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「自己破産」とは? ~裁判所にすべての借金をゼロにしてもらえる手続~


 

 

■ 自己破産とは?

任意整理・個人再生・自己破産の3者比較表

「自己破産」とは、継続して借金返済ができなくなり、今後どれだけ借金を減額しても支払自体が不可能な場合に、その状況を裁判所に申し立て、借金の返済義務を免責・免除してもらうための裁判手続です。

これによって、困難を極めた借金返済から解放され、新たな経済環境で人生を再スタートさせる機会をもつことができます。

■ 申し立て要件 と 免責許可要件

「自己破産」も「個人再生」と同じく裁判手続きなので「自己破産」をするには、裁判所に対する「申し立て要件」裁判所が申し出を認める「免責許可要件」を備える必要があります。

「申し立て要件」が備わっていないと申請自体ができませんし「免責許可要件」が備わっていないと免責は認められず自己破産は成立しません。

「申し立て要件」と「免責許可要件」は、自己破産手続の流れでそれぞれ異なる場面で求められる条件であり、順序としてはまず「申し立て要件」をクリアし、次に「免責許可要件」を満たしていく流れになります。
 
(1)「申し立て要件」
 
「申し立て要件」とは、自己破産を利用できる資格があるかどうかを判断する条件で、裁判所に申し立てる時点で必要条件です。なかでも支払不能(破産原因)になっていることが主要な申し立て要件。これが備わっていれば、裁判所によって破産手続きの開始決定がなされます。比喩的にいえば「スタートラインに着くための要件」といえます。

1) 借金が支払い不能であること。
 ⇒単に一時的な不能ではなく、弁済期に一般的、継続的に弁済できない状態が必要。
2) 裁判所へ予納金の納付があること。
 ⇒予納金とは、破産手続に必要な費用を裁判所に事前に支払うお金が必要。
3) 債務者本人または法定代理人が申し立てること。
 ⇒原則として破産する本人、もしくは弁護士などが裁判所に申し立てること。
4) 破産手続開始目的が正当である。申し立てが誠実にされたこと。
 ⇒借金を返せないから、正当に借金整理のために破産を申し立てる」という、きちんとした理由・目的が必要。例えば、最初から自己破産をするつもりで(債権者を欺く目的で)借金をして浪費やギャンブルを繰り返すようなケースは、申し立ての段階で「不当な目的」あるいは「不誠実な申し立て」であると判断されて、申し立て自体が却下あるいは棄却されます。

(2)「免責許可要件」
 
「免責許可要件」とは、破産手続き開始案件が裁判所によって免責・免除を認められるための必要条件です。なかでも免責不許可事由がないことが主要な免責許可要件となります。もしあっても裁量免責で救済されて免責されることがあります。
つまり、破産手続きが進んで最終的に裁判所が債務者の借金を免責・免除するのが良いか悪いかを判断する段階で必要となります。これが備わっていれば、免責・免除して良いということで裁判所によって免責許可決定がなされます。比喩的にいえば「ゴールにたどり着くための要件」といえます。

1) 免責不許可事由がないこと。
 ⇒破産法252条に定められた免責不許可事由(財産隠匿、特定債権者への優遇返済、詐欺的借入など)がないこと。
2) 裁量免責の適用があること。
 ⇒仮に、免責不許可事由があっても裁判所が「一切の事情を考慮」して裁量で免責を認めること。
3) 破産手続きへの誠実な協力すること。
 ⇒裁判所や破産管財人に対して正確な情報を提供し、手続きに誠実に協力すること(破産法252条1項4号・5号など)。ただし、裁量免責の適用がある。

注意点:「申し立て要件の4)」と「認可要件の1)」とは重なる部分があって、悪質度が高い場合は手続を開始させるまでもなく申し立ての段階で却下、棄却することもあります。
 

■ 破産手続 と 免責手続

 
自己破産は「破産手続き」「免責手続」という、2つの手続きで構成されています。

前もって簡潔に言っておきます

「破産手続き」とは、借金をした債務者(破産申立人)の所有財産を回収し換金して借金の返済に充てる手続き。 ⇒ 要するに、財産を整理・清算する手続き。
「免責手続き」とは、所有財産を回収、換金して返済に充てても借金完済に至らなかった場合、残金の返済義務は免責免除される手続き。 ⇒ 要するに、借金を帳消しにするかどうかを判断する手続き。

 
 (1)「破産手続」とは?

