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誤解されるのが多い「自己破産」ですが本当のデメリットとは何でしょうか?

      2020/08/05

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< 目 次 >
誤解の多いデメリットといわれている項目
特定の職業に一定期間就けなくなる
一定の価値ある財産・資産があれば没収される
① ローン残高が固定資産評価による評価額の2倍に満たない不動産
② 99万円を超える現金
③ 評価額が20万円以上のクルマ
④ 残高が20万円を超える預貯金
⑤ 20万円を超える保険の解約返戻金
⑥ 一定以上の退職金(勤続5年以上の場合)

破産手続期間中のみ一部の自由が制限される
郵便物は破産管財人に転送される
官報に住所、氏名が掲載され市町村役場の破産者名簿にも掲載される
個人信用情報機関に事故情報ありと登録される
自己破産と個人再生の共通デメリット
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■ 誤解の多いデメリットといわれている項目

 
「自己破産」は、借金で経済的に困窮している人を、法律でもって免責手続きを通じて実質的に借金をチャラにして、破産者の経済的面での再出発に力添えをする国の制度です。

※もっとも、正確に言うと借金が自己破産することによってゼロになるということではありません。借金はそのまま残ります。でも債権者が返還請求ができない。返還請求してきても債務者はその請求を拒否できるということです。それで借金を返済しなくてもいいということです。なお、この効果は自己破産の「免責手続」で免責許可が認められた場合です。

だから、そういった状況にある人にとっては非常にメリットのある制度です。

もちろん、美味しい話ばかりあるわけではありません。

「自己破産」には、それに対応して甘んじて受けなければならないいくつかのデメリットも存在するのも事実です。

でも「自己破産」には、誤解されている点がいくつもあって、しかも、それらが「自己破産」の已む得ないデメリットとして人々の中に意識付けされてしまっている、理解されてしまっているのも多々あります。

例えば

・「パスポートを取得できなくなり海外旅行が完全に行けなくなる」とか
・「すべての財産、資産が没収される」とか
・「自己破産後の給与は差し押さえられる」とか
・「選挙権や被選挙権がなくなる」とか
・「戸籍にその旨が掲載される」とか
・「年金や失業保険は受け取れなくなる」とか
・「賃貸アパートは退去せざるを得なくなる」とか
・「家具、家電までも没収されてしまう」とか
・「勤務先を解雇される」とか
・「これから一生涯クレジットとかローンが利用できなくなる」とか

こういったことが、実しやかにデメリットとして理解されているケースですが、それらはすべて誤解です。そんなことはありません。

「自己破産」というのが、そのネーミングからして世間的にはどうしても悪いイメージが定着しているので、そんな誤解というか、デマが生まれてしまっているのかもしれません。

でも、実際デメリットがあるのは事実で、では、どういったことが、本当のデメリットとなるのでしょうか?一つ一つ上げていきます。
 

■ 特定の職業に一定期間就けなくなる

 
弁護士、司法書士、弁理士、通関士、税理士、公認会計士、行政書士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、宅地建物取引主任者などはダメです。就けません。あと、公証人、教育委員会委員、公正取引委員会委員、人事院人事官、公安委員会委員といった一定の公務員とか、生命保険外交員とか、警備員といった職業も就けません。さらに、質屋、古物商、旅行業務取扱の登録者や管理者、貸金業者の登録者、建設業を営む者なども営業許可がおりません。

細かく調べれば、このほかにも結構な数があります。

ただ、これらは、自己破産手続き開始決定の段階でその地位を失います。でも、すべて「免責」が認められれば「復権」できます。その地位を回復できるのです。

「免責」とは、先に述べたように、自己破産で借金などの債務の返済義務を免れることです。ちなみに自己破産が認められても「免責」が認められない場合もあります(免責不許可事由がある場合)。

要は、自己破産者で復権を得ていない人は、上記に挙げた職業に就くこと、登録することはできません。すでに就いている人、登録している人は、破産したことで就けませんし、登録は削除されます。ただ、免責が許可されればまた就くこと、登録することができるということです。

