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勝手に人の借金の連帯保証人とされた。返済請求を拒否するためには?

      2018/03/08

< 目 次 >
(1)勝手に連帯保証人にされてもそれは無効。でも大変場合が・・・
(2)裁判での解決に委ねると、証明(立証)が必要
(3)返済請求されたら、それに対してまず最初にとるべき手段は?
(4)まずは事実を主張してきた債権者側が証明責任を負う
① もし署名が本人の筆跡でなく捺印が認印の場合
② もし署名が本人の筆跡に似ていて捺印も実印で印鑑証明書付の場合
③ 推定」を覆す反証活動の例
 a)筆跡鑑定
 b)連帯保証人にされた人と債務者が同居していた場合
④ 他人が勝手に代理人として連帯保証契約を結んだ場合

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(1)勝手に連帯保証人にされてもそれは無効。でも大変な場合が・・・

この記事タイトルにある「拒否する」という意味は、無断でなされた連帯保証契約の無効を主張するという意味です。そんな契約は最初からなかったということを主張するということです。

そもそも保証人とは、もし、借金をした当の本人が借金を返済しなかったり、債務整理を申し立てたりした場合、その当の本人(主債務者)に代わってその借金の返済義務を負う人のことです。

その保証人が通常の保証人の場合は、返済請求されたら、まずは借金をした当の本人に返済請求するように主張できますが、連帯保証人であった場合は、そのような権利はありません。債権者が返済請求してきたら無条件に応じなければならないのです。

つまり、連帯保証人は、あたかも借金をした当の本人と同様の責任をもつと考えていいので、お金を貸した債権者側としては債権回収の強力な手段となります。

一方、それを連帯保証人の側から見れば、その責任は極めて重くて、連帯保証人を引き受ける際は慎重を要します。

連帯保証人=借金をした当の本人(主債務者)とイコールと考えてもいいくらい

そんな連帯保証人を、本人の知らないうちに無断でさせられて、そして、実際に借金をした人が返済できなくなったら『ハイ!あなたは連帯保証人だから、500万円返済してください!』と言ってきたからといって『ハイ!分かりました。返済します』というわけにはいきませんよね。

当然『私は、連帯保証人になった覚えは全くない!だから500万円なんて払うつもりなんてサラサラない!』と主張するでしょうし、本人の了解のない連帯保証契約なんて無効だ!と主張するでしょう。

まったく覚えのない、全くあずかり知らない契約で連帯保証人にされて返済義務を負うなんてことは、常識からしてあり得ないことです。だから『全く心配しないでいいですよ!』というアドバイス受けて、その後何事もなければそれはそれで当然のことですが、実際は、それが真実だとしてもそう簡単には片付かないケースがあります。

なんたって、お金を貸した債権者も必死なんです!

大きな金額を貸して、貸した相手側は、もはや破産状態で全く返済する資金がない、または雲隠れしてどこにいるかわからない、そのような場合、貸した側としては、もはや連帯保証人に請求するしかないのです。

なんたって、そんなときのための連帯保証人なんですから・・・。頼みの綱は連帯保証人なんです。

しかも、その連帯保証契約書の連帯保証人欄に連帯保証人署名捺印(実印)がなされていて印鑑証明書も付いていたら、債権者側もそう簡単には引き下がりません。

『署名捺印もされている書類もあるし印鑑証明書だってある!』と主張して、連帯保証契約の有効性を訴えて『返済しろ!』と言ってくること間違えないのです。

(2)裁判での解決に委ねると「証明(立証)」が必要

ここまでくると、請求された側の連帯保証人も必死、請求する側の債権者も必死です。もはや解決を裁判に委ねるしかないかもしれません。

仮に署名捺印された契約書があり、正式な印鑑証明書もあったとしても、連帯保証人としては、そんなことは全くあずかり知らぬことで、本人の同意もなく無断で使用されたに違いなく、しかも連帯保証人になる意思なんてサラサラない。そんな連帯保証契約は、先ほど述べたように、無効であることは間違えありません。

ところが、世の中には、契約時に本当は連帯保証人になる意思がきちんとあって、その当時自ら署名捺印もしたにもかかわらず、いざという時にはビビってしまい『連帯保証人になった覚えはない!無断でさせられた・・・』と言うとんでもない輩もいるのです。