 
破産手続きとは、債務者が経済的困窮などにより借金の支払い不能に陥った場合に、裁判所の管理のもと、債務者(破産申立人)の所有財産を換価処分(現金化)し、各債権者に対して公平に比例配分することを目的とする法的手続をいいます。とともに破産手続きは債務者の経済的再生を支援する目的もあります。

破産手続きの目的は大きく2つあります(上記参照)。

【財産の適正かつ公平な清算(債権者の保護)】・・・・債務者が返済できない借金を整理し、債権者に対して公平に比例配分する目的。
【経済生活の再生の機会の確保(債務者の保護)】・・・債務者が新たな生活をスタートできるようにする目的。

 
破産手続きは裁判所にその申し立てをすれば直ちに破産手続きが始まるわけではありません。裁判所が申し立て要件(前述)をすべて満たしていると判断して初めて、裁判所が破産手続きの開始決定をして破産手続きが始まります。
 
●【財産の適正かつ公平な清算(債権者の保護)】の内容

債務者(破産申立人)が借金をしておきながら、返済もしなくてよく、手持ちの財産もそのままでよいとなれば、金を貸した側の債権者は重大な損失を被ることになります。債権者としては、「返済できないのであれば、せめて手持ちの財産で返してほしい」と考えるのが自然です。この当然の発想を法的に制度化したものが、破産手続です。

そこには、債務者の財産全体を債権者への配当の原資として把握・管理し、それを市場価格に近い適正価格で換価して、債権者の一部に優先的に弁済するような公正を欠く行為を排除しつつ、全ての債権者に対して債権額に応じて比例的かつ公平に分配することをその中核としています。
 
●【経済生活の再生の機会の確保(債務者の保護)】の内容

破産手続きには、債務者の財産の清算だけでなく、債務者が再び経済的に自立できるように支援する仕組みも整えられています。これを実現するために、二つの仕組みが制度化されています。

(1)「免責制度の導入」です。
破産手続きによって手持ちの財産が処分清算されても、未だに借金が残ったままであれば、経済的な再起は非常に困難です。そこで、債務者(破産申立人)が誠実に手続きを行い、免責不許可事由がない場合には免責許可要件が備わったとして、裁判所は「免責許可決定」を出して、残った借金の支払義務が法的に免除されます。これにより、債務者は新たな経済生活を始めることができます。

(2)「自由財産の保護」です。
免責によって借金が帳消しになったとしても、生活に必要な財産まで処分されてしまっては、債務者の再出発が困難になります。そのため、破産手続では、債務者が最低限の生活を営むために必要な財産を「自由財産」として破産財団に組み込まれず処分の対象から除外されます。これにより、破産後も日常生活を維持しながら再起を図ることが可能になります。

~自由財産となる財産~

1. 破産手続開始後に破産者が取得した財産(新得財産)(破産法34条1項)
   破産手続開始後に得た給与や賞与、相続財産などは自由財産として認められます。
2. 99万円以下の現金(破産法34条3項1号)
   破産法第34条第3項第1号により99万円以下の現金(手元にある現金)は自由財産として保護されます。
3. 差押禁止財産(破産法34条3項2号)
   民事執行法により生活必需品(衣服、寝具、家具、台所用品など)や職業に必要な道具類は自由財産として認められます。
4. 破産管財人が破産財団から放棄した財産(破産法78条2項12号)
   破産管財人が換価してもコスト倒れになる財産などは、破産財団から放棄され、自由財産として扱われます。
5. 自由財産の拡張が認められた財産(破産法34条4項)
   裁判所の判断で特定の財産について自由財産の範囲を拡張できる場合があります。

1.~3.は、法律上当然に自由財産と認められているのを「本来的自由財産」といわれます。
※4.「自由財産の拡張」とは、自己破産をした際に、破産者が手元に残せる財産の範囲を広げる制度です。拡張した分は当然に破産者の生活再建を支援に資することになりますが、反面、その分は債権者への配当額が減少され債権者の利益を損なう恐れがあるためその判断は慎重を要します。

「自由財産の拡張」が認められるには、破産法34条4項にあるように通常は「破産者の申立て」「破産管財人の意見」を踏まえて「裁判所が判断して」認められます。

破産法 第34条4項
裁判所は,破産手続開始の決定があった時から当該決定が確定した日以後一月を経過する日までの間、破産者の申立てにより又は職権で、決定で、破産者の生活の状況、破産手続開始の時において破産者が有していた前項各号に掲げる財産の種類及び額、破産者が収入を得る見込みその他の事情を考慮して破産財団に属しない財産の範囲を拡張することができる。

