借金問題を解決するための相談所

 ~国の救済制度で借金生活に終止符を打つ!~

〇日本法規情報(債務整理相談サポート) 無料相談&診断 受付中! 24時間365日フル対応! ⇒専門家があなたに合った借金解決案を提案 公式ページへ    

自己破産手続では「管財事件」と「同時廃止」の2種類 ある ~両者の特徴と振り分け基準は?費用の違いは?~

      2021/11/11


 

< 目 次 >
「管財事件」と「同時廃止」のそれぞれの特徴
(1) 「管財事件」とは?
(2) 「少額管財事件」とは?
(3) 「同時廃止」とは?
「管財事件」にするか「同時廃止」にするかの振り分け基準
(1) 東京地方裁判所の振り分け基準について
  ① 20万円以上の評価額の財産を持っている場合
  ・ 退職金請求権・退職慰労金
  ・ 保険 (生命保険、傷害保険、火災保険、自動車保険等)
  ・ 自動車・バイク等
  ・ 不動産 (土地、建物、マンション等)
  ② 33万円以上の現金を持っている場合
(2) 大阪地方裁判所の振り分け基準について(概略)
(3) 財産がなくても管財事件(通常は少額管財事件)に振り分けられる場合がある
借金問題の無料法律相談のご案内
・日本法規情報 (債務整理相談サポート)

 

 

■ 「管財事件」と「同時廃止」のそれぞれの特徴

 
自己破産は裁判所が関与する債務整理の手続です。

自己破産とは、破産者が所有している一定の価値ある財産・資産等を換価処分(現金化)して、債権者に弁済、あるいは比例配当して、それでも破産者に借金が残っていてもその借金は返済しなくていい、つまり免責される手続をいいます。

破産者の換価処分(現金化)した財産を各債権者に弁済・配当する手続を「破産手続」、借金返済は免責にしてチャラにする手続を「免責手続」といいます。両者はそれぞれ別個の手続きですが、一体化して同一手続内で同時進行していきます。

その同時進行のなかで2つの流れがあって、「管財事件(少額管財事件も含む)」「同時廃止事件」があります。
 

(1)「管財事件」とは?(処分する財産が多いときの手続)

 
「管財事件」とは、破産申し立てをして破産者の財産を調査、管理、換価処分(等価値の金銭に換える)し、債権者に弁済、配当するのに必要な破産手続をいいます。

破産者に換価処分(現金化)して債権者に弁済・配当できる財産がある場合は「管財事件」として進められるということ。

「管財事件」になると、破産者の財産調査、管理、換価処分、債権者への弁済、比例配当とともに、破産者に免責を認めてもいいかの調査も必要となるので、「管財事件」になると当然その任に就く破産管財人が裁判所によって選任されることになります。

そして、破産者は、破産管財人の事務所で面談して破産手続に至った経緯や財産状況などについて、詳しい説明を求められます。

「管財事件」では、破産管財人が中心となって破産手続、免責手続等々諸々関わってくるので、手続きは単純でなくかなり手間のかかる作業となって、破産が正式に認められるまで半年~1年程度を要する場合も少なくありません。

それに破産管財人が選任されれば、その人件費がかかってきます。その費用は破産申し立てした破産者本人が負担することになり、そのための予納金は手続に入る前に裁判所に納めなければなりません。予納金を納めないと破産手続が始まりません(申し立て却下)。

予納金の内訳は「手数料、官報公告費用、郵便切手、引継予納金」です。そのほとんどは破産管財人の人件費となる引継予納金で占められます。調査すべき財産が多くて処理すべき点が多ければ多いほど、仕事の内容も複雑になり、費やす時間も増えるので、破産管財人の報酬額は高額になります。そうすれば当然予納金の額も増えます。

東京地裁を例(予納金の額は裁判所によって違います)で「管財事件」の予納金の金額を示すと最低でも50万円が必要で高額の金額を用意しなければなりません。そのほか依頼した弁護士費用も掛かります。

●参考資料/東京地裁での管財事件での予納金
・負債額5000万円未満の場合⇒50万円
・負債額5000万円から1億円未満の場合⇒80万円
・負債額1億円から5億円未満の場合⇒150万円
・負債額5億円から10億円未満の場合⇒250万円
・負債額50億円から100億円未満の場合⇒500万円
・負債額100億円以上の場合⇒700万円

