自己破産の事例と流れ|主要論点を学ぶ総合ガイド

●論点(1) 「支払不能状態」の解釈
●論点(2) 自己破産を申し立てるタイミング
●論点(3) 所有財産の清算価値で個人再生or自己破産?
●論点(4) 自己破産でも処分されない自由財産の範囲
●論点(5) 優先して特定の人に返済する行為の評価
●論点(6) 本来ならば同時廃止事件の規模なのに管財事件化になるのはどんな時?
●論点(7) 免責不許可事由と裁量免責
●論点(8) 免責の効果
![]()
23年前、家族のために3,500万円の自宅を35年ローン(頭金なし・金利1.5%)で購入し、その後、子どもの成長に合わせたリフォームや、返済負担を軽くするための借換を行い、追加で約400万円ほどの費用がかかりました。
それでも、23年間まじめに遅れることなく返済を続け、現在の住宅ローン残債は 約1,250万円 まで減っています。自宅は郊外の住宅地にあり、地価の大きな変動もありません。不動産会社の査定では、現在の市場価格は 約1,700万円前後 と見込まれています。
しかし、コロナ禍で残業が減り収入が減少したことで、住宅ローンの返済は次第に厳しくなり、このままでは維持が難しい状況が目に見えていました。
また、生活費や教育費が不足するようになり、カードローンや消費者金融に頼るようになります。気づけば借金は約820万円。この中には、まだ景気が悪化する前に競馬で負けた50万円も含まれていました。
「ボーナスで返せるはず」「来年には景気が良くなるはず」と考えながらも、状況は改善せず返済のためにさらに借りる生活が続きました。
ただ、友人から借りた30万円だけは迷惑をかけたくないと考え、先に全額返済しました。しかし、やがて限界が訪れます。毎月の返済額は合計22万円に膨らみ、手取りを超えてしまったことで返済が滞り始めました。
ほどなくして、自宅のポストに裁判所からの特別送達が届きました。消費者金融が「支払督促」を申し立てたのです。
この段階で、自力で家計を立て直すのは困難だと悟り、佐藤さんは特別送達を受け取った時点で弁護士に相談することにしました。
その際「ギャンブルで借金を作ったことに大いに反省しつつ、23年間頑張って返済してきたので、本当は住宅を守りたい」という気持ちも伝えました。
【借入の内容】
・銀行カードローン:300万円
・消費者金融:350万円
・クレジットカードのリボ:120万円
・競馬による負債:50万円
■ 事例に含まれる主要論点について
この事例に含められている主要論点(チェックリスト)
-
(1)「支払不能状態」の解釈
(2) 自己破産を申し立てるタイミング
(3) 個人再生or自己破産 清算価値保障
(4) 処分対象外の自由財産
(5) 債権者平等の原則違反の偏頗弁済
(6) 同時廃止から管財事件化
(7) 免責不許可事由と裁量免責
(8) 免責の効果
● 論点(1)「支払不能状態」の解釈
支払い不能状態とは「今後も継続して返済できる見込みがない状態」をいいます。
一時的に払えないというだけ(今月はちょっと足りない・ボーナスまで待てば払える)では足りなくて、客観的に今後も続けて払っていける見込みがない状態をいいます。さらに、気持ち的に「払おうと思えば払える」は関係ありません。裁判所は気持ちではなく、あくまで客観的な数字で判断します。
「返済が遅れていない=支払不能状態ではない」というのは間違えです。実際は、支払の延滞前でも支払不能状態に該当することがあります。今後に継続して支払える見込みがなければ期限が来てなくても支払不能状態になりえます。
佐藤さんの場合は
●「このままでは維持が難しい状況が目に見えていました」
●「返済のためにさらに借りる生活が続きました」
●「手取りを超えてしまったことで返済が滞り始めました」
●「支払督促が届いた」
といった状況を踏まえると支払不能状態にあるといって問題ありません。
● 論点(2) 自己破産を申し立てるタイミング