上述したように、自由財産の拡張には【破産者の申立て】【管財人の意見】【裁判所の判断】のプロセスを踏むのが通常とされています。

でも、破産法43条4項の文言上では、破産者の申立てがなくても、裁判所が必要と認める場合には、自由財産として残すことが相当な財産を指定できる旨を規定しています。つまり、破産者の申立てや管財人の意見がなくても、裁判所の職権のみで自由財産の範囲を拡張することが可能とされています。

実務においても、この規定は積極的に活用されており、特に東京地方裁判所では、一定額の現金や預金、職業に必要な機材などについて、生活再建の観点から自由財産として認める運用がみられます。裁判所は、破産者の生活実態や職業継続の必要性などを考慮し、合理的な範囲での拡張を行っているのが現状です。

こうした裁判所の職権発動は、破産者の経済的更生を支える制度として評価される一方で、拡張判断の基準や運用の均一性の確保といった課題も指摘され、恣意的な判断を回避するためにも、実務における基準の明確化と透明性の向上が今後の課題といえるでしょう。
 
●【そのほか「資格・職業制限の一時的制約と回復】

破産手続の進行中は、弁護士、司法書士など一部の資格や、警備員、古物商など特定の職業に就くことが制限されます。しかし、免責が確定すればこれらの制限は解除され、再び職業に復帰することが可能です。これは、社会復帰の支援という点で「経済生活の再生の機会の確保」に資する制度といえます。
 
 (2)「免責手続き」とは?

 
「免責手続き」とは、破産した債務者が一定の要件を満たすことで、原則としてすべての借金の返済義務を免除してもらうための手続きをいいます。

この制度の目的は、経済的に再起不能となった個人に対して再出発の機会を与えることにあります。手続きは裁判所の判断により行われます。満たすべき一定の要件とは、債務者が誠実に破産手続きに協力し、主に、法律に定められた免責不許可事由がない、またはそれがあっても裁判所の裁量で免責が適当と判断された場合に、裁判所によって「免責許可決定」が認められます。

「免責許可決定」が確定することで、債権者は原則としてその債務を請求できなくなります。こうした特徴から「免責手続き」は破産制度における重要な救済措置として位置づけられています。

管財事件において、免責許可までの流れは、裁判所が破産申立てを受け、主要な申し立て要件である「支払不能(破産原因)」があると判断した場合、「破産手続開始決定」が出され「破産手続き」が開始されます。個人の破産場合は、同時に「免責手続き」も開始され「破産手続き」が進められていく中で裁判所および破産管財人による「免責許可要件」の調査が行われます。その主要なもので「免責不許可事由」の有無が審理され、仮にあったとしても裁量免責により免責が妥当であると判断されるケースがあって、それに該当すれば、裁判所は「免責許可決定」を出します。

「免責手続き」とは、破産した債務者が一定の要件を満たすことで、原則としてすべての借金の返済義務を免除してもらうための制度です。

この制度の目的は、経済的に再起不能となった個人に対して再出発の機会を与えることにあります。免責が認められるかどうかは、裁判所の判断によって決まります。

債務者が免責を受けるには、破産手続きに誠実に協力し、「免責不許可事由」(たとえば浪費やギャンブルによる借金など)がないことが原則です。ただし、これらの事由があっても、裁判所が「裁量免責」として認める場合もあります。

裁判所が免責を許可すると、「免責許可決定」が下され、その決定が確定すると、債権者は原則として債務の請求ができなくなります。こうした特徴から、免責手続きは破産制度の中でも、債務者の生活再建を助けるための重要な救済措置と位置づけられています。

免責手続きの流れ(管財事件の場合)

破産手続きの申立てを裁判所が受理し、「支払不能」(破産原因)が認められると、「破産手続開始決定」が出されます。これにより破産手続きが正式に始まり、同時に免責手続きも進行します。

個人の破産においては、破産管財人と裁判所が債務者の事情を調査し、「免責不許可事由」の有無など、免責を許可するための条件が満たされているかどうかを審理します。仮に不許可事由があっても、事情を考慮して免責が妥当と判断されれば、裁判所は「免責許可決定」を出します。

