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個人再生で「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」 どこが違う?どっちが有利?

      2018/03/07

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「個人再生」手続は、本来、法人を対象としている民事再生手続を個人でも利用できるように設けられた特則です。

いわゆる個人版の民事再生手続ということになります。

そして「個人再生」には、次の2種類があります。
「小規模個人再生」「給与所得者等再生」です。

両者の手続きの流れ自体は、大きな違いはありません。但し、手続の要件、弁済額などで違いがあります。

以下は、上記の図表と照らし合わせながら両者の違いを理解してください。

「給与所得者等再生」では「小規模個人再生」の適用要件である「給与またはこれに類する定期的な収入を得る見込みがあること」に+アルファとして「その額の変動の枠が小さいと見込まれること」が追加の要件になります。

その変動幅は「過去2年間の年収で、変動幅がプラス マイナスで20%以内」であることが一つの目安とされています。だから「給与所得者等再生」の方が少しだけ適用要件が厳しくなります。

ということで「給与所得者等再生」の利用資格は、給与所得者で、かつ収入が安定していることが必要で、サラリーマン専用と言ってもいいでしょう。もし、歩合給サラリーマンやパート、アルバイトであっても、給与の変動幅が先の範囲内に収まっていれば利用資格はあります。

ところで、サラリーマンなどの給与所得者の場合「給与所得者等再生」の適用要件を満たしている場合は、当然「小規模個人再生」の要件も満たしているので、どちらの手続きを選択するかは、自由に判断できます。

但し、個人事業主は「小規模個人再生」しか選択できません。いくら収入が安定していても「給与所得者等再生」の路用資格はありません。

通常は「個人再生」を利用する場合は「小規模個人再生」を選択するのが一般的です。サラリーマンなどの給与所得者であっても、9割方は「給与所得者等再生」ではなく「小規模個人再生」を選択しています。

なぜなら、結果的に「給与所得者等再生」の方が「小規模個人再生」よりも返済額が高くなるからです。

「個人再生」にはこれまで何度ものべているように、最低弁済額というものがあって、債務者(個人再生申立人)が「最低これだけの金額を支払えば、残りの金額の支払いは免除(一部免除)してあげます」というのが、法律(民事再生法)で定められています。

ただ、その場合、もし個人再生の申立人が何か価値ある財産・資産を持っている場合で、その清算価値(自己破産の場合の換価価値と同じ)が、先に述べた法律(民事再生法)で定められた最低弁済額よりも高い場合は「清算価値保障の原則」により、その財産・資産の清算価値の方を最低弁済額として、その金額を返済しなければその価値ある財産・資産は手元に置いておけないのです。

以上、述べたことは「給与所得者等再生」であろうと「給与所得者等再生」であろうと同じです。それを踏まえて「給与所得者等再生」の返済額の方が多くなる理由を次の項目で述べていきます。

 

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(1)「給与所得者等再生」と「小規模個人再生」のデメリット・メリット

「給与所得者等再生」の場合は、法的可処分所得(給与所得-税金[所得税、市民税、社会保険料]-必要最低限度の生活費)の2年分を計算して、この「法的可処分所得額」と先に述べた最低弁済額(清算価値保障の原則の適用あり)を比べて、多い方を返済しなければならないとされているのです。

そして、ほとんどケースが「法的可処分所得額」の方が高いです。

だから、それなりの額の給与所得がある場合は、法的可処分所得もかなりの金額をなってしまいます。場合によっては、最低弁済額に数百万円もの差がでてくるケースもあります。

例えば、サラリーマンAさんは給与収入が年間500万円(所得税、住民税、社会保険料等を引いた金額)で(清算価値ある財産なしとする)、そして、年間の必要最低限度の生活費を280万円とします。ただ、Aさんには借金が400万円あって、返済しきれなくてAさんは「個人再生」します。
この場合、民事再生法の規定によって500万円以下の借金は一気に100万円に減額されるから、400万円の借金は一気に100万円に減額されることになります。ところが「給与所得者等再生」をを利用すると、500万円ー280万円=220万円×2=440万円。つまり「小規模個人再生」を利用すると、借金の返済額は100万円になるのに、「給与所得者等再生」を利用してしまうと、返済額は440円となって、返済額が一気に340万円も増えてしまうのです。

つまり「給与所得者等再生」を利用した場合の方が、はるかに返済額が多くなってしまう可能性があるということです。

だから、サラリーマンであっても、返済額が少ない「小規模個人再生」を選択するのが一般的です。

「個人再生」を希望する債務者(個人再生申立人)からすれば「給与所得者等再生」の上記の点は大きなデメリットとなります。

じゃあ~「給与所得者等再生」なんて、そもそも存在価値があるのか?

