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「任意整理」と「個人再生」とはどう違う!? どっちを選ぶかの目安は!?

      2022/11/28

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■「任意整理」&「個人再生」とは?

 
「任意整理」とは、裁判所を介さないで、貸金業者(債権者)と借主(債務者)が、二者間で交渉し新たな返済条件に合意することで債務を整理する手法です。減額幅は「個人再生」にくらべて小さいけれど、手続はとても簡単で利用頻度は非常に高い方法です。

これを、司法書士や弁護士に依頼すれば、その司法書士や弁護士が貸金業者と交渉してくれます。

「個人再生」とは、二者間の「交渉」そして「合意」というプロセスをとるのではなく、債務者が裁判所に申し立てて、債務者側が立案した再生計画が裁判所に認可されることを条件に、法律(民事再生法)の規定に従って借金の減額をする債務整理の手法です。

借金の減額幅は個人再生の方が圧倒的に大きいですが、手続は複雑で面倒くさく時間もかかります。したがって、法律上は本人単独で手続を進めることはできますが、弁護士等の専門家に依頼するのが通常です。

思うに、どちらにもメリット、デメリットがあります。

もし、債務者に支払能力が全くなかったら方法は「自己破産」しかありませんが、支払能力があるのならば「任意整理」「個人再生」のどちらかを選べることになりますが、両者には借金の減額できる割合や手続などに重要な違いがあります。

どっちを選ぶべかは、両者の違いを十分に理解して個々の借金状況、家族の協力度合い、支出度合、持っている継続的な収入源の規模などを考慮して適切な方を選択することが大切です。
 

■ 借金減額度合いの違いは?

 
繰り返しますが「個人再生」は「任意整理」に比べて借金の減額幅が大きいです。

なんたって「個人再生」は「任意整理」とは違って、法律の規定で元本まで減額されます(5分の1から最大10分の1の減額可)。例えば、借金額500万円の場合、1/5の100万円まで減額されます(下記の表を参照)
 

利息制限法の再計算を経て確定した借金額
法律の定めある最低弁済額
(民事再生法231条2項3号)
100万円未満
負っている借金(債務)全額
100万円を超えて500万円以下
100万円
500万円を超えて1500万円以下
借金(債務)総額の5分の1
1500万円を超えて3000万円以下
300万円
3000万円を超えて5000万円以下
借金(債務)総額の10分の1

 
但し、借金額とは別に一定の価値ある財産を持っているのであれば「清算価値保障の原則」の適用があり、上記の表の法律に定められた最低弁済額とは大きく違った「最低弁済額」が導かれる可能性はあります。
 

 
「任意整理」は、上手くいって基本的には経過利息(未払い利息)と将来利息のカットで、後は遅延損害金のカット元本まで減額されないのが原則です。
 

 
じゃあ~、借金で苦しんでいる人からすれば、減額度が大きい「個人再生」がいいじゃん!ということになりそうですが、そうとはいえません。

借金返済が滞っているからといって、全ての人が「個人再生」を利用できるわけではありません。

「個人再生」の成否が問題となる客観的状況というのは、抽象的な言い回しになりますが「支払不能」になる危険性がある状態をいいます。
 

※「支払不能」になることが「自己破産」の要件。「支払不能になる恐れがある」ことが「個人再生」の要件。

 
たとえば、毎月の収入が安定して40万円程度あって、しかも持ち家で一人暮らしで他に家族はいない場合で、借金総額が200万円だった場合、その程度の借金で「個人再生」をするのは難しいといえます。

毎月の収入から費やす生活費を何とか切り詰めて、残った金額から毎月々一定金額を返済して、だいたい3年間くらいで完済できるかといえばかなり難しい、ひょっとしたらできないかもしれない恐れがあって、ようやく「個人再生」が認められる状況にあります。

収入が毎月40万円もあれば、200万円の借金返済は何とかやり繰りすれば、十分自力で完済できるはずです。
 

 
一方「任意整理」には、このような制約はありません。返済の継続が難しくなったという状況は必要ありません。

単に債権者からの催促を止めるために弁護士に依頼するといった場合でも「任意整理」することができます。なぜなら「任意整理」は裁判所が介入することがないあくまで当事者間の交渉を経て解決する手続だからです。
 

■ 手続きの煩雑さの違いは?

