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個人再生で大幅減額されても未払いの養育費、慰謝料は減額されない?~非減免債権とは~

      2022/07/16

 

 

■ 問題の所在

 
「個人再生」とは、裁判所が介入することで、法律(民事再生法)の規定に則って借金そのものを大幅に減額(最低弁済額)する手続きのことをいいます。
 

 
ところで、大幅に減額できるとはいっても、タイトルにある「養育費」や「慰謝料請求(離婚とか不法行為などによる)」も同じように大幅減額ができるのでしょうか?

「養育費」の支払いや「慰謝料」の支払いで経済的困窮に陥ってしまうことは十分にあることで、それらを「個人再生」でもって大幅に減額させる利益はあるといえばありそうです。でも、必ずしもそうなるとは言えません? 以下、それぞれ説明していきます。
 

■ 未払い「養育費」の扱い

 
そもそも、「養育費」というお金の性質を考えた場合、子供の生活、教育、医療を通じて子供の健全な成長に寄与するに絶対に必要なお金です。だから、キャッシングやカードローンからの借金と同列に扱って、個人再生手続で減額されるものではないとされています。
 

 
したがって、結論を先にいえば「養育費」は個人再生の手続きでもってしても減額されません。

ただ、減額されないといっても「養育費」というのは、月々継続的に発生するモノでしかも結構長期間に続くものです。したがって、その発生時期が時系列の中でどの段階なのかによって減額されない理由付、根拠が異なってくるのです。
 

(1) 個人再生開始時にすでに滞納していた養育費が減額されない理由

個人再生手続き開始時にすでに滞納していた「養育費」については、通常の借金と同じように「再生債権」として扱われ、まさに個人再生手続きが適用される金銭といえます。だから、理論的には個人再生手続きで減額されるべき債権として扱われることになりそうです。

でも、先に述べた「養育費」がもつ特殊性からして「非減免債権」と位置づけられ、減額されることはないということになります(民事再生法229条)。

つまり「非減免債権」というのは、再生債権でありながら個人再生によって減額されない債権だということです。

※なお、民事再生法では、「養育費」だけにかぎらず「夫婦間の協力及び扶助の義務に係る債務」「夫婦間の婚姻費用分担義務に係る債務」「扶養の義務に係る債務」についてもその特殊性から個人再生手続き開始時にすでに滞納している分については「非減免債権」とされて減額されることはありません。下記条文を参照。

〇民事再生法 第229条3項3号
再生債権のうち次に掲げる請求権については、当該再生債権者の同意がある場合を除き、債務の減免の定めその他権利に影響を及ぼす定めをすることができない。
三.次に掲げる義務に係る請求権
イ 民法第752条の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務
ロ 民法第760条の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務
ハ 民法第766条(同法第749条 第771条及び第788条において準用する場合を含む)の規定による子の監護に関する義務
ニ 民法第877条から第880条までの規定による扶養の義務

ただ、重要な点は、繰り返しますが「非減免債権」は、再生債権であることは間違えありません。よって債権者一覧表に掲載させて個人再生手続きでもって処理することになります。

だから、個人再生の最低弁済額を算定する基準額にもなるし、再生手続き中に手続きに無視して支払うことは偏頗行為に当たってしまい、それは「債権者平等の原則」に違反することになるので禁止されています。


 

(2) 再生債権でもある「非減免債権」の「養育費」の支払いの仕方

では「養育費」は減額の対象にはならない「非減免債権」でありながら、減額対象にもなる再生債権でもあるという、一見矛盾した関係を維持しながらの「養育費」を支払いをしていくということは、どのようなやり方になるのでしょうか?ちょっと特別な支払い方法になります。

「養育費」は「非減免債権」であるから、最後には時間はかかっても全額支払われることになりますが、再生債権でもあるから減額対象にもなります。

例えば、Aは毎月6万円の養育費を支払うという約束があるにもかかわらず、その半年分の36万円の支払いを滞納していて、しかもそれを含む合計1000万円の借金があって、そのすべてが返済不能になっているとします。

そういったなか、個人再生における再生計画が認められて、借金額が5分の1の200万円に大幅減額され、それを3年間で返済するということになったとします。

この場合、未払いの養育費36万円はどうなるかというと、まずは再生債権たる性格でもって、同じく5分の1に減額されて支払うべき金額は7万2000円に減額されます。

そして、その7万2000円は3年間で支払うことになるわけですから、未払い養育費36万円は、3年間で月ベースの支払いに換算すると、月々2000円(7万2000円÷36=2000円)のペースで支払っていけばいいということになります。

つまり、再生計画の3年間に限っては本来なら毎月6万円の支払い債務があるにもかかわらず、毎月2000円の支払いでかまわないということになるわけです。とてつもなく大幅な減額となります。

もちろん、これは個人再生手続き開始決定前の未払い養育費が個人再生の再生計画に則っての支払い計画であり、個人再生手続き開始決定後の毎月新たに発生していく未来の養育費については、後述しますが、再生債権ではなく共益債権として毎月6万円を支払っていかなければなりません。だから、再生計画の3年間の養育費を支払額は6万2000円ということになります。

