整理を主張してきた場合も同様なを持たれます。
または、借金総額が少ない場合です。少額だと「任意整理で利息カットしなくても返済できるのでは?」と貸金業者に判断されるからです。
または、滞納期間が長い場合すでに長期間滞納していると、遅延損害金や経過利息が大きくなり、債権者がカットに応じないことがあります。
あるいは、任意整理が2回目である場合です。2回目ということは1回目の任意整理の和解契約を反故にしたということになるので、そのことが2回目の和解交渉には不利な要素として働く恐れがあり、よって、貸金業者としては「利息」のカットには応じない可能性があります。
さらに、返済能力が乏しい場合です。任意整理では、ほとんどの場合、利息カット後の借金を原則3年延長して5年で完済できる能力があることを前提に和解交渉して和解契約をします。したがって、そういう返済能力を備えていないと判断された場合は「利息」カットどころか「任意整理」自体に応じてもらえない可能性が大きいです。
「遅延損害金」については、支払期日徒過に対するペナルティーですから、通常の利息よりも高く設定(利息制限法上、上限20%)されるのが通常で、延滞期間が長ければ長いほど返済額は膨らみ、よって借金完済はどんどん難しくなり、最後には裁判を起こされ給与などの差し押さえを受けかねません
■ まとめ
これまで述べてきたように「任意整理」では「経過利息」や「遅延損害金」そして「将来利息」のすべてが和解交渉の対象になります。
そのなかで、貸金業者は「将来利息」のカットには比較的応じやすく「任意整理」交渉の本丸はこの「将来利息」といってもいいでしょう。
なぜなら「将来利息」とは、和解契約が成立した日から完済した日までの将来発生する利息をいうので、債務者としては今後は返済義務を負うのは元本だけを3年~5年かけて支払うことになり、債務者が完済までの支払うべき金額の見通しがつくので返済しやすくなり、貸金業者側としても貸し倒れのリスクが低減する一定のメリットがあります。したがって、将来利息の交渉に関しては比較的スムーズにいくことが多いとされます。
それに対して、経過利息と遅延損害金に関しては、貸金業者は減額、カットには消極的な場合が多いです。
なぜなら「経過利息」にしろ「遅延損害金」にしろ、すでに発生している金額であるため貸金業者としては「確定した利益」と捉えます。そのため、これらを減額、カットすることは、貸金業者にとって直接的な損失となるため認めにくいわけです。
ましてや「遅延損害金」は返済の遅れに対するペナルティとしての役割があるので、簡単に減額・カットすると「返済の遅れを許容する」とみなされる恐れがあるので、貸金業者としては「遅延損害金」の減額、カットには慎重になることが多いです。
以上、これは一般的な傾向として述べたにすぎず、先に述べた「任意整理における統一基準」に準ずるとしても、和解交渉の結果は契約自由原則より貸金業者との合意内容によりますので、債務者側(弁護士や司法書士等の専門家)の状況や交渉力、貸金業者の対応によって変動することを理解しておくことが重要です。
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