だから、裁判所としてはどちらにも偏らずに公平な立場で、両者の言い分を聞き最終判断を下す必要があるのです。

だから、問題解決には一筋縄ではいかないのです。

そもそも、連帯保証契約が有効か無効かは、結局は契約時に連帯保証人になる「意思」があったかどうかによります。

(連帯)保証契約には必ず書面が必要ですが、民法上、必ずしも署名捺印が本人の自筆である必要はないし、実印である必要もないとされています。

契約書の署名が代筆で捺印が単なる認印であっても本人が連帯保証人になる「意思」をもっていれば連帯保証人になるし、契約書の署名が代筆で捺印がきちんとした実印であっても、本人が連帯保証人になる「意思」を持っていなければ連帯保証人にはならないことになります。

でも、「意思」は内心の問題なので、言ってしまえば判断を下す裁判官にも皆目分からない領域です。

だから、後から詳しく述べますが、どちら側の主張にせよ、それを裁判官に納得してもらうには、その事実を裏付ける証拠・証明(立証)が必要なのです。

証拠を提出するなど、証明することによって、裁判官の心証形成をこっちに有利(自分にはそんな「意思」はなかった、連帯保証人となる相手にはその「意思」はあった、という方向)に持ってこさせなければなりません。

証明(立証)に成功するということは、裁判官にそのことについて「意思」があった、「意思」がなかった、という確信を抱かせるということです。これを「本証」といいます。

内心の問題であるため、それに確信を抱かせるには、そのための証明活動は非常に多岐にわたる場合があります。

契約書の書式や内容、署名捺印、筆跡そのものはもちろん、それらにまつわる背景、及び債務者と連帯保証人の関係性、つまり連帯保証人になってくれるような間柄なのか?といったようなものも含めて、その他様々な要素を上げて証明活動をして、裁判官がそれを元に判断していきます。

もし、その証明活動が不十分であれば、客観的には「連帯保証契約は無断でされた」のが事実であり真実であったとしても、それに資する裁判官の心証形成は十分になされずに、残念ながら裁判に負けてしまいます。

裁判とはそういう世界なのです。

だから、先に述べたように、本件の決着はそう簡単ではないし、結構難しいことになる可能性もでてくるのです。

(3)返済請求されて連帯保証人とされた側が最初にとるべき手段は?

とりあえず、債権者から返済請求されたら、まずは自分を連帯保証人にさせたと言われる連帯保証契約書なるものをコピーでもいいから見てみて、署名の筆跡、捺印されている印鑑の種類を確認することです。

そして、その連帯保証契約書なるものに到底納得がいかないなら「私は連帯保証人になんてなっていないし、そんなことを頼まれもしていないので、連帯保証契約自体が存在していません」といった趣旨の「内容証明郵便」を通知して、自分のスタンスを相手に明確に示すことが大切です。

そして、相手の出方を待つのが肝要です。裁判になるか否かは相手の出方しだいとなります。

(こちらから先手を打って債務不存在確認の訴えを提起するのも一つかもしれません)

その際、一円でも絶対に返済してはいけません。一円でも返済してしまうと、実際はそうでなくても、こっちが連帯保証契約があったと認めてしまうことになって、無効の連帯保証契約が有効なものと評価されてしまいます。

以上を踏まえて、それでも裁判になってしまった場合の対処について、大まかですが述べていきます。

(4)まずは事実を主張してきた債権者側が証明責任を負う

民事裁判では、ある事実を主張した人がその事実の存在を裏付けるために証明(する)責任(立証責任)を負うというのが原則です。

だから、債権者が連帯保証人に返済請求を裁判上でする場合は、その旨の署名捺印がされた契約書等を提出して、これが連帯保証人の手で作成されたもの、あるいは連帯保証人の同意でもって作成されたものであるとを証明することから始まります。これが基本です。

だから、まずは、最初の証明責任(立証責任)は債権者側にあるということです。

①もし署名が本人の筆跡ではなく捺印も「認印」の場合

署名の筆跡が本人のモノではない、印鑑も本人のモノ(実印)とは違って認印、あるいはシャチハタ印であれば、こんな契約書は自分が署名捺印したモノでは絶対にありえないと連帯保証人にされた側は当然に支払請求を拒否すればいいです。