思うに、50万円という金額は、通常の個人や小規模な事業者にとってみれば決して安いものではありません。この50万円を一括で支払えとなると、自己破産を申し立てている者にとってはかなり高いハードルということになります。 ⇒ そこで「少額管財事件」の存在がKeyとなります。
 

(2)「少額管財事件」とは?(予納金が少額ですむ管財事件)

 
「少額管財事件」も「管財事件」の範疇に入ります。通常の個人の破産手続の場合は「少額管財事件」がほとんどとなります(東京地裁の場合)

したがって、「管財事件」と同じく破産申し立てをして破産管財人が破産者の財産を調査、管理、勘案して換価処分し、債権者に弁済、比例配当する際に必要な手続をいいます。

ただ、自己破産制度を利用しようとする人は、借金返済の苦しみから解放し経済的更生を図ろうとしている人です。そういう人に「管財事件」で要求されているような50万円もの金額を負担させるのは酷であり、これでは一部の人しか自己破産制度を利用することができなくなってしまう恐れがあります。

そこで、一般の個人や中小零細事業者でも自己破産制度を利用しやすくして、比較的容易に経済的更生の機会を得られるようにするため、破産手続の予納金の金額を下げた「少額管財事件」という手続があります。

その予納金がどのくらい下がるかというと「管財事件」の予納金が少なくとも50万円であるのに対して「少額管財事件」では20万円程度ですむとされています。この点は大きなメリットです。ただし、依頼した弁護士費用が別途掛かるのはいうまでもありません。

そして、予納金が少額で済むということは、当然に破産手続進行上の諸費用と破産管財人の報酬も少額にならざるを得ません。

ですから「少額管財事件」として扱うに相応しい事案は、破産管財人の報酬もあまり高額でなくてもすみ、財産の調査、管理、処分、そして配当等々でも多額の費用を掛けなくても済むような事案であり、そういった事案は「管財事件」に比べて手続の簡略化、迅速化が図れるというメリットもあります。

ということは、事件の内容が複雑で処理すべき点も多く、そのための時間、労力も多くを費やさなければならないような破産事件は「少額管財事件」ではなく「管財事件」として扱う方が妥当ということになります。

さて、冒頭に述べた通り、自己破産には「管財事件」と「同時廃止」の二つの流れがあります。

「少額管財事件」のさらなるメリットは「同時廃止」で生ずる恐れがある不正を防止する役割があります。

後でも述べますが「同時廃止事件」では、破産管財人は選任されません。選任されないがゆえに財産に関する調査、免責に関する調査が不十分になって財産・資産の隠匿等が行われる懸念が生じます。、その懸念を破産管財人が選任される「少額管財事件」では防止できるのです。

ところで「少額管財事件」には、注意すべき点があって「少額管財事件」は法律上設けられた制度ではありません。自己破産制度を利用しやすくするために東京地方裁判所が破産法の範囲内で独自に設けられた運用方法です。

もちろん、その有用性からこの運用方法に倣う、あるいは類似した運用を採用する地方裁判所もあります。でも、全国レベルで行われているわけではありません。通常の「管財事件」としての扱いしか認めない地方裁判所もあります。

だから、自己破産の申し立てを考えている人は、管轄下にある地方裁判所はどのようなやり方をとっているのか弁護士に確認することを勧めます。

さらに、注意すべき点は「少額管財事件」として運用を希望する場合は、必ず弁護士を代理人として自己破産を申し立てなければなりません。個人や司法書士が申し立てると、通常の「管財事件」として扱われてしまいます。
 
「少額管財事件」のメリット・デメリット

メリット
●「管財事件」と比べて自己破産申立てにかかる予納金の額が少なくて済む。
●「管財事件」と比べて手続きの簡略による迅速化が図られる
●「同時廃止」での不正を防止できる
デメリット
●「少額管財事件」は全ての地方裁判所で採用されてはいない(東京地裁で初めて登場)
●「少額管財事件」の申立ては弁護士のみ許されている

 
処分して配当するに値する財産がある事案で、ほとんどのケースは「管財事件」としてではなく「少額管財事件」として進められているのが現状です。実際に、東京地裁で扱う「管財事件」の95%は「少額管財事件」です。
 