借金の返済が滞っても、いきなり差押えをして実力行使の債権回収(強制執行)をしてくるわけではなく、下記の段階を踏んで債権回収をしてきます。次の順番で動きます。
① 電話・督促状の段階(まだ私的な請求です)
・電話やハガキでの督促
・一括で払ってほしいという通知
👉 まだ話し合いの余地がある段階
② 法的請求の段階(裁判所が絡んできます)
・支払督促や訴訟
・裁判所から特別送達が届く
👉 債権者が差押えの準備に入ったサイン
👉 ここが自己破産のベストタイミング
③ 差押え⇒強制執行の段階
・給与の差押え
・預金口座の差押え
👉 お金が実際に回収される段階(取り戻せない)
②の段階の「債権者が差押えの準備に入った」というのは、債権者が債務名義を取りに来た(または取得した)段階という意味です。
「債務名義」とは、差押えをするための裁判所のお墨付きの公文書のことで、これを取得することで債権者は差押え⇒強制執行できるということです。
この段階が自己破産を申し立てるベストタイミングです。その理由は、まず、法的請求に対して支払いに向けての行動をとれなかったということは、この段階で確実に支払い不能状態に陥ったといえるので、この時点で債務者は自己破産の申し立てが出来て、破産手続開始決定にすすむことができます。
そして、破産手続きに入れば、破産者が破産以後の生活のために必要な一定の財産を手元に残すことができます。この一定の財産を「自由財産」と言って、債権者からの差押え・強制執行から守ることができます。
この「自由財産」は破産手続に入って初めて効力をもつ概念です。だから、破産手続開始決定前は、法律上当然「自由財産」という扱いにはなりません。自己破産を申立てることに躊躇していると、それが自由財産に値する財産であっても先に差し押さえられて、強制執行を受けて換価処分されて債権者に分配されてしまう恐れがあります。そうなったら、もう取り戻せません。
だから、債権者が「支払督促」を申し出て、裁判所からの特別送達が手元に届いた時点に、佐藤さんが自己破産申し立てた時期は、ベストなタイミングといえます。これで家財道具・生活必需品、そして生活に必要なお金は「自由財産」として守られます。要は「裁判所からの封筒」が来たら、すぐに動くことが大切だということです。
【支払督促到着時が破産申立てのタイミングである3つの理由】
① 支払不能が客観的に確定する
支払督促(特別送達)が届いた時点で「もう通常の返済を継続することはできない」という事実が、裁判所を通じて客観的に明らかになります。
これは、自己破産の法律上の要件である “支払不能” が確定した瞬間です。この条件が揃うことで、裁判所は 破産手続開始決定 を出すことができ、手続きがスムーズに進みます。
② 差押え前に「自由財産」を守ることができる
破産手続開始決定が出ると、生活に必要な財産(家財道具・一定額の現金など)は「自由財産」として差押えから保護されます。
しかし、自由財産の保護が働くのは 破産手続開始決定後だけです。だから、破産手続開始決定前に差押えが入ってしまうと、本来守れるはずの自由財産がそのまま回収され、取り戻すことはできなくなります。
支払督促が届いた段階で申し立てれば、差押えが始まる前に破産手続に入ることができ、自由財産として生活に必要な財産を確実に残すことができます。
③ 手続きがスムーズに進み、生活再建が早くなる
■ 支払督促の段階で動けば、
• 支払不能が明確
• 差押え前で財産状況が整理しやすい
• 裁判所の判断もスムーズ
という理由から、破産手続が滞りなく進みます。
その結果、免責手続にも早く到達でき、生活再建の道筋が立てやすくなります。
■ 逆に、差押えが始まってから申し立てると、
• 差押え解除の手続き
• 財産調査の増加
• 管財事件化の可能性
など、余計な負担が増え、
生活再建が大幅に遅れてしまいます。
~まとめ~
支払督促が届いた段階は「支払不能が確定し、自由財産を守れ、破産手続も早く進む」という3つの条件が揃うため、自己破産を申し立てる絶好のタイミングです。
● 論点(3) 所有財産の清算価値で個人再生or自己破産?
