「任意整理」の和解交渉でカットされる利息は3つある ~「経過利息」と「遅延損害金」と「将来利息」~
2023/08/29
■「経過利息」「遅延損害金」の場合
■「将来利息」の場合
■「利息制限法の上限利率を超えた利息」の場合
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■「利息」について
預金通帳を見ればわかるように、お金を預けると「利息」を受け取ることができます。一方、お金を借りると「利息」も合わせて支払わなければなりません。
私たちは、特に金融業者との金銭取引ではそうなりますが、お金の貸し借りに「利息」が付くのは当然のことです。
「利息」とはお金(元本)を借りることができたという金融サービスの【対価・利用料】といえます。
ただ「利息」は、お金を借りている間ずっと発生し続けるので、借金した側からすれば、ときには自らを苦しめる『悩みの種』となることもあります。
銀行系、消費者金融系のカードローンでのキャッシングは、無担保融資となるので非常に気軽かつ手軽に借り入れが出来てしまう反面、金利がかなり高く設定されているし、債務者からの返済金は、まずは「利息」の返済に充てられて、次に「元本」に充てられていくので、返済の中味については「利息ばかり支払わされて、一向に元本が減らない」というタメ息混じりの状況が生まれます。
そして、時が経てば経つほど、借入件数が多ければ多いほど、多重債務化されて「利息」は、どんどん膨らんでいきます。
※キャッシングの金利・利息についてはこちら。
いずれにしても、借金の返済では「利息」の負担が重荷になることが多く「利息」のカットだけうまくいけば借金完済に向けて明確な道筋が立てられて債務者の負担軽減に大きく資することになります。
そういった「利息」自体は、その中身は変わらないけれど、借金問題解決へ向けて「任意整理」の成立を望んだ場合、その合意の成立(和解契約)の前後で「経過利息」と「将来利息」の二つに整理されます。
簡単にいうと
〇「将来利息」とは、任意整理が成立(和解契約成立)してから任意整理での返済が完了するまでのこれから発生するであろう約定利息をいいます。
なお、上記に二つのほかに利息とは性格を異にするけど「遅延損害金」という支払い金が発生する場合があります。
「利息の返済が厳しいなぁー」とか「利息の返済がなかなか進まないなぁー」とか「このままでは大変なことになってしまう・・・」と「利息の返済」に不安を感じている人は「任意整理」がおすすめです。
「任意整理」の和解交渉は「将来利息」や「経過利息」に加えて「遅延損害金」も交渉の対象になり、その交渉の出来具合によって利息のカットができます。
「任意整理」では自由契約の原則に基づいてどのように決着させるかは基本的には自由です。でも「任意整理」では、この三つすべてをカットできるように交渉を進めていくべきという【全国統一基準(指針)】があるので、債権者・債務者ともにこの基準を尊重して交渉を進めていくことが要望されます。
以下、順に説明します。
■「経過利息」「遅延損害金」の場合
「経過利息」とは、和解交渉成立までに発生した未払いの利息を言います。
例えば、毎月の支払期日が月初めの1日である場合で、7月1日の支払いはなんとかできたけど、8月1日の支払いが困難な状況で今後の見通しもたたないので、支払いが延滞になる前の7月20日に弁護士に任意整理を依頼し、弁護士は7月21日に貸金業者に受任通知を送付し、7月22日に貸金業者が受領しました。
受任通知の効果として、貸金業者の取り立て行為の禁止と貸金業者への取引履歴開示請求を行使して、借金の減額交渉を続けた結果、約3か月後の10月20日に任意整理が成立し借金返済金額の減額が実現しました(7月1日から10月20日までに発生した利息が経過利息)。
受任通知の効果で債権の取り立て行為自体は禁止され、その流れで支払いも停止できます。でも、これは事実上停まっているにすぎません。よって、債権自体は法律上正当に存続しているわけだから「経過利息」は法律的には発生してます。
でも、そうとはいえ、任意整理の和解交渉がうまくいって法律上発生している「経過利息」まですべてカットとなれば、当然に支払う必要がなくなりますし、任意整理がなんとか合意に達したとはいえ「経過利息」はカットされないとか、またはそもそも任意整理の交渉自体が不調に終われば、法律的には発生している「経過利息」の請求を何ら妨げられるものではなく、支払いが必要です。
受任通知後(貸金業者受領後)に一時的に支払いがストップしても、それは事実上にすぎず「経過利息」の発生は法律上は続きます。
もっとも「経過利息」がカットされなかったとしても実際は7月1日から計算されて、計算の元になる期間のメインは弁護士の受任通知(7月21日)から任意整理の成立(10月20日)までの比較的短期間(3~6月間)であり延滞しているわけでないので、その間に発生する「経過利息」はそれほど大きな金額にはなりません。
もう一つ支払が発生するものとして「遅延損害金」があります。「遅延損害金」は「経過利息」と同じで任意整理の成立(和解契約成立)の前に発生する支払分として共通ですが、「経過利息」と違うところは、支払期日が来たにもかかわらず支払いが滞ってしまった場合、仮にそれが不可抗力であっても法律上当然発生する損害賠償金のことです。利息のように契約で発生するものではありません。
※「遅延損害金」についてはこちらを参照
受任通知の効果で債権の取り立て行為自体は禁止され、その流れでその支払い自体は停止されますが、それは事実上にすぎず延滞があれば「遅延損害金」は法律上発生しています。
とはいえ、任意整理の交渉がうまくいって「遅延損害金」までカットということになれば、当然に支払う必要はありません。任意整理の和解交渉が不調に終わり任意整理による解決から方向転換してこれまで通りの支払いになれば、事実上の停止にすぎなかったので法律的に発生していた「遅延損害金」の支払い義務は生ずることになります。