と思われるかもしれませんが、一つあります。

(2)「給与所得者等再生」と「小規模個人再生」のメリット・デメリット

「給与所得者等再生」の最大にして唯一のメリットというのは「書面決議」という仕組みがそもそもないということです。

だから、「再生計画」案に対し仮に債権者が反対の意向をもち、それを主張したとしても「再生計画」案が承認されることに何らの影響を与えないということです。

このことについて、少し詳しく述べてみます。

「小規模個人再生」の場合は「給与所得等再生」とは違って「再生計画」案に関し、債権者による「書面決議」というハードルが設けられています。これをクリアーしなければ「再生計画」案の認可に向けての承認が得られません。

この「書面決議」というのは、その「再生計画」案に債権者が反対のときに、書面を通じて積極的に反対の意思表示をした場合に限って否決を表明したことになる決議です。よって、なんらの意思表示をしない場合(無回答)は承認したということになります。

だから、どのような場合に可決・承認されるか、というと、書面により否決(不同意)意見を表明した債権者が債権者頭数の半数に満たず、かつ、その債権者の債権額が債権者の債権総額の1/2を超えない場合に、「再生計画」案が承認可決されたものとみなされることになります。

逆を言えば、上記の二つのうちいずれかに当てはまらない場合には、「再生計画」案は「書面決議」で否決されてしまうということです。決して1人でも反対の債権者がいれば「小規模個人再生」の「再生計画」案が否決されてしまうというわけではありません。一定の数が必要です。

いずれかに当てはまらないケースというのは、下記のどちらかに当たった場合です。

①書面により否決(不同意)意見表明をした債権者の頭数が、債権者総数の半数以上であった場合
②書面により否決(不同意)意見表明をした債権者の債権額が、全債権者の債権総額の過半数以上であった場合

つまり、①で半数に満たなくて、かつ②で半数以下だった場合は「再生計画」案は承認可決。①で半数あった場合、または②で1/2の金額を超えていたら「再生計画」案は不承認否決になるということです。

例えば、A債権者の債権額50万円
    B債権者の債権額100万円
    c債権者の債権額150万円
    D債権者の債権額350万円
    E債権者の債権額400万円
    F債権者の債権額1050万円だった場合、

申し立てられた「再生計画」案にA、B、C の3人が「書面決議」で反対の意思表明をした場合は、合計債権額600万にすぎませんが、債権者6人中3人が反対しているので、頭数が半数以上ということで「再生計画」案は否決されます。
Fだけが反対の意思表明をしている場合は、Eの債権額は1050万円であり全債権額2100万円のちょうど半分で過半数には達していないので、Fだけの反対の意思表明では「再生計画」案の否決はできません。もしFの債権額が1100万円だったならば、その金額は過半数に達しているので、Fだけの1人の反対表明であっても「再生計画」案を否決できます。

なお、この「再生計画」案に「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」の利用が含まれている場合は、当然債権者の一人として住宅ローン債権をもっている債権者もいるわけですが、この債権者は「書面決議」の議決権は持っていないことになっています。したがって、頭数の半数以上とか、債権額の過半数とかの計算にはこの債権者の存在はありません。

この「書面決議」に関しては、これはこれで「小規模個人再生」のデメリットであり、「給与所得者等個人再生」のメリットといえることになりますが、

もっとも、現実問題、再生計画案に対して過半数の反対で否決されるケースはほとんどありません。サラ金や信販会社はほとんど反対しません。

「自己破産」されるよりは「個人再生」の方が、マシだと考えているのでしょうか・・・。

それから、なかなか債権額が全債権者の債権総額の過半数に達するというのも大変らしいのです。

それよりも先に述べた多く弁済しなければならないという、デメリット部分の方が大きく債権者に反対されそうな特別の事情がない限り、
一般的には、返済額が少ない「小規模個人再生」を選択するのがほとんどです。

もっとも、債権者が一人、あるいは一社しかない場合は要注意です(おまとめローンなどを利用して一社に借金をまとめた場合など)。その一人、その一社が「書面決議」で否決表明すると、それだけで簡単に債権額が債権総額の過半数に達してしまう可能性があるからです。その危険性がある場合は、この「書面決議」がない「給与所得者等再生」を採用するのも一つです。

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