債務者(破産申立人)所有のほとんど換価処分の対象となりますが、債務者(破産申立人)を身包みはがして全くのゼロからスタートさせるわけにはいきません。最低限の生活資源を残すことが不可欠です破産後も最低限の生活を継続できるように配慮されています

破産手続を単なる「清算手続」で終わらせず、人間らしい生活の再出発を制度的に保障するという点に、現代破産法の特徴があります。これは「社会のセーフティネット」としての機能も果たしており、過度に債務者を罰するのではなく、更生の道を法が支えるという思想が背景にあります。

債務者(破産申立人)所有の財産のほとんどが換価処分の対象となりますが、全てがすべて処分されて債権者へ配当されるわけではありません。

最終的に借金が帳消しになったとしても、債務者(破産申立人)を身包みはがして全くのゼロからスタートさせるわけにはいきません。そんなことをすると、債務者(破産申立人)が通常の暮らし向きを維持継続しつつ、経済生活の再生の機会の確保し人生の再出発を図ってもらおうという破産手続きの目的、ひいては自己破産の制度趣旨に大きく外れることになるからです。

財産の管理処分権が破産管財人に移る理由は
「申し立て要件」を満たせば「破産手続」が開始し。

「破産手続」を進めていくなかで「認可要件(免許許可要件)が

「自己破産」は、申立てが必要な裁判手続であり、管轄裁判所は原則として債務者の住所地を管轄にする地方裁判所となります。

「支払不能」に陥っているか否かは難しい判断になります。下記の関連記事を参照してください。

「自己破産」の最大かつ最終の目的は、法律でもって今後借金を返済しなくていい、すなわち借金の返済が免除、免責されることです。そして、苦しめられた借金から困窮者を救済し、新たな環境で人生を再起動させる機会を与えることを目的とする国の制度です。

他の債務整理制度である「任意整理」と「個人再生」では借金額を減額することはできても、借金を免責にすること、つまり借金ナシにすることはできません。

「自己破産」で借金が免責されると、今後はもし債権者から借金の返済請求があっても、一切を拒否できるということです。

これを達成する手続を「免責手続」といいます。この手続があるのが、他の債務整理とは違って「自己破産」の大きな特徴です。
 
 

 
思うに「自己破産」制度は、法律に則った手続きであり裁判所が借金をゼロにするとお墨付きを与えたことになるので、何ら後ろめたい思いになる必要はありません!それよりも二度とお金の使い方で同じ轍は踏まないと肝に銘じて良き人生の再出発のために行うと考えることが大事です。

「自己破産」では、サラ金、カード、銀行ローン、奨学金、住宅ローン、車のローン、滞納家賃、滞納光熱費、電話代、保証債務、個人からの借入など、ほとんどすべて借金、負債が免責の対象となります。どんなに多額の借金があっても「自己破産」が認められるとすべて免責、免除されます。チャラになります。

「任意整理」「個人再生」は、先に述べたように借金ゼロにはできないため、無職や失業者といった収入源がない人はダメで、ある程度安定かつ継続的な収入源をもっていることが必要ですが「自己破産」はそのような条件は必要なく、働くことできない人でも「自己破産」することが可能です。
 

ところで、この「免責」という言葉は、読んで字の如く「責任を免れる」という意味です。正確に言えば決して借金がゼロになるわけではありません。借金は残るんだけど、その返済する責任を免れるという意味です。「借金はまだあるけれど、その借金は今後返さなくてもいいよ!」というお墨付きを裁判所からもらうということです。

ここでは「免責」の意味をちゃんと理解したうえで、わかりやすく、借金がゼロになる、チャラになると言っているだけです。

「借金自体がなくなるわけではないけれど、借りたお金を返さなくていい」

 
ただ、いくら免責の効果がある「自己破産」であっても免責の効果を受けず支払わなければいけない金銭があります。それは「税金、健康保険、国民年金、損害賠償金、養育費、下水道利用料金」などの一部の負債です。これを非免責債権といいます。下記の関連記事を参照してください。

 

 

(2) 自己破産の最大のデメリットは一定の価値ある財産・資産は処分されること⇒「破産手続」

 
「自己破産」には「免責」というメリットがある反面、そのメリットを受けるには甘んじて受けなければならないデメリットがあることは理解しておく必要があります。

それは、今現在ある資力で返済できる分は返済しなければならないということです。つまり、もし、債務者(破産者)が一定の価値ある財産を所有していれば、換価処分(現金化)して債権者への債務(借金)の返済に充てなければならないということです。

