「任意整理」による解決ができない借金とは? ~適するか適さないかの判断基準は?~
2023/09/23
■ 「任意整理」による債務整理が適さない借金・債務のケース
(1) 利息分の減額返済だけでは完済が困難な場合
(2) 債権者が多数いる場合
(3) 毎月の返済ができる程度の安定収入がない場合
(4) 制度上or性質上「任意整理」できない債務の場合
(5) その他「任意整理」が認められそうにない債務
① 一回も返済していない債務
② 再度の「任意整理」を求める債務
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■「任意整理」とは?
「任意整理」とは、裁判所が関与することなく債権者と債務者間の直接交渉を通じて(通常は弁護士や司法書士が交渉に当たる)、借金支払いの負担を軽減し、3~5年で完済を目指す手続きです。この点、裁判所が介入してくる「個人再生」や「自己破産」の手続とは異なります。
「任意整理」は、当事者間の私的な話し合いで解決するので、金銭の貸し借り関係が複数あっても債務者が交渉する債権者を選んでその者との借金問題を解決することができるという点が特徴です。
それから「任意整理」での減額対象は、基本的に「将来利息」と「経過利息・遅延損害金」のみであり、元本の減額が認められることはほとんどありません。そのため、元本の減額・免除ができる「個人再生」や「自己破産」よりも減額効果は劣ります。
■「任意整理」による債務整理が適さない借金・債務のケース
法律が定めている債務整理のやり方については、原則「任意整理」「個人再生」「自己破産」の三つの方法があります。
そのうちどれを採用するかは、基本的には弁護士や司法書士といった専門家に相談して決めるのが本筋であり、それは借金の金額の大小はもちろんですが、債務者の収入能力、その他置かれている状況、その借金問題に利害関係を有する人数や利害の関わり方を考慮しながら、依頼人である債務者の状況に合った適切な方法を選択していきます。
そのなかで「任意整理」は、裁判所の介入がなく手続がシンプル・柔軟かつ短期間で成立する点が大きなメリットであり、したがって、最も多く利用されている債務整理手続です。
ただ、状況によっては「任意整理」はできない、またはできるけれども避けた方がいいケースがあります。そういった「する・しない」「できる・出来ない」の最終判断も弁護士 司法書士といった専門家に相談することを推奨します。
(1) 利息分のカットだけでは3~5年での完済が困難な借金
繰り返しますが「任意整理」での減額対象は「将来利息」と「経過利息・遅延損害金」のみです。利息のカットは負担軽減に向けて少なからず寄与するものですが、元本ついては原則減額の対象にはなりません。元本部分は3~5年間で完済しなければなりません。
ということは、逆から言えば、利息部分を全面カットできるとしても、元本部分を3~5年の間に完済できそうもないのであれば、その借金を解決する手段として「任意整理」は適していないということになります。
元本の支払いが3~5年で完済できないということは、期限までに元本を定期的に、かつ安定的に支払っていけるまでの収入源もっていないという事だから、こうなると元本自体を減らすか、ゼロにするしかないことになります。
つまり、方法としては「個人再生」か「自己破産」の手続を考えなければならないことになります。
元本できるに足る
だから、借金・債務の金額が大きい場合は、元本含めて返済額を平均5分の1~最大10分の1まで減額できる「個人再生」、あるいは一定の財産の処分は避けられませんが、返済額がゼロにできる「自己破産」を選ぶのが通常と言われています。
ただし、借金・債務の金額が大きいといっても、その大小は相対的なモノであり、金額だけでなくそれ以外の要素も考慮されつつ、利息分の減額だけで返済を継続していくのがつらいかどうか、もしつらいのであれば「任意整理」ではなく「個人再生」または「自己破産」を検討するのがいいと思います。
いずれにしても、専門の弁護士、司法書士に相談してみることが大切です。
(2) 債権者が多数いる場合
「任意整理」は、個々の債権者との私的交渉で解決をめざす債務整理手続きですから、債権者があまりにも多数の場合、もし債権者毎に順次交渉を行うのであれば、時間や労力の観点からかなり大変だし、交渉件数が増えていくにつれて弁護士や司法書士の費用をどんどん加算でいきます。