受任通知後(貸金業者受領後)に一時的に支払いがストップしても、それは事実上にすぎず「遅延損害金」の発生は法律上は続きます。
例えば、先の例で毎月の支払期日が月初めの1日である場合、ある時までは毎月きちんと約定の金額を返済していましたが、平成18年3月1日を最後に返済が滞り、平成8年11月1日現在まで返済が一切できずにいて、このままだと借金が膨らむ一方になるので、同年11月5日に弁護士に「任意整理」を依頼しました。
受任した弁護士は、その旨を貸金業者に受任通知を発し貸金業者からの取り立てをストップさせるとともに、約3か月間の和解交渉の末「任意整理」が成立した日は平成19年3月11日でした。
借入をした日から4月1日(最終支払日)までは「経過利息」が発生していますが、その翌日の4月2日以降は「遅延損害金」に変わって延滞分を完済しない限りずっと発生していくことになります。
利息が任意整理によってカットされるかどうかは、債権者(貸金業者)との和解交渉の出来不出来にかかっています。
そういったなかで「経過利息」については、基本的には交渉によってカットされる可能性は大きいです。カットできればすでに発生している利息の返済に心配することはありません。
でも、カットに応じない貸金業者もいますし、それが会社の方針である業者もいます。仮に、カットに応じても全額ではなく「2~3割でもいいから経過利息をつけてほしい」と要求してくる業者もいます。大手の貸金業者は基本的にはカットに応じてくれます。
ただ、次のようなケースなどがあると「経過利息」のカットは認められない傾向があります。
例えば、取引期間が短い場合です。短いと「返済するつもりがないのに借入れを行ったのでは?」と貸金業者に疑いを持たれることがあるからです。まだ、一回も支払っていないのに任意整理を主張してきた場合も同様なを持たれます。
または、借金総額が少ない場合です。少額だと「任意整理で利息カットしなくても返済できるのでは?」と貸金業者に判断されるからです。
あるいは、任意整理が2回目である場合です。2回目ということは1回目の任意整理の和解契約を反故にしたということになるので、そのことが2回目の和解交渉には不利な要素として働く恐れがあり、よって、貸金業者としては「利息」のカットには応じない可能性があります。
さらに、返済能力が乏しい場合です。任意整理では、ほとんどの場合、利息カット後の借金を原則3年延長して5年で完済できる能力があることを前提に和解交渉して和解契約をします。したがって、そういう返済能力を備えていないと判断された場合は「利息」カットどころか「任意整理」自体に応じてもらえない可能性が大きいです。
「遅延損害金」については、支払期日徒過に対するペナルティーですから、通常の利息よりも高く設定(利息制限法上、上限20%)されるのが通常で、延滞期間が長ければ長いほど返済額は膨らみ、よって借金完済はどんどん難しくなり、最後には裁判を起こされ給与などの差し押さえを受けかねません※。もし、現在延納中ならば、できるだけ早めに延滞分を完済すべきであり、完済が難しいのであれば早めに任意整理で解決に導くのが良策です。
ただ、「遅延損害金」の扱いも借主側(債務者)の任意整理における要望に貸主側(貸金業者)が応じなければならない法的義務はありません。
「遅延損害金」は支払期日での返済を怠ったペナルティーとして科せられるものですから、延滞期間が長期にわたっている場合、貸金業者としては何とかして徴収しようとカットに応じない場合も十分考えられます。
でも「遅延損害金」が発生しているということは、状況によっては返済不能状態の予備軍みたいなもので、カットに応じないでいると、借主側(債務者)が「自己破産」を申し立てて、貸金業者としては全く回収できなくなってしまうリスクを負いかねません。それだけは避けたいので、前向きに交渉に応じざるを得なくなります。
大手の貸金業者は「任意整理の全国統一基準」を尊重して前向きに交渉に応じる場合がほとんどです。
延滞を長期間続けたため、高額になった「遅延損害金」を考えれば「任意整理」でカットに成功すればそのメリットはとても大きいはずです。
■「将来利息」の場合
「将来利息」は貸金業者との任意整理の交渉を経て、和解契約が成立した日から完済した日までに発生する利息をいいます。言い換えれば、残っている借金の元本に対して将来発生する利息のことです。
「任意整理」交渉の本丸は、この「将来利息」のカットにあるといわれています。 ほとんどの貸金業者はカットに応じます。
「将来利息」をカットして、元本だけにしてそれを原則として3年間(最大限延ばして5年間)で完済していけばいいわけです。
要するに「利息」は返済が終わるまで負担し続けなければなりませんが、将来利息がカットされれば、元本だけを原則として3年間(最大限延ばして5年間)分割で返済していけばいいのです。 月々堅実に約束の金額を返済していけば、それがそのまま借金残高から着実に減っていくことになります。目に見える形で返済計画が着実に進行しているのがわかって完済への道筋が明確になります。
■「利息制限法の上限利率を超えた利息」の場合
利息制限法とは、借金にかかる利息の上限を制限することで、借入する人を貸金業者の高金利から守る法律です。
もし、その利息制限法に規定する上限金利を超える利息の取り決めがあれば、利息制限法の適正利率で再計算を行って、上限金利を超える利息は、本来支払う必要がないからです。払い過ぎた利息を元金に充当することで借金を減額します。つまり、上限を超えて払い過ぎた利息は元本に充当される形で実質的に上限超過利息はカットされることになります。
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