(3)「同時廃止」とは?(経済的余裕も財産もないときの手続)

 
これまで述べてきたように、破産管財人は破産者の財産を調査、管理して、換価処分(等価値の金銭に換える)して、債権者に弁済、配当する「管財事件(通常は少額管財事件)が破産手続の本筋の流れです。

ただ、なかには破産管財人が調査するまでもなく破産者に処分できるような財産が明らかになくて、破産手続を継続しても債権者に配当すべき金額はもちろん、手続を進めていくだけの費用すら捻出が難しい事案もあります。

このような事案で扱う破産手続は本筋の面倒な手続は一切やらずに終了にします。裁判所が破産手続の開始決定をすると同時に破産手続を終了するのです。この手続を「同時廃止」といいます。弁護士依頼時から3~4ヶ月、長くて6ヶ月で終了します。
 

破産手続においては「管財事件 (通常は少額管財事件)」が原則
破産手続においては「同時廃止」は例外的扱い

 

破産法第216条1項・2項
第1項 裁判所は、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるときは、破産手続開始の決定と同時に、破産手続廃止の決定をしなければならない。⇒この場合は「管財事件」ではなく「同時廃止」となるということ。
第2項 前項の規定は、破産手続の費用を支弁するのに足りる金額の予納があった場合には、適用しない。

当然、破産管財人がいること自体が無意味なので、破産管財人の選任もしません。だから、破産管財人への報酬もいらなく、手続の費用として約2~3万円程度で済みます。だから、もともとお金がない破産者には精神的に気を楽にして取り組めるでしょう。

後は免責に関する手続が残るのみで、裁判所による免責決定が下されば、破産者は借金返済義務が免除されます。その点は「管財事件」「少額管財事件」と同じです。

先ほど、個人の自己破産の場合「管財事件」中の「少額管財事件」として扱う件数が圧倒的に多いといいましたが、実は、破産申し立て全件数のうち一番多いのが「同時廃止」なのです。

仮に、当初はお金持ちであっても個人が自己破産する場合は、ほとんどが処分すべき財産を持っていないことが多いからです。

例えば、本来なら大きな財産的価値を有する不動産を持っていれば「管財事件」となるわけですが、自己破産するような人のほとんどは、その不動産に抵当権が設定されていることが多いです。

その抵当権が実行されれば抵当権付き債権を持っている債権者が優先的に債権の回収ができて、それ以外の債権者には何も残らなくなれば、その債権者に配当するような原資がないことになるので「管財事件」ではなく「同時廃止」となってしまうからです。 詳しくは、後述の「管財事件」「同時廃止」の振り分け基準」の項目参照。
 

>>「同時廃止」の問題点<<

個人破産の多くは、結果的に「管財事件」ではなく「同時廃止」として自己破産の申立てがなされます。理由は、個人財産の場合は、債権者に弁済・配当するようなめぼしい財産がないということが多いということです。

だから、「同時廃止」は実質的には破産手続が行われないので、破産管財人が選任されず破産管財人による調査が行われません。つまり、そこには十分な資産の調査や免責の調査が行われないということです。

破産管財人が選任される「管財事件」をとっていれば、破産管財人が資産調査や免責不許可事由を調査するので、これらに対する不正を隠し通すことは難しいですが「同時廃止」ではそのような調査は行われないため、財産・資産の隠匿等々の違法な手法が見逃されてしまう危険性があります。

それは、ひいては各債権者の利益を損なうことに繋がります。

「同時廃止」には「モラルハザード(バレなければ何してもいい!)」がはびこっている。これは由々しき事態といえます!

このような恐れがあるため、裁判所としても「同時廃止」の運用に慎重にならざるを得ません。

とはいえ、監視、調査等々を十分に果たすために、破産管財人を介入させる「管財事件」にしてしまうと「同時廃止」手続のメリットの一つである低額の予納金が高額となってしまって、個人や中小零細企業とって利用しにくい制度になってしまうという悩ましい状況にあります。

その悩ましい状況のある程度の解消を目指したのが、すでに述べた利用しやすい予納金にした「少額管財事件」といえるかもしれません。「少額管財事件」もきちんとした管財事件の手続なので、破産管財人が選任されて適切な調査が行われので、不当な資産隠し等を防止できるのです。
 

