「任意整理」することで携帯・スマホの延滞通信料や端末機代金の未払い分を減額できるか?
2023/09/11
■ 延滞通信料を「任意整理」できる
そもそも「任意整理」は、裁判所を介さないで当事者同士(ここでは携帯・スマホ利用者と携帯電話会社)間の和解交渉、話し合いで無理のない減額および分割支払回数を合意で決めて借金問題を解決する手続です。
通常「任意整理」が想定している債権債務関係は、銀行系や消費者金融系のカードローン、クレジットガードでの無担保高金利の借金の整理であり、その利息部分をカットすることで返済負担を軽減する手続です。だから、通信料金でも、携帯・スマホの延滞通信料金や端末機代金の未払い分も任意整理することができます。ドコモ・au・softbankなどの通信会社も、任意整理の交渉に応じるのが通常です。
もっとも「任意整理」は、複数の債権者がいる中で特定の人を選択してその人のみを「任意整理」の対象にできるし、逆に言えば特定の債権者を対象から除外することもできる手続です。この点が「個人再生」や「自己破産」と違うところです。
したがって、携帯・スマホの通信料に延滞があり、端末機代金に未払い金がある場合で「任意整理」を考えると、それらを任意整理の対象に含ませるのも、対象から外して他の債務のみを「任意整理」の対象とすることもできます。
「任意整理」後も携帯・スマホの利用を続けたいのであれば、対象外にすればいいし、もし、対象に含ませてしまうと、携帯電話会社は通信契約を強制解約します。
携帯・スマホに関する支払以外の債務を「任意整理」して、その浮いた分で通信料の延滞部分や端末機代金を未払い金に充てればいいわけです。いずれにしても、対象外にした通信料、端末機代金を遅れることなくきちんと支払っていることが必要です。
ただし、各携帯電話会社の規則によりますが、通信料の延滞が一定期間続くと利用停止になり、その状態がそれ以降も続くと通信契約の強制解約になります。そこに至るまでの期間は決して長くはありません。下記参照。
だから、他の債務を「任意整理」して、その浮いた部分で充当しようという意図の実現が間に合えばいいのですが、間に合わなそうならばなんとか別の方法で資金を工面するしかありません。工面できないまま放置していると強制解約となってしまいます。
■ 延滞通信料を「任意整理」するメリットがあるのか?
携帯・スマホをこれからも継続して利用するつもりならば、先に述べたように「任意整理」の対象外にすればいいわけですが、ただ、意図的に対象に含めて「任意整理」する方がよい、そのほうがメリットがある場合もあると言われています。いったい、それはどのような場合でしょうか?
それは、すでに通信契約の強制解約がなされてしまった場合です。「強制解約」されると通信アイテムとして利用できなくなってしまうのは仕方がないとして、利用者は通信料金の延滞分、端末機代金の未払い分に加えて通信料金の延滞利息、端末機代金の遅延損害金も請求されて結構高額になり(下記の表参照)、しかも、すべて一括請求を迫られることになります。
まだ、強制解約の前段階、利用停止の段階までであれば、通信システムとしての機能は回復できそれを利用できる機会が確保されています。