※共益債権については、個人再生手続きに関係なし(手続きの外で)に、いつでも期日が来たら随時支払うことになります(債権者平等の原則は関係ない)。

ただ、この月2000円という金額は、未払い養育費が再生債権として導かれた数字であって、先に述べたように養育費は減額されることがない「非減免債権」という面があるわけです。最終的には全額を支払わなければならないのです。この点を忘れてはいけません。

この面を加味することと、再生計画の3年間が終了した段階で、その期間中に減額された5分の4の35万8000円(36万円-7万2000円=35万8000円)を一括で支払うことになるのです。

まとめると、再生債権として個人再生の再生計画で再生期間中の3~5年は減額された金額を支払えばいいわけですが、その再生期間を過ぎた段階で減額された分を後からまとめて支払うことになるのです。

以上、ちょっと複雑なプロセスを経て、「養育費」については最終的には減額されない満額の金額が支払われることになります。

 

(3) 個人再生手続き開始決定後に発生する「養育費」について

個人再生手続き開始決定後に月々継続的に発生する「養育費」に関しては再生債権ではありません。個人再生手続きの対象にはならず、その手続きに関係なしに手続きの外で、当初の約束通り支払いをしていかなければなりません。

この段階での「養育費」は、ここまで述べてきた「再生債権」でありながら「非減免債権」でもあるという相矛盾した性格をもっているということで、複雑なプロセスを経て最終的に減額されない債権という結論に達するのではなく、子供の健全な成長になくてはならない費用、つまり「共益債権」の一つである、その一言でもって即座に「減額されない債権」との評価を受けるモノです。
 

(4) 「養育費」についてのまとめ

つまり、「養育費」というのは、個人再生手続き開始決定時にすでに滞納していた「養育費」、個人再生手続き開始決定後の新たに発生した「養育費」の2つの場面がありますが、いずれの場合でも「減額されない債権」ということになるわけです。ただ、その理由付、法的構成が異なるということです。

・個人再生手続き開始決定に滞納している「養育費」
 ⇒「非減免債権」という理由で「減額されない債権」
・個人再生手続き開始決定に発生する「養育費」
 ⇒「共益債権」という理由で「減額されない債権」

 

■ 未払い「慰謝料」の扱い

 
「慰謝料」に関しては、基本的には「養育費」のように月々継続的に発生するモノではなく1回で終わるモノだから、個人再生手続き開始決定時に滞納している慰謝料のみを考えればいいわけで、慰謝料はすべて再生債権ということになります。

ということは「慰謝料」はすべて個人再生手続きでもって、減額の対象になるということになります。

では「慰謝料」が「非減免債権」とはならないのでしょうか?

もちろん、ならないことはないわけで「慰謝料」請求権というのは、言うなれば損害賠償請求権のことです。

〇〇損害の賠償について、個人再生手続きでもってすれば減額できてしまうのは妥当ではなく、中には加害者に満額の損害賠償額を負担させて、被害者を救済させた方がいい損害賠償も必ずあるわけです。つまり「非減免債権」とすべき慰謝料もあるということです。

これについて、民事再生法は下記の条文を設けています。

〇民事再生法 第229条3項2・3号
再生債権のうち次に掲げる請求権については、当該再生債権者の同意がある場合を除き、債務の減免の定めその他権利に影響を及ぼす定めをすることができない。
一.再生債務者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
二.再生債務者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(前号に掲げる請求権を除く。)

この条文は何を言っているか整理すると、

「非減免債権」として減額されない債権と認定されるには、下記の要件を備えた不法行為であることが必要であるということです。
〇悪意で加えた不法行為
〇故意又は重大な過失により人に生命又は身体を害する不法行為

上記の要件を備えた損害賠償に限っては「非減免債権」となるということです。その要件を備えない「通常の不法行為」による損害賠償請求は「非減免債権」とはならず、個人再生手続きでもって減額される場合があるということです。

この「通常の不法行為による損害賠償」というのは、原則形の民法709条のケースです。

〇民法第709条
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
※民事再生法229条との違いは「悪意」がない、「重大なる過失」がない、「人の生命又は身体を害する」がない、ということです。

結局「悪意で加えた不法行為」とは、その認定に難しいところがありますが、「悪意がある」という判断する一つの指針として「積極的に相手を害する意図をもってする不法行為」と解されています。

なお、この辺の具体的な指針については、個人再生ではなく自己破産のケースと同じ利益状況なので、下記の関連記事を参照してください。

いずれにしても、繰り返しますが、当該慰謝料請求権が「非減免債権」に当たるか否かの認定は「悪意」とか「重大なる過失」等々という抽象的な概念の解釈が焦点となるのでなかなか難しいところです。

だから、その存否の認定を素人の判断だけで済ますのはやめた方がいいです。

しかも、個人再生手続きで主に判断されるのは、その慰謝料請求権なる債権が実際に存在するかの否か、そして、それは再生債権にあたるかの否か、についてであり、その慰謝料請求権が「非減免債権」にあたるかどうか、債務者・債権者間に争いがある場合、その判断は個人再生手続きではできません。

それを確定させるためには、別途の通常訴訟を起こして決着させなければなりません。

だから、この問題に関しては「悪意」とか「故意または重大な過失」を認定するにあたっては、様々なケースに携わってそれぞれに一定の結論を出してきた経験豊富な弁護士に相談してみることをお勧めします。
 

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