~管財事件と同時廃止との違い~

管財事件
少額管財事件
同時廃止
① 破産管財人の存否
選任される
選任されない
② 破産者に財産があるか否か
没収・換価処分する価値ある財産がある場合
没収・換価処分する価値ある財産がない場合
③ 手続の複雑さ
手続は複雑
手続は簡単
④ 手続の期間
破産開始決定~免責決定まで
管財事件は1年以上
少額管財事件は4ヶ月~半年くらい
破産開始決定~免責決定まで
2ヶ月~3ヶ月程度
⑤ 債権者への配当
配当あるのが原則
配当ない
⑥ 破産者の財産がなくなるか
財産はなくなる(自由財産を除く)
財産はなくならない
(というよりも価値ある財産がない)
⑦ 転居・旅行制限
制限ある(裁判所の許可必要)
制限ない
⑧ 郵便物の取り扱い
破産管財人宅に届く
破産者宅に届く
⑨ 裁判所へ払う予納金
(裁判所によって異なる)
最低50万円程度
(少額管財の場合は20万円)
2万円~3万円程度
⑩ 弁護士費用
同時廃止に比べて高い
着手金30~50万円程度+予納金
管財事件に比べて安い
着手金20~30万円程度+予納金

 

■ 「管財事件」にするか「同時廃止」にするかの振り分け基準

 
自ら申し立てる自己破産の手続きが、同時廃止になるのか、管財事件になるのか、破産者にとって重大な関心事です。

「管財事件」になると最低50万円、「少額管財事件」でも20万円程度の予納金が必要になります。いずれにしても破産管財人が登場する管財事件になると破産者その金額は厳しい金額となります。

また「同時廃止」に比べて破産手続終了まで時間がかかるし、破産管財人に郵便物が転送され中身をチェックされます。旅行や引っ越しをするにも裁判所の許可が必要になってきます。破産管財人との面談ではここまでに至った事情を根掘り葉掘り聞かれるので、精神的な負担もかなりのものになります。

「管財事件」になるか「同時廃止」になるかはある基準をもとに最終的には裁判所が判断するのですが、できるだけ「管財事件」を避けて経済的、精神的な負担がない「同時廃止」にもっていければ、破産者にとっては喜ばしいことであり、そちらの方向にもっていけるかが弁護士の腕の見せ所といってもいいです。

そのため、管財事件を避けて同時廃止に持っていけるのが弁護士の腕の見せどころといえるでしょう。

さて、この二つの分かれ道のどちらに進むかは、基本的には申し立ての内容と破産申立人の財産状況によって決まります。

つまり「破産者に換価処分して債権者に弁済、配当し得る価値ある財産・資産があるかどうか?」にかかっています。

ざっくりした言い方をすれば、そういった価値ある財産がある場合は「管財事件」。そうでない場合は「同時廃止」ということになります。

そして、それによって「破産手続を本筋の流れに沿ったやり方でやるか、やらないか」の違いがでてくるのです。
 

管財事件/少額管財事件 ●「管財事件」とは、例えば大企業の代表者のように換価処分するに値する財産がかなり多い場合の破産手続。
●「少額管財事件」も「管財事件」の範疇に入って、同じように換価処分に値する財産がある場合の手続ですが「管財事件」にするほど大きな財産をもっているわけでもなく、ただ、経済的理由で高額の予納金を低く抑えられれば自己破産をしやすなることから、その要請に応えるために設けられた破産手続。
同時廃止
●「同時廃止」とは、換価処分して債権者への配当に回せるような価値ある財産が調査するまでもなく明らかにない場合は、破産手続を進める意味がないため、破産管財人など選任せず破産手続開始と同時に直ちに終了してしまう手続。

 
ただ、前述した破産法216条でわかるように「破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるとき」は同時廃止とすると定めているにすぎず「管財事件」と「同時廃止」との明確な振り分け基準が条文上で示されているわけではありません(破産法216条1項2項参照)。
 

破産に関する費用を用意できる「管財事件(通常は少額管財事件)」
破産に関する費用を用意できない「同時廃止」

 
このため、各地の地方裁判所がそれぞれの独自の具体的な振り分け基準を設けています。どちらになるかは、破産者からみれば重大な関心事です。だから、自らの管轄裁判所がどのような振り分け基準を採っているかを知ることは極めて重要です。
 