つまり、債務者(破産者)が自己破産当時に保有していた財産は国内外を問わず大方は取り上げられてしまい、裁判所によって選任された「破産管財人」によって強制的に換価処分(現金化)されて、債権者の債権に充てられるために弁済・配当されるということです。

債務者(破産者)が受ける「免責」は、その限度で認められるということです。つまり、財産が換価処分され債務(借金)返済に充てられ、それでもいまだ債務(借金)が残っていたら、それは免責される、つまり返済しなくてもいいということです。

この弁済・配当する手続を「破産手続」といいます。

一定の価値ある財産・資産とは、不動産・動産などの物だけではなく、債権、著作権などといった財産上の請求権も幅広く含まれます。要は現金化できるものであれば、ノウハウ的な無形のものでもよく、大方は換価処分の対象に含まれるとされています。

 
 

 
自己破産は、この「破産手続」と冒頭に述べた「免責手続」の二つの手続が、借金の支払不能になった人が裁判所に申し立てることで始まります。そして、この二つの手続は、それぞれ別個の手続きですが、一体として同一手続内で同時進行していきます。
 

繰り返しになりますが「自己破産」は「破産手続」によって、破産申立人の財産が換価処分(現金化)され、それらは債権者が複数いれば各債権者の持ち分債権額に応じて比例配当されますが、そのすべてをもってしても債権全額に満たない場合、つまり借金が残ってしまっても、その返済は「免責手続」でもって免責されます。

例えば、破産者が破産宣告時に残っている財産を破産手続を通じて換価処分(現金化)してみると300万円であった場合、それを各債権者が持ってる破産債権額に応じて比例配当するわけですが、各債権者が実際に持ってる破産債権の金額の総額が3000万円あって、破産者が持ってる財産を換価処分(現金化)しても到底足りません。債権者連中は満足できるはずがありません

では足りない分の2700万円を改めて破産者に請求できるか?といえば、それは先の免責手続の効果でできないということです。2700万円分の借金は返さなくてもいいチャラになる分ということです。

以上を述べたことをベースに「自己破産」手続を簡単にいうと

「自分の手持ち一定の価値ある財産は換価処分されて債権者に配当され失いますが(破産手続)、比例配当分を除いた借金が残ってしまってもそれはゼロになる。つまり、その返済はする必要はなく免除してもらう(免責手続)」手続をいいます。

換価処分となる一定の価値ある財産は、基本的には自己破産手続開始時に債務者(破産申立人)がもっている財産を対象として、それらで破産財団を構成して破産管財人が破産手続を通じて管理し換価処分していきます。
 

「破産財団」とは、自己破産手続開始決定時に破産管財人が管理・換価処分(現金化)する対象になる破産者の財産の総体をいう。不動産・動産などの物だけではなく、金銭の請求権などの債権、著作権などの無形の権利など、または金銭的に換価できるのであれば、権利とはいえないノウハウなども幅広く含まれる。⇒ 詳細は コチラ

 
では、破産財団に属して「破産手続」によって換価処分(現金化)される「一定の価値ある財産」とは具体的に何を指すのか?

それについては、下記の関連記事の該当箇所を参照してください。
 

関連記事:「自己破産」の信じてはいけない間違いデメリットと本当のデメリットとは?    ※該当箇所⇒(2)一定の価値ある財産・資産は処分されてしまうこと (処分の対象となってしまう財産・資産)

 

(3) 自己破産には手持ちの財産を処分されてしまう以外にも下記のデメリットがあります

(1) 免責が決定されるまで制限される一定の資格や職業がある。
(2) 住所移転や旅行の制限がある。
(3) 郵便物は破産管財人に転送される
(4)「官報」に住所、氏名が掲載され市町村役場の破産者名簿にも掲載される
(5) 個人の信用情報機関に事故情報ありと登録される(ブラックリストに載る)