佐藤さんは、自宅を守りながらの債務整理を希望しています。自宅を守るには「任意整理」か「個人再生」の方法をとるしかありません。でも、元本を除いた利息のカットのみの「任意整理」では、借金額が非常に大きいので、今回の事案では不向きです。
それに対し「個人再生」は、元本も含めて大幅な減額が可能だし「住宅ローン特則」で自宅も守ることもできます。佐藤さんは、債務整理の依頼をした時点では「支払い不能状態」でしたが、個人再生が認められると借金額が820万円から5分の1の164万円に大幅減額され、それを3年から5年にかけて分割で支払うことが可能になります。もし個人再生が認められたら「支払い不能状態」から脱し「将来、継続的に又は反復して収入を得る見込みがある状態(支払い可能な状態)」に復活することも可能です。それを見込んで再生計画を裁判所に提出することも可能です。実際に、破産相当の状態でも、何とか自宅を守りたいということで個人再生を選択する人も珍しくはないです。
それに対して、その旨の再生計画を受けた裁判所は収入の安定性・継続性。家計の妥当性・健全性等々を注意深く調査して、本当にその再生計画には実現可能性があるのかを慎重に判断することになるでしょう。
ただ、本件事案に関しては、その守ろうとしている自宅が大きな問題を生じます。佐藤さんは住宅ローン35年のうち23年間延滞することなく支払い続けてきたということが、ローンの残高1250万円であり、その自宅1700万円(市場価格)ー1250万円(ローン残高)=450万円(清算価値)となります。(※実際は、さらに売買費用が引かれての数字が清算価値となる)
● 市場価格 = 自宅を今売りに出したら、いくらで売れそうかの不動産屋からみた価格
● 清算価値 = 債権者・裁判所・管財人から見た自宅の財産価値
1700万円(市場価格)もの自宅をもっていながら、それには何ら手を付けずに個人再生でもって大幅に減額された164万円の返済で借金は完済するというのは、あまりにも債権者にとって不利益といえます。そこで「清算価値保障の原則」が働き、法定の最低弁済金額164万円と自宅の清算価値450万円とを比較した場合、金額が大きい450万円を最低弁済額として期間3年から5年をかけて債権者に返済しなければならないということになります。
要するに、佐藤さんは個人再生を選択することができます。それによって望んでいる自宅も守ることができます。ただ、それを実現するためには、当初言っていた164万円ではなくて、450万円を最低弁済額として支払わなければなりません。もっとも、支払っていかなければならない金額は、このほかに残りの住宅ローン金額、その他もろもろの生活費等々の支払いも必要で、それらを継続して支払っていける安定かつ継続した収入が見込まれるという内容を含んだ再生計画を裁判所に提出し、その認可を受けなければ個人再生は成立しないことになります。
そうなると、佐藤さんは820万円の借金が返済できないということで債務整理を依頼したぐらいだから、約450万円の返済は極めて難しい。というこは、佐藤さんとしては自己破産を選択するしかなくなり、自宅の何とか残したいという思いはかなえられず。自宅は換価処分されることになります。住宅ローンの残債務については、免責の対象となります。
STEP1:まず「市場価格」と「清算価値」を分けて考える
【自宅の価値の内訳】
市場価格(売れそうな値段)…… 1,700万円
住宅ローン残高………………… 1,250万円
────────────────────────
清算価値(純資産)……………… 450万円
👉 個人再生で使うのは450万円だけ。
↓
STEP2:個人再生の最低弁済額を計算する
【法定最低弁済額】
借金総額:820万円
最低弁済額:820万円 × 1/5 = 164万円
👉 個人再生では 164万円を3〜5年で返済すればよい
(※ただし清算価値との比較が必要)
↓
STEP3:清算価値保障の原則で比較する
【最低弁済額の比較】
法定最低弁済額………… 164万円
清算価値(純資産)…… 450万円
──────────────────────
最低弁済額は「450万円」に決定
👉 164万円ではなく、450万円を返済しなければ個人再生は認められない
↓
STEP4:返済可能性を判断する
【佐藤さんの返済可能性】
・借金820万円も返せず相談に来た