(1) 東京地方裁判所の振り分け基準について

 
東京地方裁判所の場合は、下記のいずれか一方でも満たすと「管財事件」となります。

20万円以上の評価額の財産を持っている場合
33万円以上の現金を持っている場合

要するに、通常は少額管財事件だから少額管財事件にかかる費用(約20万円)を用意できるか否かが、どちらに振り分けられるかの基準となります。
    

20万円以上の評価額の財産を持っている場合

下記に記する財産の項目のうち、20万円以上の価値のある財産を1つでも保有していれば、当該破産申し立ては「管財事件」に振り分けられる可能性が高いです。

ただ、注意すべきことは、20万円以上という数字は一つの財産を対象とする数字であって、例えば、報酬・賃金、または保険といった項目が別で、それぞれ単体ごとが20万円を超えている場合に「管財事件」になります。報酬・賃金が10万円以上、保険が15万円以上というように、合わせて20万円を超える(25万円)ことになったとしても「管財事件」ではなく「同時廃止」です。

1) 預金・貯金(あくまで銀行等に対する払戻請求権であり、手持ちの金銭ではない)
2) 報酬・賃金(給料、賞与等)
3) 退職金請求権・退職慰労金
4) 貸付金・売掛金等
5) 積立金等(社内積立、財形貯蓄、事業保証金等)
6) 保険 (生命保険、傷害保険、火災保険、自動車保険等)(解約返戻金が20万円を超えるかどうか)
7) 有価証券 (手形・小切手、株式、社債)、ゴルフ会員権等
8) 自動車・バイク等(査定額が20万円を超えるかどうか)
9) 不動産 (土地、建物、マンション等)
10) 相続財産 (遺産分割未了の場合を含む)
11) 事業設備、在庫品、什器備品等
12) その他破産管財人の調査によっては回収が可能となる財産

 

※3)について「退職金請求権・退職慰労金」

・・・退職金も財産の一つですから価値あるモノとして20万円以上の場合は「管財事件(通常は少額管財事件)」となります。ただ、未だに退職金を受け取ってなく近い将来退職する予定もない場合は、現時点で退職した場合の受け取れる金額の8分の1の金額が20万円以上の場合は「管財事件(通常は少額管財事件)」となり、20万円未満である場合は、それは退職金全額が自由財産となり「同時廃止」となります。

例えば、現時点で受け取れる退職金は240万円だとした場合、その8分の1は30万円となるから、20万円以上となるので、この場合の破産手続は「管財事件(少額管財事件)」となります。現時点で受け取れる退職金が150万円だった場合は、8分の1は187,500円となるので20万円未満となるから「同時廃止」となります。

※6)について「保険 (生命保険、傷害保険、火災保険、自動車保険等)」

・・・保険は解約返戻金があってその金額が20万円以上であれば処分対象になって「管財事件(通常は少額管財事件)」となります。20万円以下であれば「同時廃止」となります。

もし、A保険の解約返戻金が10万円。B保険の解約返戻金が15万円、C保険の解約返戻金が5万円であった場合、個々に着目するとそれぞれ20万円以下になりますが、合算すると30万円となり、A,B,Cともに項目としては一緒なので、この場合は「管財事件」となります。

ただ、生命保険の場合は、高齢者や病気の方は一度保険を解約してしまうと再加入することは非常に難しいところがあるわけで、複数合計が20万円を超える場合でも「管財事件」にしてその解約返戻金を処分の対象にするか否かは慎重を要するところで事案ごとに裁判所が破産管財人の意見を聞いて判断します。
※上記の関連記事を参照。

※8)について「自動車・バイク等」

・・・基本的にその自動車の査定額が20万円以上である場合は価値あるモノとして「管財事件」として扱われますが、一般の国産の普通自動車や軽自動車は、初年度登録後7年(軽自動車3~4年)も経てば、20万円以上の価値を持っているとはされません。仮に新車購入価格が300万円を超えていたとしても7年を経てば無価値といってもいいでしょう。従って「同時廃止」となります。

もっとも、一般的に価値が高いと評される有名外国車や、クラシックカーの場合年数が経っても価値を有するモノとして評価されることはあって、この場合は「管財事件」として扱われる可能性があります。