上記のデメリットに関しては下記の関連記事を参照してください。

 
簡単にまとめると、自己破産のメリットは借金がゼロになることであり、デメリットは所有している財産を失うことです。
 

■ 但し、全ての財産が処分されるわけではない~自由財産の存在~

 
債務者(破産申立人)が持っている財産には換価処分(現金化)する価値があるからと言って、全てがすべて没収処分されて各債権者へ配当されるわけではありません。

免責手続でいくら借金ゼロになるとはいえ、破産者を身包みはがして全くのゼロからスタートさせるわけにはいきません。そんなことをすると、破産者が通常の暮らし向きを維持継続しつつ、しかも将来へ向けて経済的更生の機会を与えて人生の再出発を図ってもらおうという「自己破産」制度の趣旨に大きく反することになります。
(個人の破産は法人等の団体の破産とは全く違う⇒後述参照)

したがって、自己破産手続には、取り上げられて換価処分される財産(破産財団)がある一方、破産者の手元に残せておける財産が認められています。

この破産者の手元に残せて破産者が自由に使える財産を「自由財産」といいます。
 

処分対象財産(破産財団)自由財産(自由財産拡張含む)

自己破産手続き開始時、両者は元々は債務者(破産申立人)の財産として同一ですが、一定の基準の下で両者は表裏一体の関係になります。「左」は処分される財産。「右」は処分されない財産
そして、対象となる財産が自由財産の上限を超える高価な財産で、換価処分(現金化)可能な財産があるならば「管財事件(通常は少額管財事件)」として破産手続が進められます。そうでなければ原則「同時廃止」となります。

 
 
ー自由財産の分類ー
 

 
(1) 本来的自由財産について (拡張されていない法律上の自由財産)
 
「本来的自由財産」とは、裁判所の個別許可を必要とせず、破産法上当然かつ無条件に破産財団に属さないものとされ、破産者(債務者)が自由に管理処分できる財産のことをいいます。自己破産しても自由に使うことができる財産です。下記参照。

①「99万円以下の現金」・・・・・・・・(破産法34条3項1号)
②「差し押さえ禁止財産」・・・・・・・・・・・・(破産法34条3項2号)
③「新得財産」・・・・・・・・・・・・・・・・・(破産法34条1項の反対解釈)
④「破産管財人が破産財団より放棄した財産」・・・(破産法78条2項)

関連記事: 自己破産でも手元に残せる「自由財産」と「自由財産の拡張」 ~残せる財産を増やしたい!!~  ※詳しくはこちら ⇒ 本来的自由財産について

 
(2) 自由財産の拡張について (本来的自由財産だけでは不十分)
 
ところが「本来的自由財産」だけしか「自由財産」を認めないとすると、破産者(債務者)の生活再建に向けては十分ではないケースがでてきます。条文に記載されている以外の財産でも、どうしても自由財産とすべき財産があれば、一定の条件を下に差押え処分対象から外して破産者(債務者)に保有を認めるべきなのです。これを「自由財産の拡張」といいます。

自由財産の拡張は、法律も当然に想定されていて破産法34条4項があり、個々の事案に即して最終的には裁判所の判断で許可されると規定されています。

破産法 第34条4項
裁判所は,破産手続開始の決定があった時から当該決定が確定した日以後一月を経過する日までの間、破産者の申立てにより又は職権で、決定で、破産者の生活の状況、破産手続開始の時において破産者が有していた前項各号に掲げる財産の種類及び額、破産者が収入を得る見込みその他の事情を考慮して破産財団に属しない財産の範囲を拡張することができる。

この条文自体に具体性がなく、自由財産を拡張すべきか否かの全国的に統一基準が定められているわけではありません。

自由財産の拡張は、本来的自由財産とは異なって個々の事案ごとに新たに自由財産を創設するようなものなので、自由財産の拡張を求める場合は、まずは破産者の側から自由財産の拡張の申立てが必要です。そして、その申立てが果たして適切なのかどうか破産管財人が調査し、裁判所がその調査や意見を聞き、破産管財人の調査を尊重しつつも裁判所自らの判断で拡張を認めるかどうかを決定する手順を踏むのが原則です。

そして、その範囲は、99万円以下の現金が本来的自由財産とされていることとの均衡から拡張の上限金額の1つの目安として総財産の上限(清算価値)99万円以下だといわれています。反対に財産総額が99万円を超えてしまうと自由財産の拡張を認めるのはかなり難しくなるといわれています。
 
(3) 自由財産拡張基準について(破産者の申立不要で職権で決定)

法律には明記されていない財産項目でも当然拡張して自由財産に含めていくべきモノがあります。

そういったモノで拡張すべきものとして認めるためには、前述した自由財産の拡張要件である破産者の申立てから始まる調査などなどの一連の流れを要求するのは、明らかに面倒であり非効率的です。