・住宅ローンも継続して支払う必要あり
・生活費も必要
→ 450万円を3〜5年で返済するのは現実的に不可能
👉 個人再生は制度上は可能だが、実務上は認可されない可能性が高い
↓
STEP4:結論
【最終判断】
個人再生
├ 自宅を守れる
├ しかし最低弁済額は450万円
└ 返済が現実的に不可能
↓
自己破産
├ 自宅は手放す(換価処分)
├ 住宅ローン残債は免責
└ 生活再建が可能になる
● 論点(4) 自己破産でも処分されない自由財産の範囲
佐藤さんは、自宅を失いましたが、自己破産で失うのは家及び一定の財産だけです。生活そのものは失われることはありません。それを裏付けているのが「自由財産」の保護と「その拡張」という仕組みです。
すなわち、自己破産でいう自由財産とは、破産しても処分されることなく生活のために破産者の手元に残せる一定の財産のことで、すでに述べたように、自由財産は破産手続に入って初めて意味を持ち、破産手続き開始決定前では、自由財産としての保護効果はありません。
● 法律上の自由財産
1.現金(99万円以下)(破産法34条4項)
手元の現金は 99万円まで 残せます。
2.差押禁止財産 (破産法34条3項+民事執行法)
法律上、そもそも差押えできない財産は、破産でも守られます。
例:年金・生活保護費・給与の一部・児童手当など
3.破産開始後に得た財産(新得財産)(破産法34条の構造)
破産手続開始決定「後」に得た給料や収入はすべて自分のものとして使えます。
● 自由財産の拡張
自由財産の拡張とは、本来なら換価処分の対象となって債権者に配分されてしまう財産を裁判所の判断で「生活再建のための必要となり得る財産」を裁判所の判断で「生活再建のため残してよい」と広げてもらう仕組みをいいます。
そもそも、自由財産は法律でもって規定するとしても、生活レベルの標準水準は時代によって変化するものだし、現代は何事にもAI化顕著になっていく中で自由財産の範囲も裁量で広げていかないと、本当の意味での破産者の生活再建に寄与出来ないことになります。
それから自己破産制度の目的が「処罰」とは違って破産申立人の「生活の経済再建を図る」ということが個人破産制度の実質的な中核になっていることも自由財産の拡張傾向への後押しになっています
1.預貯金
預金も裁判所運用で「生活に必要な範囲」は手元に残せます
多くの裁判所実務で 20万円程度が目安とされています。
2.生活に必要な家財道具
冷蔵庫・洗濯機・テレビ・電子レンジ・ベッド・机といった日常生活に不可欠なものは処分されません
3.仕事に必要な道具・資格に関する物
仕事用パソコン・工具・商売道具・業務に必要な機材などなど、こういったものがないと収入を得られないから守られます。
● 論点(5) 優先して特定の人に返済する行為の評価
個人再生や自己破産のように、裁判所が関わる手続きでは「債権者平等の原則」が基本になります。債権者が複数いる場合は、窓口を一本化し、全員を同じ土俵に乗せて、公平なルールで一括して解決することを目指します。
もし、情報を早く知った債権者だけが先に回収してしまうと、他の債権者との間で不公平が生じますし、個別対応が増えると手間もコストもかかり、破産者の生活再建にも悪影響が出ます。だから「特定の債権者だけを優遇する行為」は問題視されるわけです。
佐藤さんが、自己破産の前に「友人に迷惑をかけたくない」という気持ちから、友人にだけ30万円を全額返済した行為は、気持ちとしてはよく分かります。しかし、法律上は特定の債権者だけを優遇した「偏頗弁済」にあたり、債権者平等の原則に反する典型例と評価されます。
本来なら同時廃止の事件で済むはずだったのを偏頗弁済の疑いがあると、裁判所は調査が必要ということで管財人が選任され、管財事件化されます(論点(6)参照)。
調査の結果、偏頗行為があったと認定されたならば、管財人はその不公正な弁済を取り消すことができます。よって、友人は受け取った30万円をふたたび破産財団に返還することになるでしょう。ただし、友人という私的関係であること。金額が比較的小さいこと。隠匿や悪質性も見出せないということ。こういった事情から、管財事件になったとしても、それだけで免責が否定されることはないと思われます。免責の可否そのものを直ちに左右する事情ではありません。
● 論点(6) 本来ならば同時廃止事件の規模なのに管財事件化になるのはどんな時?