※9)について「不動産 (土地、建物、マンション等)」

・・・土地建物といった不動産については、それ自体価値の高いものだから、その資産価値は軽々と20万円を超えてしまうのは当然であり「管財事件」として扱われるのが通常です。

ただ、例えば、住宅を例にした場合、その住宅に抵当権が設定されていて多額の住宅ローンを抱えている場合、しかもそのローン残高が住宅の資産価値を大幅に上回っている場合(オーバーローン状態)は、その住宅は換価財産として価値がなく、したがって「管財事件」ではなく「同時廃止」となります。

このローンの支払中の住宅の破産手続が「管財事件」になるか「同時廃止」になるかについては一定の基準があります。詳しくは、下記の関連記事の該当箇所を参照してください。
 

関連記事:「自己破産」の信じてはいけない間違いデメリットと本当のデメリットとは? 
※該当箇所⇒抵当権付きの不動産のローン残高(被担保債権)が固定資産評価による評価額の1.5倍未満の不動産⇒「管財事件(通常は少額管財事件)」となる。

■ 住宅の評価額 × 1.5倍< 住宅ローン残高・・・「同時廃止」
■ 住宅の評価額 × 1.5倍 >住宅ローン残高・・・「管財事件」

例えば、ローンの残額が1800万円で、住宅の固定資産評価額が1000万円の場合です。固定資産評価額を1.5倍しても1500万円であり、ローンの残額(1800万円)が固定資産評価額の1.5倍(1500万円)を超えています。この場合、東京地裁を含む多くの裁判所では、住宅を保有したままでの「同時廃止」になります。

もし、住宅の固定資産評価額が1300万円であった場合は、その額の1.5倍は1950万円になってローン残高を超えているため、この場合の破産手続は「管財事件(通常は少額管財事件)」となります。

 

※ちなみに「同時廃止」になった場合、破産手続が開始されたと同時に終了するので、住宅は処分されることなく、そのまま住み続けられそうですがそうはいきません。

破産手続による処分はできなくなりますが、その不動産に抵当権が付いていて、その抵当権付き債権者は抵当権を実行して住宅を競売(担保不動産競売)にかけることができます。

担保不動産競売になると、裁判所が主導権をもって有無を言わさずに決めていくので、売却価格は市価よりもかなり安くなってしまいかねません。債務者はその売却代金で借金の返済をしようにも十分ではなくかなり借金が残ってしまう恐れがあります。

だから「同時廃止」の場合は、処分されないわけだから、まだ住宅の所有者として債務者自らが率先して市場で売却することを勧めます。いわゆる「任意売却」という方法です。

これは債務者(不動産の所有者)・債権者(金融機関)・不動産の購入予定者の3者が間に仲介者(任意売却を専門とする不動産業者や不動産コンサルタント)を挟んで、それぞれが一応の納得の行くまで交渉して、価格はもちろん、その他の諸条件で合意して取引を成立させる方法です。

もちろん、債務者は借金を返せていない立場であるし、交渉事でもあるから100%満足できるとはいえません。でも、競売と違って交渉に参加できるわけで、何かしらの希望は取り入れてもらえる可能性はあるので「任意売却」はお勧め方法の一つです。

 

33万円以上の現金を持っている場合

 
まず、前提問題として、ここでいう「現金」とは、手持ちの金銭のことを意味します。おなじお金でも「預金・貯金」とは取り扱いを異にしています。

「預金・貯金」を、法的にいえば、あくまで銀行等に対する預貯金払戻請求権という債権であって、ここでいう「現金」には含まれません。

 
東京地裁では、破産手続開始時に「現金」33万円以上を所持している場合は「同時廃止」ではなく「管財事件(通常は少額管財事件)」として扱われています。

以下に、その理由を述べます。

破産手続を「少額管財事件」として進めるとすると、どうしても予納金として20万円程度は、破産手続の費用として裁判所に納めなければなりません(大半は破産管財人の報酬)。

でも、それでは、全財産が「現金」の20万円だった場合、破産手続は「少額管財事件」として扱われて、その20万円すべては破産手続の費用として使われて一瞬にして消えてしまい、その後の生活が立ちいかなくなってしまいます。

そこで、東京地裁は「33万円未満」と「33万円以上」の間に分岐点を設けて、前者の「現金」を所持している場合は「同時廃止」に振り分けて、33万円未満の金額すべてを破産者自身が最低限の生活費として利用できるとし、後者の「現金」を所持している場合は「管財事件」に振り分け、予納金として破産者に20万円を納めさせることにしています。

では、なぜ33万円なのでしょうか?