しかも、あくまで私的交渉なので、交渉過程では何ら法的拘束力がなく、いくら時間をかけて交渉を重ねても納得いく解決案にたどり着かない可能性が多くでてきます。
さらにいえば、ケースによっては債権者が多数いる場合「任意整理」で解決を目指すことがかえって不都合を生じてしまうことがあります(下記 関連記事参照)。
ということで、債権者が多数いる場合は、裁判所が介入して利害関係を有するすべての債権者を裁判上の手続きの乗せて、強制的かつ抜本的に減額、免除できる「個人再生」「自己破産」手続が適しています。
(3) 毎月の返済ができる程度の安定収入がない場合
「任意整理」の効果は返済額の減額であり、減額された返済額を毎月継続して返済しなければなりません。「自己破産」のように債務が免除(ゼロ)になるわけではありません。
しかも任意整理は当事者間の私的交渉を通じての和解契約ですから、債務者が無職の人・収入が少ない人・収入が不安定な人であれば、いくら返済計画を提示しても債権者の同意をもらうのは難しいといえるでしょう。
この場合は、同様な理由で「個人再生」も難しいといえます。
この場合の選択すべき債務整理は「自己破産」が第一の選択肢となります。「自己破産」であれば、その免責効果で債務の免除(ゼロ)となるので、安定した収入のない場合はもちろん、全く無収入の人でも利用が可能だからです。
(4) 制度上or性質上「任意整理」できない債務の場合
例えば、税金・社会保険料といった租税等の請求権の支払い債務は、その制度上「一般の優先債権」として「任意整理」はもちろん、裁判所が介入してくる「個人再生」「自己破産」であっても減免、免除でいません。
つまり、どの債務整理手続であっても税金、社会保険料をはじめとするをすることができません。任意整理、個人再生では「非減免債権」といい、自己破産では「非免責債権」といわれ両者は同じ扱いがなされます。
そもそも「任意整理」の場合は、私人間の和解交渉のみで借金の減額ができる手続ですから、私人間の取り決めで税金や社会保険料の運命が左右されるなんてことはあり得ないでしょう。だから「非減免債権」は主に個人再生手続で使われます。
●「非免責債権」⇒自己破産の免責決定を受けても免責の効果を受けない債務。
なお、制度上「一般の優先債権」ではなく、一般債権でありながら、その性質からして「社会的にみて保護すべき債権」として「非減免債権・非免責債権」とされるものがあります(下記参照)。
● 故意または重過失によって加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権
● 夫婦や扶養家族の生活費、子の養育費などの請求権など
詳しくは、下記の関連記事を参照してください。
(5) その他「任意整理」が認められそうにない債務
① 一回も返済していない債務
一回も返済していないのに「任意整理」を主張してくると、債権者の債務者に対する印象は非常に悪くなります。
そりゃそうなります。債権者は債務者を信頼してお金を貸したにもかかわらず、初回の返済から滞ってしまい、ましてや「任意整理」まで主張してくるなんて、最初からそのつもりで借り入れを申し込んできたのではないか?と、債権者の立場からすると「だまされた!」と思ってしまうのも当然と言っても不思議ではありません。
そこには債権者の同意が得られず「任意整理」による解決は難しくなります。
② 再度の「任意整理」を求める債務
「任意整理」が成立しその和解条件に沿って支払っていたが、途中で返済ができなくなり、再度、一回目と同じ債権者(金融会社)での「任意整理」を依頼してそれが認められるか?ということです。
任意整理は、裁判所を介さずに直接貸金業者との交渉によって行われるものなので、理論的に言えば債権者の同意さえあれば原則何回でも可能といえます。
そういった意味では「任意整理」できるということになりますが、二回目となると債権者の債務者に対する信頼感がかなり崩れています。だから、そう簡単にはいきません。
そもそも「任意整理」は義務ではないので、再度の「任意整理」には応じないという債権者も当然でてきますし、仮に「任意整理」ができたとしても、対応は厳しかったり、一回目よりも条件が緩和されなかったり、再「任意整理」するまでの遅延損害金が付くとか明らかに負担が増えるでしょう。
詳しくは下記の関連書類を参照してください
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