思うに、それらは破産者の経済的更生に必要なモノとして共通性をもっていることが多いので、それらを一々自由財産の拡張要件に照らして個別個別に判断するようなことはをせずに一律に一定のモノを自由財産として処分対象から外す基準を設けて対処した方が合理的です。この基準を「自由財産拡張基準」といいます。

「自由財産拡張基準」は、各地の裁判所によって若干異なってきます。ここでは東京地方裁判所でとられている基準を紹介します。なお、この東京地方裁判所の基準は、全国の多くの裁判所でも採用されています。
 


~東京地方裁判所の「自由財産拡張基準」に当てはまる財産項目~
 
① 残高が20万円以下の預貯金
① 預貯金の残高が20万円以下(財産種目が同じで複数ある時はその合計額)の預貯金
② 見込額が20万円以下(財産種目が同じで数口ある時はその合計額)の保険の解約返戻金
③ 処分見込額が20万円以下の自動車
④ 居住用家屋の敷金
⑤ 電話加入権
⑥ 支給見込額の8分の1相当額が20万円以下の退職金全額
⑦ 支給見込額の8分の1相当額が20万円を超えるの退職金の7/8相当額
⑧ 家財道具
※この財産項目は裁判所の職権で自由財産とみなされる。


※自由財産およびその拡張について、詳しくは下記の関連記事を参照。

 
 

 

■ 法人(団体)破産と自己破産との違い

 
さて、以上を述べたことを念頭において「自己破産」手続を少し詳しく見てみます。

すでに述べたように、自己破産(個人破産)場合、「破産手続」と「免責手続」の二つの手続が必要です。

そもそも、個人ではない、会社などの法人が破産した場合は、その法人はこの世からなくなってしまうわけですから、債務も当然消滅するので、借金実質ゼロにする「免責手続」なんてことは不要です。

でも、個人の場合は人間ですから、破産したからといって、この世からいなくなってしまうわけではありません。
自己破産した後も人は生きていかなければなりません。生活をしていかなければならないのです。

だからこそ、人生の再スタートを切るためには、借金チャラ、つまり借金を実質ゼロにする「免責手続」がどうしても必要となってくるのです。

したがって、自己破産(個人破産)の場合「破産手続」とは別に「免責手続」が進められ、そこで裁判所が免責許可を得られれば、それによって初めて借金の返済義務が免除されるのです。つまり、借金実質ゼロ。つまりチャラになるのです。

つまり、先にも触れましたが「破産手続」で債務者(破産申立人)が持っていた一定の財産は没収され換価処分(現金化)され、各債権者に配当されますが、それでも全部の借金返済に足りず借金が残ったとしても「免責手続」で強制的に債務実質ゼロ、つまり借金実質ゼロにしてしまうということです。

破産には「人」が破産する場合と「法人などの団体(会社・企業など)」が破産する場合の2つが考えられます。でも「人」の場合は「団体」とは違って破産したとしてもこれからずっと生きていかなければなりません! 「団体」のようにこの世からなくなっても仕方がないというわけにはいかないのです。だからこそ「自己破産」には「免責手続」と「自由財産」があるのです。

この「破産手続」と「免責手続」は理論上はそれぞれ別個の手続ですが、現実は同一手続内で同時進行するのが通常です。だから両者は一体の手続といってよいでしょう。

ところで、「破産手続」にはそのやり方として「管財事件(通常は少額管財事件)」と「同時廃止」の二つのやり方があります。

「管財事件(通常は少額管財事件)」手続とは、裁判所が破産手続開始決定と同時に破産管財人を選任して、その破産管財人が債務者(破産申立人)の財産を調査した上で、金銭的価値ある財産があれば換価処分(現金化)し各債権者に弁済・配当をする手続をいいます。

「同時廃止」手続とは、破産管財人が調査するまでもなく最初から明らかに債権者に弁済・配当するほどの価値ある財産がない場合は、わざわざ破産管財人を選任するようなことはせずに、破産手続開始決定と同時に破産廃止決定をするという手続をいいます。

「管財事件(少額管財事件)」にするか「同時廃止」にするかは裁判所が判断しますが、破産者にとってどちらになるかは大きな問題です。「同時廃止」の方が「管財事件(通常は少額管財事件)」よりも、かかる経費、時間、手間のどれをとっても経済的困窮状態にある破産者にとってありがたいからです。