そもそも、民事執行法第131条3号では「標準的な世帯の2月間の必要生計費を勘案して政令で定める額の金銭」を差押禁止財産としていて、その政令で定める額の金銭とはいくらか?というと、民事執行施行令第1条に「標準的な世帯の2月間の必要生計費を勘案して政令で定める額の金銭」は66万円であるとしています。

つまり、標準的な世帯が1ヶ月生活するに必要な最低限の金額は33万円としているのです。東京地裁がいう33万円という数字はここから出ているとされています。

ただ、一つ疑問なのは、破産法34条3項1号で破産手続開始時に「現金」として持っていた「99万円以下」は自由財産とされて「同時廃止」として処分の対象とはならず、自由に使っていいということになります。自由に使ってもいいということは債権者に弁済・配当しなくてもいいとされているにもかかわらず、33万円以上の現金を所持していた場合は「少額管財事件」とされて20万円の予納金を納めることを強いられます。

結局、自由に使えるのは、99万円以下現金が自由財産として認められているにもかかわらず、予納金として20万円も減額されて79万円ということになります。

思うに、東京地裁はできるだけ「少額管財事件」として扱い、破産管財人が介入する範囲を広げて「同時廃止」による不正行為を防止しようと意図があるのかもしれません。

関連記事:自己破産でも手元に残せる「自由財産」と「自由財産の拡張」 ~残せる財産を増やしたい!!~ ※該当箇所⇒(1)「99万円以下の現金」について~その数字の法的根拠~

(2) 大阪地方裁判所の振り分け基準について(概略)

 
前提問題として、大阪地裁では東京地裁とは異なって現金(手持ちの金銭)と預貯金を同一視するという扱いをとっています。つまり、現金と預貯金合わせて99万円以下であれば「同時廃止」となります。

大阪地方裁判所では、平成29年10月1日の申立て以降は、運用基準の改定を行いました。

大阪地裁の場合、所持する現金及び預貯金の合計額が50万円を超えると認められる場合、または現金等以外の12項目の個別財産(保険の解約返戻金、積立金等、賃借保証金・敷金の返戻金、貸付金・求償金等、退職金、不動産、自動車、上記以外の動産、上記以外の財産、近日中に取得することが見込まれる財産、過払金)について項目ごとの合計額が20万円以上となる項目がひとつでもある場合には「管財事件(通常は少額管財事件)」となります。

つまり、現預金の合計額が50万円までで、各個別財産の価値が20万円未満であれば、原則として「同時廃止」となります。各個別財産の価値が20万円未満であれば、現預金との合計で99万円を超えていても原則として「同時廃止」となりますが、総額が大きくなれば、破産管財人による資産調査が必要と判断されて「管財事件(通常は少額管財事件)に移行する場合もあります。
 

(3) 財産がなくても管財事件(通常は少額管財事件)に振り分けられる場合がある

 
「管財事件(通常は少額管財事件)」になるか「同時廃止」になるか、前述したように、ざっくりした言い方をすれば、価値ある財産がある場合は「管財事件」ない場合は「同時廃止」ということになります。そして、それは「破産に関する費用」を払えるか否かで分岐することに繋がります。

ところが、破産者に価値ある財産・資産がない場合でも、例外的に「管財事件(通常は少額管財事件)に振り分けられてしまう場合があります。大きく分けて二つの場合(下記の①と②)に分けられます。

① 今は財産はないけど、破産者の財産の取戻し回収で今より財産を増やせる余地がある場合。
  ⇒ a.財産・資産の隠匿の疑いがある場合
  ⇒ b.過払い金発生の可能性がある場合
  ⇒ c.未回収の売掛金とか債権がある場合
  ⇒ d.破産手続直前に特定の債権者に弁済した等の否認権の対象行為をした場合
② 破産者に免責不許可事由の可能性がある場合。
  ⇒ 「同時廃止」の条件が揃っていても免責不許可事由がある場合、またはその疑いがある場合
    免責不許可事由の存否を調べるために、破産管財人を選任して調査します。