 
なんたって「個人再生」は「任意整理」比べて手続きが圧倒的に煩雑になります。

任意整理と違って、裁判所が絡んでくるわけですから提出する書類も数多く面倒臭いです。

もちろん、そんな面倒臭いことは専門家の司法書士や弁護士に任せればいいわけですが、ただあなた自身のことですから、あなたもその面倒臭さから完全に解放されることにはなりません。

当然、手続きが煩雑であるがゆえに、司法書士、弁護士に依頼する費用は「任意整理」と比べて高くなります。
 

 

■ 特定の債権に優遇措置は可能か?

 
複数の借金を負っている場合で「任意整理」は、A債権者は整理の対象にするけど、B債権者は整理の対象から除外するというふうに「任意整理」する債権を選ぶことができます。そもそも「任意整理」は裁判所が介入しない当事者間ごとの私的な和解交渉で解決していくものだから、このような選択的な対応が可能になるのです。

例えば、消費者金融からの借金はぜひ整理したいけど、ローン支払い中のクルマは、これからも仕事でも使うので残しておきたい。会社からの借金、友人からの借金は、迷惑をかけたくないので、きちんと返済していきたい、と整理する債権と整理から除外する債権とを分けて選択できるのです。このことは、ある特定の債権に優遇措置を与えるということになります。

選択的に個々別に扱いができるということは「債権者平等の原則」には反することになりますが、そもそも「任意整理」は、厳格に「債権者平等の原則」は適用しなければならないというわけではありません。「債権者平等の原則」に適用外になるのです。

但し「任意整理」が個別個別の対応が可能であることを貫くと、不都合なケースがでてくるという事に関しては、 複数債権者のうち特定の債権者の借金のみを「任意整理」することができるか?を参照。⇒(1)と(2)の二つのケース。

それに対して「個人再生」は、裁判所が介入する以上、利害関係人をすべて裁判上に登場させて公平、平等を維持しつつ漏れなく統一的に借金問題を解決しようとする手法であるから「債権者平等の原則」の適用は厳格であり、それに反する特定の債権を選択してそれに優遇措置を与えるようなことはできません。
 

 
但し「個人再生」でも住宅ローンに限っては「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」というものがあって、一定の条件をもとに住宅ローンについては、そのまま維持し住宅をそのまま残していくことができます。

これができるということは、住宅ローン会社(銀行等)のローン債権は特別扱いされ「個人再生」の効果に何ら影響をうけることなく、当初の契約通りの減額されることなく月々返済額請求でき、債務者はこれに応じて返済していかなければならず、返済していくことで住宅は処分されることなくそのまま住み続けることができるのです。

つまり、先に述べたように「個人再生」は「債権者平等の原則」が厳格に適用されますが、この住宅ローン債権に限っては「債権者平等の原則」の適用はないということになります。

【住宅ローン会社は当然に当該住宅の上に抵当権をもっているわけなので、それが実行されると住宅を失ってしまいますが、それを阻止するために「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」の働きがあるのです】

一方「任意整理」には「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)のような規定はありません。でも、先に述べたように「任意整理」は、債権者を選択して住宅ローン債権を「任意整理」の対象から外すして交渉できるので、そのようにすれば当然に住宅は残せます。

ただ「任意整理」の場合は先に述べたように、対象となった債権の債権者との交渉を通じて「合意」に達しなければ「任意整理」は成立しません。「合意」に達しないと「個人再生」のやり方にいくか「自己破産」のやり方に行くかは慎重に考えての選択の問題となります。
 

■ 同居の家族にバレる恐れは?

 
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それから「任意整理」と「個人再生」とでは、同居の家族にバレる可能性はどの程度か?

自らの借金の整理を、知人や家族にバレたくないという気持ちは、だれでも少なからずあるはずです。

まず「任意整理」では、相当ヘマをしない限りバレることはありません。

なぜなら、裁判所が絡んでこないので、裁判所から通知や連絡がくることはないし、手続きに必要な書類の数も「個人再生」に比べてずっと少ないし、司法書士や弁護士を選任すれば、すべて窓口はその人たちになるので、債権者とのやり取りや書類の届け先とかは、自分が直接に矢面に立つことがないように配慮することができるからです。

ところが「個人再生」は、かなり難しいです。

家計全体の収入を把握するために、夫婦共働きの場合「個人再生」しない片方の配偶者の給与明細書も裁判所に提出しなければなりません。

その他家庭の預金通帳や保険の払戻金証明書といった書類も提出しなければならず、準備する書類も数多く、また裁判所からの送られてくる書類もあるので、同居の家族にバレないようにしておくのはかなり難しいことです。

 

■ 連帯保証人付き借金への扱いの違い

 
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まず、連帯保証人とは何か?