もっとも、一定の公務員関係は自己破産した時点で、罷免や退職を余儀なくされることが多いです。

これ以外の職業、会社員、医師、看護師、介護士、薬剤師、国家公務員(上記の者を除く)、地方公務員(役所の職員など)、教師などは、たとえ破産手続の開始決定を受けても影響されることなく業務を続けることができます。
 

■ 一定の金銭的価値ある財産・資産があれば没収される

 
この「一定の価値ある財産・資産」が処分されるというのが「自己破産」では、大きなデメリットの部類といっていいしょう。

住宅、自動車、あるいは価値ある美術品などは、原則全て没収され、換価処分されて、各債権者に各々が持っている債権額に応じて、平等に比例配分されてしまいます。

でも、これは仕方がありません。

借金が全て帳消しになるということは、お金を貸した側、つまり債権者が正当に持っていた貸金返還請求権が行使できなくなるわけです。債務者がもっている財産は換価処分さえれて債権に充てられても、到底債権の全額を満たすにはほど遠くても、債権者はそのことを甘んじて受けなければなりません。だから、場合によっては債権者側も大きな損失を被ることだってあるわけですから。

では、処分されてしまう「一定の価値ある財産・資産」とは何でしょうか?

① ローン残高が固定資産評価による評価額の2倍に満たない不動産

これはどういうことかというと、所有する不動産のローン残高が固定資産評価証明書による評価額の2倍以上残っている場合は資産とはみなされない。つまり、ローンの方がたくさん残っている場合(オーバーローン状態)は「一定の価値ある財産・資産」とはみなされません。つまり処分対象となる財産となならないということです。

※「オーバーローン状態」とは、残りのローン残高とその当時の不動産の金銭的価値とを比べた場合、まだ前者の方が多い状態をいいます。

理由は、借金の方が明らかに多いならば破産手続をして、財産・資産を現金化しても結局は借金が残ります。それならば、処分の対象となる「一定の価値ある財産・資産」とみなさずに最初から免責を申し立てをすることが、できる同時廃止にした方が手続的にも簡単になるから何かといいのです。

同時廃止については こちら を参考。

② 99万円を超える現金

99万円までの現金は「自由財産」とみなされて、処分の対象とはならず「一定の価値ある財産・資産」とはみなされません。

「自由財産」というのは、破産手続の開始時に破産者が持っていた財産で、自己破産したとはいえ、何から何まで取り上げて、すっからかんにして社会に放り出すわけにはいかないので、これから生活していくうえで必要となる最低限度の財産のことで、これについては処分されることなく、破産者が自由に使用・処分できる財産のことです。

なお、ここでいう「現金」というのは、家の中に置いてある、あるいは身に着けている、手持ちのお金のことです。だから、あとで述べる銀行等の口座に預けている「預貯金」とは、全く同じお金ではありますが「現金」とは別物と評価されます。

③ 評価額が20万円以上のクルマ

クルマが外車や国産でも高級車であれば、長期間使用していても、高い値段が付くことが多いので資産とみなされ事が多いでしょう。そういう場合は没収されてしまいます。

それに対して、普通の国産乗用車や軽自動車であれば、初年度登録後7年も経過すれば、ほとんどその価値が20万円以上となることはありません。また、新車時の車体本体価格が300万円未満のクルマは7年も経てば資産とはみなされません。

通常、自己破産におけるクルマの価値評価は、車のディーラーや買い取り業者に査定してもらい、その見積書を提出することで証明します。

ということは、もし、自己破産後もクルマを使いたいのであれば、査定価格を20万円より低ければよいわけです。

いくつかの買い取り業者やディーラーを訪ねて下取りや買い取りの査定をとってもらって、一番低く査定価格を出してくれた業者の見積書(20万円より低いもの)を裁判所に提出すればいいということになります。