「同時廃止」とは、破産申立人に換価処分して配当するほどの財産がなく、財産調査の必要もないと裁判所が判断した場合に、破産管財人を選任せず、破産手続開始と同時に手続を終了させる処理のことです。
本来であれば同時廃止で済むような規模の事件でも、次のような事情がある場合には「管財事件」として扱われ、破産管財人が選任されます。
1.免責不許可事由が疑われる場合
ギャンブル・浪費・投資・クレジットカードの使い込みなど、借金の理由に問題があると、裁判所は破産管財人を付けて調査させます。
2.財産が「20万円以上」あると判断される場合
現金・預金・保険解約返戻金・車など、換価できる財産が一定額以上あると管財事件になります。
(目安は20万円以上とされることが多い)
3.過払い金の可能性がある場合
過去に貸金業者の利用歴があって、過払い金が発生している可能性があると、管財人が調査を要するので管財事件になります。
4.資産調査が必要だと裁判所が判断した場合
同時廃止を判断するうえで、財産や収支の説明が不十分、資料が揃っていない場合は、裁判所が明らかにするために、破産管財人を選任して管財事件になります。
5.偏頗弁済の場合
「お世話になった親戚にだけ先に返した」「特定の業者にだけ返済した」という行為は、不公平。不平等とされるので、債権者平等の原則違反となるため。管財事件化して破産管財人を選任します。
6.事業者・自営業者の場合
事業用の帳簿や資産の調査が必要になるため、財産が少なくても管財事件になることが多いです。
(事業の継続性や取引先への影響を調べる必要があるため)
7.財産隠しの疑いがある場合
名義変更、預金移動、家族への贈与など、破産直前の不自然な動きがあるな場合は、裁判所はさらなる調査のために破産管財人を選任して管財事件になります。
● 論点(7) 免責不許可事由と裁量免責
借金の返済不能で自己破産を申し立てることはできますが、その原因がギャンブル・浪費・投機などによる場合は、法律上「免責不許可事由」に当たるとされています。本来であれば、こうした事情があると免責(借金ゼロの効果)は認められない、という建付けになっています。
しかし、実務では「裁量免責」という仕組みがあり、免責不許可事由があっても、事情を総合的に見て、裁判所の判断(裁量)で免責を認めることができます。
現在の裁判所は、この裁量の範囲を非常に広くとっていて「免責不許可事由」に該当するとしても、よほど悪質なケース(財産隠しやウソの申告など)を除き、ほとんどのケースで免責を認めています。これは、自由財産の拡張のところでも述べましたが「免責の範囲を広くとることが破産申立人の生活の経済的再出発を図る」ことに寄与し、それが個人破産制度の実質的な中核になっていることも一つの要因といえます。
本事案の佐藤さんは、支払不能状態に陥った借金の一部にギャンブルで負った借金も含まれていることに大いに反省を示しているので、すくなくとも裁量免責でもって免責が認められることは確実だと考えます。
● 論点(8) 免責の効果
佐藤さんのケースでは、個人再生で債務整理するのは困難ということで、自己破産を申し立てることになり、免責許可決定が確定すると、一定の例外を除き、借金の支払義務そのものが法的に消滅します。
ここでいう「免責」とは、「返せなくなったことを責められなくなる」という意味ではありません。法律上、そもそも「もう返さなくてよい状態にする」という効果を指します。
つまり、「本当は返すべきだけれど、特別に返さなくても許される」という扱いではなく、そもそも「返済義務そのものを法律の力で消してしまう」ということです。
自己破産の目的は、借金問題を中途半端に終わらせることではなく、完全に終わらせて再出発させること
佐藤さんの事案における免責の効果は、以下の点に集約されます
● 消費者金融・カードローン等の借金はすべて免責対象
● ギャンブルが一部含まれていても、裁量免責が見込まれる
● 免責確定により、返済義務は完全に消滅
● 住宅を失う代わりに、借金問題は法的に終了する