借金をした本人が借金を返済しない場合に、その本人に代わって返済することを債権者と約束した人のことです。

ただし、単なる保証人であれば請求されたときに「先に借金をした張本人に請求してほしい」と言うことができます(抗弁権)が、連帯保証人には抗弁権がありませんので、請求された際には直ちに支払わなければなりません。

つまり、お金を貸した債権者(貸金業者)は借金をした本人に返済請求できるのは当然ですが、その本人を差し置いて連帯保証人の方に先に返済請求しても構わないということです。どちらを先に請求しても構わないということです。その意味では連帯保証人は借金をしたわけではないけど、借金をした本人と全く同等の立場にあるということです。
 


 
以上を前提に、まず「任意整理」した場合について述べます。

「任意整理」を申し立てた場合、債権者(貸金業者)は、満足に債権の回収ができなくなるわけですから、当然にその債権に付いている連帯保証人に請求していきます。連帯保証人としては保証債務を支払わなければならない不利益を受けます。

連帯保証人に迷惑をかけさせないためにはどうしたらいいか?先に述べたように「任意整理」は債権者を選べます(債権者平等の原則を適用外にできる)。

だから、複数ある借金の中から連帯保証人付きの借金を「任意整理」の対象から外して、それ以外の連帯保証人が付いていない借金だけを選んで任意整理すればいいわけです。連帯保証人付きの借金は、任意整理した借金とはまったく別個の借金、つまり債権なので、連帯保証人には何ら影響を及ぼしません。連帯保証人には何ら迷惑を及ぼしません。
 

※もし、連帯保証人付きの借金を本人が任意整理したら、本人の借金は減額されても連帯保証人が負う債務は減額されずに100%返済義務があることになります。債権者としては突然任意整理されたという不測の経済的リスクを避けるために、人的担保として連帯保証人を付けたわけだから、この100%返済義務があることは致し方ありません。しかも、直ちに請求される可能性があって連帯保証人はそれを拒むことはできないのが原則です。つまり、連帯保証人に迷惑がかかるということになります。

 
連帯保証人付きの借金は「任意整理」の対象から外した場合は、その連帯保証人付きの借金は契約時の条件はそのまま維持されて、借金をした本人も借金とその連帯保証人の債務は、あたりまえのことですが、減額されることはなく契約時の借金額の返済義務を負っていることになります。そして、その借金に関しては借金をした本人がしっかり遅れることなく返済し続ければ、連帯保証人の返済義務は発生することなく迷惑はかからないことになるわけです。

そして、任意整理された借金は減額されることになるであろうから、その分は本人の資力が増加するだろうから、連帯保証人に迷惑をかけないように余裕をもって返済を続けられるであろうことが予想されます。

ただ、本人が負っている借金が連帯保証人付きの借金だけで、それ以外には借金が存在していない場合、しかもその借金を任意整理すれば、かなりの借金の減額効果につながり、それを本人も希望している場合は、借金をした本人と連帯保証人を含めて両者の連名で「任意整理」すればよいわけです。

連名で行って合意が成立し「任意整理」が成立すれば、合意が成立している以上、債権者(貸金業者)は、連帯保証人に対して減額される以前の金額を請求できず減額された限度でしか請求できないことになります。

そして、その減額された金額を、借金をした本人が月々遅れることなくきちんと返済していけば、連帯保証人には請求はいきません。

ただ、借金をした本人のみならず連帯保証人も「任意整理」をするので、両者とも信用情報機関の事故情報として登録されてしまうのは避けられないことになります(いわゆるブラックリスト入りになる)。

もし、ちなみに、借金をした本人が任意整理をして、連帯保証人が返済請求されたにもかかわらず、連帯保証人が返済も任意整理もせずに放っておいた場合も、やはりブラックリスト入りになってしまいます。


 
つぎに「個人再生」を申し立てた場合について述べます。

この場合での連帯保証人の立場は「任意整理」のときと比べてかなり深刻です。

複数の借金を抱えている場合「任意整理」のように個々の借金を選択して対象となるならないと区分けすることは「債権者平等の原則」厳格に適用される「個人再生」ではできないので、複数あるすべての借金が「個人再生」の対象となってしまいます。

だから「個人再生」の減額の効果は、連帯保証人には影響されることなく、連帯保証人は絶えず満額請求される立場にまります。このようにしないと、債権者は不測の事態を回避するためにわざわざ人的担保として連帯保証人を付けたわけですから、その意味がなくなってしまいます。

しかも、連帯保証人は求償権を満額認められることはありません。

詳細は下記の関連記事を参照。

 