こういった手法を取る場合は、一度弁護士等の専門家に相談してみると良いです。

④ 残高が20万円を超える預貯金
(※東京地方裁判所独自の拡張基準で自由財産となる財産)

預貯金20万円というのは、銀行等の口座に入っている20万円のことです。先に述べたように手元にあるお金ではありません。

なお、この20万円というのは、一つの口座だけでなくすべてを合計しての金額になります。

⑤ 20万円を超える保険の解約返戻金
(※東京地方裁判所独自の拡張基準で自由財産となる財産)

保険も解約返戻金が20万円を超える場合は資産と評価されます。

1件だけで20万円を超える場合はもちろんですが、2件以上の契約があって、解約返戻金の合計が20万円を超える場合も資産と評価され、処分の対象となる「一定の価値ある財産・資産」となります。

だから、掛け捨てなどの解約返戻金などがほとんどない保険の場合は資産とはなりません。

もし、解約返戻金がある保険で、自己破産による解約を免れたいのであれば、解約返戻金を担保にする貸付制度を利用すればいいです。

例えば、解約返戻金が50万円ある場合、貸付制度を利用して30万円を借り入れて、解約返戻金を20万円以下にする方法です。

ただ、自己破産の場合はその借り入れた金額の使途を説明しなければなりません。生活費とか弁護士費用といったものに使うことです。単なる浪費はダメです。

この手法をとる場合もクルマ査定の場合と同様、一度弁護士等の専門家に相談すると良いです。

⑥ 一定以上の退職金(勤続5年以上の場合)
(※東京地方裁判所独自の拡張基準で自由財産となる財産)

現時点で退職したと仮定して支給されるであろう退職見込金の8分の1が20万円を超える場合は、処分の対象となる「一定の価値ある財産・資産」とみなされます。

 

■ 破産手続期間中のみ一部の自由が制限される

 
自己破産で「管財事件(破産管財手続ともいう)」となった場合、破産手続期間中は住居の引っ越し、二泊以上の国内旅行、海外旅行をするには裁判所への申し立てと許可が必要です。

自己破産が必ず「管財事件」になるとは限りません。破産者に債権者に配当するような価値ある財産がないことが当初から明らかな場合は、同時廃止となり破産管財事件にはなりません。この場合は自由の制限はありません。

管財事件と同時廃止の違いについては こちら を参考。

自由の制限がある状況でも許可は比較的簡単に出るようです。
 

■ 郵便物は破産管財人に転送される

 
自己破産で「管財事件」となって破産管財人が選任された場合、破産者への郵便物は
すべて破産管財人に転送されて、破産管財人のチェックを受けます。

この理由は「隠し財産はないか?」「債権者漏れはないか?」を調査するためです。 転送される期間は、大体は「債権者集会」までです。遅くとも破産手続終了まではチェックを受けます。
 

■ 官報に住所、氏名が掲載され市町村役場の破産者名簿にも掲載される

 
もっとも、官報や破産者名簿などは一般人が見る可能性はほとんどないといっていいでしょう。
 

■ 個人信用情報機関に事故情報ありと登録される

 
個人信用情報機関に、事故情報(ブラックリスト)として登録されると、だいたい5~7年間は新しい借金やクレジットカードでの購入、住宅ローンの利用ができなくなります。

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■「自己破産」と「個人再生」の共通デメリット

 

「自己破産」と「個人再生」の共通のデメリット
〇ブラックリストに登録される。
〇官報に住所、氏名が掲載される。
〇手続を進めるにあたって、裁判所の手続きが必要である。
〇すべての債権者が手続の対象となる

上記4つのうち、一番最後の項目については下記関連記事を参照してください。

共通するデメリットが結構あるということは「自己破産」固有のデメリットは、案外少ないということを表しています。このことは、世間でいうほど「自己破産」に対する悪いイメージをもって接するとか、悪いイメージでの特別扱いをする必要がないということです。
 

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