 
034
 

(2) 「管財事件(通常は少額管財事件)」ではなく「同時廃止になる基準」

 
結局「同時廃止」になるためには、下記の二つの条件が備わっている場合に集約されます。

① 破産申し立てをする管轄裁判所が設定した振り分け基準額以下の財産しかない場合
② 免責不許可事由がなく、免責不許可事由があるという疑いもな場合

このブログ記事では、東京地裁の管財事件と同時廃止の振り分け基準をメインにおいて述べてきましたが、すでに述べてきたように、管財事件と同時廃止の振り分け基準は、各地の裁判所によって異なってきます。しかも、どっちになるかによって、破産者または債権者にとって全く違った結果をもたらします。

したがって、最新の情報に基づいた適切な手続きを進めるためにも、専門的知識を備えた弁護士に依頼すべきです。
 

■借金問題の無料法律相談のご案内

 

相談する先の事務所をまだ決めかねている人にはうってつけです


 日本法規情報-債務整理相談サポート-
  申込みはオンラインで24時間365日可能。複数の事務所を案内
  登録された全国の法律事務所の中からあなたに合った事務所を案内
  相談相手の専門家をなかなか決められない人には欠かせないツール
 

※申込後の日本法規情報からの連絡に応じないと無料相談は受けられないので注意が必要です。

「日本法規情報 ~債務整理相談サポート~」とは法律事務所ではありません。だから依頼人が抱えている借金問題を法的に解決するとか、あるいは依頼人に代わって債権者側と交渉するとか、そういった直接的な行動をとることはしません。この制度はあくまで借金返済に苦しむ人たちの相談窓口の無料案内サービスを行います。そのために全国各地1000以上の弁護士・司法書士事務所が登録され3000人弁護士・司法書士が登録されています。
もう少し具体的に言うと、借金問題といってもその有り様は千差万別です。当然に解決へのプロセス及び解決の方法も異なってきます。そういったなか、専門家であっても分野によっては得手不得手があります。だから、この制度は依頼人の希望に十分に応えるために、それに適した専門家を選んで専門家と依頼人を結ぶつけるサービスを行っているのです。そして、一件の依頼につき複数の法律事務所をご案内します。

無料法律相談は何回でもOKです!

したがって、初めての方がなんのツテもなく依頼人の希望に沿った事務所を探すのは結構大変なことだし、さらにまだまだ一般人にとっては弁護士事務所の敷居はまだまだ高くて最初から弁護士と相対することになると、緊張して自らの借金問題について正確に伝えられない恐れもあります。だからこそ、依頼人と専門家との間の橋渡しの役割を果たす「日本法規情報」のような存在が重宝されるのです。そして、現在では毎月3000人もの相談者がこの無料相談ツールを利用しています。
「債務整理相談サポート」の申し込みは、オンライン上で24時間どこにいても1分程度で必要項目を入力ができ申し込みが完了します。その後にその入力内容に沿った複数の事務所が案内されます。その手順は基本的には下記の(1)~(6)の順で進みます。依頼人が各々事務所に出向きそれぞれの専門家と面談して、事務所によって濃淡はありますが、依頼人にとって関心事である「あなたに合った借金を減らす方法はあるのか?それは何か?」「おおよそどのくらい借金が減額されるのか?あるいは全額免責可能なのか?」「どうやってリスクを回避するか?」等々が回答されるので(ここまでが無料)、後はどの法律事務所にそれを実現するための債務整理手続きを依頼するかを依頼人自身が判断して決めることになります。

(1)オンライン上のお問い合わせフォームに必要項目に入力して申込する。
(2)相談パートナーより申込日より3営業日以内に電話またはメールにて相談内容の確認と専門家の希望条件をお尋ねします。。
(3)依頼人の要望する条件に合った事務所を複数案内します(平均3~5事務所)。
(4)電話かメールで案内された事務所とやり取りして無料相談の日程を調整する。
(5)依頼人の方から直接事務所に出向いて無料相談を受ける(案内されたすべての法律事務所と無料相談可能)。
(6)無料相談を受けた複数の法律事務所の中から実際に債務整理手続きをお願いする事務所を決めたらをその事務所に依頼する。なお、必ずしも具体的な債務整理手続きを依頼することなく無料相談で終わってもかまいかせん。

 - 自己破産に関して