■ 両者の信用情報機関の登録の違い

 
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「任意整理」も「個人再生」もそれによって信用情報機関に事故情報として登録されます。

 

■「任意整理」と「個人再生」の比較

 

「任意整理」と「個人再生」の比較表
任意整理
個人再生
裁判所への申立て 不要。 必要。
借金の減額の度合い 利息分のカットのみで元本は原則減額できない。 5分の1から最大10分の1まで原則減額可能。
このままだと近いうちに支払不能の恐れ要否 不要。 必要(自己破産の要件の恐れがあること)。
住宅は処分されてしまうか? 債権を選択できるので住宅ローン債権を選択し任意整理から外して処分回避できる。 債権は選択できないが住宅ローン債権は「住宅ローン特則」で処分回避できる。
対象となる債権者を債務整理するか否を選択できる 任意整理は選択できる 個人再生は選択できない
クルマは処分されてしまうのか? 債権を選択できるのでクルマローン債権を選択し任意整理から外して処分回避できる。 任意整理のように選択できないからクルマローンを完済していれば処分回避できる。(ローン未完済でも別除権協定で処分回避できる場合がある)
官報に掲載されるか? 掲載されない。 掲載される。
強制執行手続き 中断できない。 中断できる。
家族や会社にバレるか? ヘマしない限り基本的にはバレる危険性はない。 バレる可能性は十分にある。
手続に要する期間は? 債権者と合意を得るために3か月から6ヶ月程度はかかる。 通常は6ヶ月程度だが1年間前後かかる場合もある。
保証人(連帯保証人を含む)への負の影響 保証人付き借金を選択して任意整理の対象から外せば影響を回避できる。 個人再生の対象を選択できないから保証人は影響を受け借金の一括返済を求められる。
弁護士・司法書士の費用(相場) 1件につき3~5万円程度 弁護士は50~60万円程度、司法書士は20~40万円程度。
クレジットカードやローンが新規契約できない期間 和解成立日または完済日から5年程度 手続開始決定日から5~10年程度
ブラックリストに載る 載る 載る



●「任意整理」or「個人再生」を成立させるための共通の条件。

真摯に返済を続ける意思をもっていること。
返済を続けられる収入源をもっていること。

 
但し「任意整理」は、基本的にに借金の元本を除く経過利息(未払い利息)と将来利息をカットして分割払いで返済していく手続であり手軽にできますが、大幅な借金の減額は望めません。それに対して「個人再生」は、法律の規定によって元本も含めて借金額の5分の1~10分の1程度にまで大幅に減額されることが可能です。

たとえば、総額500万円の借金がある場合「任意整理」では利息はカットされますが、元本の500万円は返済しなければなりません。それに対して「個人再生」では借金総額の1/5に減額されるので、返済総額は100万円に減額される可能性があります。
 
 
個人再生返金額
 
●上記の共通の条件が備えることを前提に「個人再生」の場合は、さらに下記の条件を満たすことが必要になります。

このままでは支払不能に陥る恐れがあること。
借金総額が100万円以上5000万円以下であること(住宅ローンを除く)。

 
●「任意整理」が向いているケース
借金総額が比較的少ないケースに対する債務整理に向いています。収入にもよりますが、カードローンとかサラ金での借金総額が200万円程度までの債務整理に向いているといわれています。それを超えてくると「任意整理」で解決するのは難しくなります。
忙しいため債務整理に手間や時間をかけたくない場合は、裁判所が介入することがないので、そのための必要な書類も多くない「任意整理」が向いています。
家族や職場に知られずに手続をしたい場合は「個人再生」よりも家族や職場に知られるリスクがかなり低くなっています。「任意整理」は、裁判所が介入しないので特に資料は必要ない場合がほとんどですので、家族や職場に知られることなく手続きを進めやすいといえます。
複数ある借金の中に連帯保証人付の借金がある場合、連帯保証人に迷惑をかけないために、その連帯保証人付き借金を外して、残りの借金を任意整理することで、保証人に迷惑をかけずに借金問題をを解決できます。
 
●「個人再生」が向いているケース
抱えている借金が多額なため利息だけのカットだけでは、返済しきれない場合は「個人再生」が向いています。
複数ある借金が多額で、しかも住宅ローン抱えている場合、その住宅を手元に残して住む続けたいのであれば「個人再生」の「住宅資金貸付債権に関する特則(通称:住宅ローン特則)」を使って住宅ローン会社の抵当権実行を阻止できる場合があります。
すでに給料などの差押えを受けている場合は「個人再生」によって差押えを止めることができます。「任意整理」では止めることはできません。
 

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