もし拒否されれば、その筆跡が本人が書いたモノ、印が認印であっても本人が捺印したものとその事実を主張した債権者側がその事実は真実だと証明しなければなりません。でも、通常はこのレベルの契約書を本人自らが作成したというモノであると裁判官に確信をもたせるのは客観的にみてかなり難しいはずです。つまり、債権者側の証明活動は失敗する可能性が大です。

それでは、この契約書が本人が作成したものではないことは認めるとしても、その作成には本人は関わっていないが、本人がそのことに同意をしている、つまり連帯保証人になる「意思」を持っていたことを様々な証拠を持ち出し証明しなければならないことになります。

でも、これも正直言ってかなり難しい状況です。この証明ができない限り債権者側は裁判に勝つことができません。

いずれにしても、この有様の契約書ではその連帯保証契約が真正なものであると証明することはかなり困難と言えます。したがって、連帯保証人とされた側がかなり有利な立場で裁判が結審して勝訴する、つまり債権者からの支払請求を拒否できる可能性が高いといえます。

②もし署名が本人の筆跡に似ていて捺印も「実印で印鑑証明書付」の場合

では、署名は本人の自筆に似ていて、捺印は実印でしかも印鑑証明書付ということになると、契約書の形式としては完璧で、①のケースとは様相がかなり異なってきます。

このレベルになってしまうと、連帯保証人なる者が役所に印鑑登録した実印がなされているということは、本人が捺印したものと「推定」されるのです。本人が捺印したと「推定」されるならば、その契約書は本人が自筆した真正のものと「推定」されるということです。

「推定」されるということは、その事実の存在につきわざわざ証明活動をしなくても、経験則上「それはそうなんだろう」と判断されるということです。

「推定」状態になると、その事実は 相手方から「反証」されない限りは存在すると判断されてしまうということです(事実上の推定)。

だから、そのままほっておくと、その事実と認定されてしまうので、そのことに承服できない側は、反証活動しなければなりません。

本件で言えば、先の①ケースでは全く証明活動する必要がなかった連帯保証人とされた側が、今度はその捺印は自分の実印であり、印鑑証明書も本物だと認めたうえで、実は「その実印と印鑑登録証は1ヶ月前から紛失していた、または盗まれた」とかを主張して、債権者側の主張を一応認めたうえで、でもそれはこれこれ別の事実があって、それを主張してそれを基礎づける証明活動をして、連帯保証人になる「意思」なんてまったくないことを証明しなければならないのです。

ただ、この「反証」というのは、裁判官にその事実についての確信を抱かせるレベルに達するまでの証明は必要なく、「推定」で、あるいは「本証」で、ほぼ確信のレベルまで達していた裁判官の心証をまた動揺させる、真偽不明の状態に後戻りさせる証明活動でよいとされています。

決して「本証」のように確信を抱かせるまでは必要はなく、裁判官の心証を普通に動揺させれば事足りると言われています。

つまり「推定」によって、その契約書は連帯保証人とされた者が署名したものでも捺印したものであると確信している裁判官を「あれ!?、そうじゃないのかな??」という気持ちに戻させるような証明活動をして裁判官を動揺させれば足りるということです。

この「反証」が成功しない限り、今度は連帯保証人とされている側が裁判には負けてしまいます。

負けてしまうということは、その連帯保証契約の有効性は認められて、連帯保証人には返済義務を負うことになります。

そうなってしまうと、金額にもよりますが、でかい金額だと「債務整理」への道、つまり最悪「自己破産」にも行きかねません。たとえ真実は違っていたとしても・・・・。

正直言って「推定」が働くと状況は一気に不利になります。この「推定」を覆すのはもちろん不可能ではありませんが、かなり大変なことで、これを成功するためには豊富な知識、経験を兼ね備えたその道の専門家である弁護士の助けがぜひ必要となってきます。

 

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③「推定」を覆す反証活動の例

a)筆跡鑑定
債権者側が、署名が連帯保証人本人が書いたものだと主張し推定証明しているなら、それに対しては筆跡鑑定を経て自分が書いたものではないと主張し反証し、裁判官の中に形成されている推定証明による確信感に疑義を与え、その形成された心証に動揺を与えなければなりません。