ところが「管財事件(通常は少額管財事件)」か「同時廃止」の振り分け基準は各地の裁判所によって明らかに異なっています。だから、破産申立てをする管轄裁判所がどのような振り分け基準を採用しているかを事前に知っておくのはとても重要なことになります。

したがって、どちらに振り分けられるかは、基本的には裁判所、破産管財人の手中にありますが、専門家である弁護士が破産者の意向を法律的主張に焼き直して何らかの影響力を与えることも可能なので、自己破産を望む場合には弁護士に依頼するのがベストです。

破産手続き

 

■ 自己破産で免責不許可事由の存在

 
「任意整理」「個人再生」は、借金をした経緯は問題とはしませんが、「自己破産」の場合は、借金をした経緯が、下記のような場合は「自己破産」の免責の恩恵を受けられません。

『ギャンブル、投資・投機行為、飲食代などの交際費、その他の遊興費』といったものは、免責が認められない可能性があります。

自己破産の「破産手続」は進められていきますが「免責手続」は認められないということです。

こうなってしまったら、単なる破産者とし借金を返済しなければならないことになります。こうなってしまうと最悪です!

免責が認められない「自己破産」なんて、それこそ人生の終わりといってもいいかもしれません。

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■ まとめ ~メリット&デメリットは?~

 
◆「任意整理」のメリット&デメリット一覧

自己破産は、ほぼすべての返済が不要になるため、収入がない場合や生活保護を受給している方でも利用が可能です

  

メリット
ほぼすべての借金がチャラになる。(一部例外あり)
貸金業者からの支払の督促をストップできる。
自己破産の手続開始後は債権者から強制執行される心配がなくなる。
自己破産しても、生活必需品などの財産を手元に残したまま生活ができる。
自己破産の手続開始後に得た新たな財産は、自由に処分することができる。
自己破産手続を選択できる条件として、借金額の上限がない。
デメリット
一定の価値ある財産・資産が没収処分され債権者に配当されてしまう。
7~10年間は個人信用情報機関に登録されてしまうため、その間の新たな借入が制限される。
官報(国発行の広報誌)に氏名・住所が掲載されてしまう。
借金に保証人がついていると、保証人に影響が出る(保証人に迷惑がかかる)。

 
◆「自己破産」で借金整理することが向いている人は?

めぼしい資産・財産はもちろん安定した定期収入もなくとても借金を返済する状況にない人。

 
◆「自己破産」で誤解されやすいこと (下記は全てウソ)

1. 会社を必ずクビになってしまう
2. 自己破産のことが戸籍に載ってしまう
3. 自己破産した後に結婚した場合、結婚相手もカードが使えなくなる
4. 選挙権を失ってしまう
5. 海外に行けない、日本から出られなくなる
6. 賃貸住宅や携帯電話などが契約できなくなる
7. 年金や生活保護の対象から外される

 

 

■ 借金問題・無料法律相談の案内

 

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もう少し具体的に言うと、借金問題といってもその有り様は千差万別です。当然に解決へのプロセス及び解決の方法も異なってきます。そういったなか、専門家であっても分野によっては得手不得手があります。だから、この制度は依頼人の希望に十分に応えるために、それに適した専門家を選んで専門家と依頼人を結ぶつけるサービスを行っているのです。そして、一件の依頼につき複数の法律事務所をご案内します。

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「債務整理相談サポート」の申し込みは、オンライン上で24時間どこにいても1分程度で必要項目を入力ができ申し込みが完了します。その後にその入力内容に沿った複数の事務所が案内されます。その手順は基本的には下記の(1)~(6)の順で進みます。依頼人が各々事務所に出向きそれぞれの専門家と面談して、事務所によって濃淡はありますが、依頼人にとって関心事である「あなたに合った借金を減らす方法はあるのか?それは何か?」「おおよそどのくらい借金が減額されるのか?あるいは全額免責可能なのか?」「どうやってリスクを回避するか?」等々が回答されるので(ここまでが無料)、後はどの法律事務所にそれを実現するための債務整理手続きを依頼するかを依頼人自身が判断して決めることになります。

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(6)無料相談を受けた複数の法律事務所の中から実際に債務整理手続きをお願いする事務所を決めたらをその事務所に依頼する。なお、必ずしも具体的な債務整理手続きを依頼することなく無料相談で終わってもかまいかせん。

公開日:
最終更新日:2025/05/10