ただ、筆跡鑑定は「字」の癖や特徴を見出して「似ている」「似ていない」を判断するわけで、決して客観的な科学的根拠に基づいての判断ではありません。

だから、これを状況を一転させるような価値ある証拠と捉えてしまうのは危険です。裁判官によっては証拠とはみない裁判官もいます。

b)連帯保証人にされた人と債務者が同居していた場合
例えば、親子とか夫婦とか、または兄弟とかで同居していたら、「実印」や「印鑑登録証」をしまっている場所を知っている可能性は十分にあるし、また筆跡自体も同居していない人に比べて知る機会は多いはずです。しかも人のモノを勝手に持ち出す癖があるとか・・・、

だから、連帯保証人された者がそういう事実を主張して証明していけば、裁判官は「ひょっとしたら、これは同居人が勝手に持ち出して使用したのかもしれない・・・・」と「推定」に疑念をを抱く状況になるかもしれません。

また、同居人であるにもかかわらず、連帯保証人にされた者と主債務者とは昔から非常に仲が悪いという事実があれば、そんな間柄で両者の間で主債務者・連帯保証人関係に発展するなんておかしいと疑義を感じるかもしれません。

裁判官にこういった疑念、疑義を確実に抱かせれば、反証は成功したと言えます。

④他人が勝手に代理人として連帯保証契約を結んだ場合

先に連帯保証契約が成立するプロセスで代筆も可能と述べましたが、よって代理人による連帯保証契約を結ぶこともできます。

本人が自分のために代理人に連帯保証契約をする権限(代理権)を与えていたら、当然その契約は有効で本人は適法な連帯保証人となります。

そして、そんな権限を授与していないにもかかわらず、勝手に実印と印鑑登録証を持ち出して、本人の代理人と称して本人が連帯保証人となる連帯保証契約を結んだ場合はどうなるかですが、これは当然そんな権限がないので、そんな連帯保証契約は無効です(無権代理行為)。

ただ、無権代理行為であっても、一定の条件が揃えば、有権代理行為と同様な扱いをされて連帯保証契約は有効になってしまうことがあります。その代理行為を「表見代理行為」といいます。

例えば、AがBに部屋を借りるとか、コピー機のリース契約を結ぶとか、そういったことをやってもらうために実印と印鑑証明書と委任状と渡したんだけど、Bはそんなことには利用せずに、あたかも連帯保証契約を結ぶ代理権を持っているが如く装い、勝手に権限外のAを連帯保証人とする連帯保証契約をCと結び、借金したというようなケースです。

本来はAはBに部屋を借りるとか、コピー機のリース契約を結ぶとかの代理権しか授与していないにもかかわらず、Bはその実印等々を利用して連帯保証契約を結ぶというのは、あきらかに権限外の行為です。つまり、無権代理行為です。

ただ、この場合はcがBにその旨の代理権が授与されているに違いないと信ずるに値する事情があるのであれば「表見代理」が成立して連帯保証契約は有効になってしまう可能性が十分にあるのです。

この場合は、そのように信じたcの保護、つまり取引の安全を重視した結果での結論ですが、Aが少しかわいそうな気がします。

でも、印鑑証明書付で実印を渡して行うほどの法律行為は本来は自分がやるべきだし、にもかかわらずいい加減なBに実印を渡すのはAの落ち度だと評価されても仕方がない、それよりもCの方を保護しようということなんでしょう。

その辺は、微妙でデリケートな問題なので、Aの立場で自らの権利、利益を守るためには、やはりその道の専門家に依頼することが必要です。

以上、冒頭の記事タイトルにある、勝手に、本人に無断で連帯保証人にさせられた連帯保証契約は、法律上明らかに無効です。これは間違えありません。

でも、それは理論上の問題であり、法律学という学問の世界ではそれで終わっていいでしょうが、

実際に、私たちが現実の世界で、その「無効」という法的評価を具体的に勝ち取るには、裁判上で、相手いるなかで、様々な手立てを講じていかなければ勝ち取れないという厳しい現実があるのです。

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