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自己破産で「携帯電話(スマホ)」は没収になる?通信料金、端末機代金の滞納はどう?

      2018/02/12

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(1)携帯端末は処分対象の財産か?

自己破産した場合、破産者が自己破産当時(破産手続開始時)に持っていた財産(国内外を問わず)のほとんどは「破産財団」に組み入れられ、換価処分され、複数の債権者がいる場合は、各債権者が持っている債権額の割合に応じて各自に平等に比例配分されます(債権者平等の原則)

では、今では生活する上での必須ツールとなっている「携帯電話」や「スマホ」も自己破産当時所有していたら、換価処分の対象になってしまうのでしょうか?

この場合、通信料金、その端末機自体の代金が絡んできて、ちょっとだけ複雑な問題が生じます。

そもそも、破産財団に組み込まれて処分の対象となるのは、金銭的に換価できるものであれば、ほとんどすべてが含まれるといわれています。だから、その範囲は非常に広いです。

ただ、すべてがすべてその対象となるわけではありません。

処分されない財産として、自由財産というものがあって、破産者の日常生活の維持と、ひいては将来の経済的更生を図るための礎として、破産者の手元に残しておくべき財産があります。この財産は破産者が自由に使うことができます。

「自由財産」について、詳しくは下記の関連記事を読んでいただければいいと思いますが、「拡張された自由財産」という概念を取り入れて「20万円」という金銭的価値を基準とし、20万円以上のモノであれば、処分対象になり、それを下回れば「自由財産」と評価されるということです。

そう考えると「携帯電話」または「スマホ」で、20万円もするシナモノは普通では考えられません。

従って、没収され、処分の対象となることはなく、そのまま持っていて使用を続けていっても何ら問題にはならないでしょう。

そして、そのまま持っていて使用続けても問題ないということは、その端末機の通信料金を毎月支払い続けてもいいということになります。

(2)通信料は支払いはどうなる? 場合によっては偏頗(へんぱ)行為にあたる?

でも、この通信料に関しては、端末機を使用できる以上「支払うのは当然!」どうして、こんな当然のことをわざわざ言うのかと思われるかもしれませんが、

実は、この結論は、結論として当然だとしても、そう簡単に出てくるモノではなく、非常に分析的、かつ厳密な思考プロセスを巡らしたうえで出てくる結論となのです。以下、述べていきます。

時系列で言うと、自己破産の場合
①「自己破産の申し立て前」⇒②「自己破産の申し立て後から自己破産破産手続き開始決定前」⇒③「自己破産手続き開始決定後」の三つの段階があります。

破産財団に組み込まれて、破産者の所有から没収され、処分の対象とされる財産とは、破産者が破産手続き開始決定時に持っている財産のことです。

だから、破産者が無断で財産処分したという行為がいつの時点の行為なのか?それによってそれぞれ法的な扱いが異なってきます。

つまり、時の流れによっては、その行為は、ひょっとしたら破産者が勝手にやることがゆるされないケースにあたるかもしれないのです。

確かに、通信会社からの通信料金支払い請求に対して金銭を支払うという行為は財産を処分する行為にあたるわけです。

そして、それは毎々月支払いが継続される支払いですから、ひょっとしたら、上記の①②③の三つの段階のうち、その支払い時期によっては、その時の通信料金の支払い行為が、特定の債権者に優先的、かつ優遇的に支払う行為に当たってしまい、それは偏頗(へんぱ)行為に当たってしまうのではないかという疑問があるわけです(債権者平等の原則に反する行為)。

(3)携帯端末の通信料金は「財団債権」である

思うに、通信料を支払うという行為は「生活に必要な費用」である水道料金、電気料金、ガス料金、または毎月の家賃の支払いと同じ性格のもので、継続的な給付(通信料金は毎月継続的に発生する債権)を目的とする債権です。この類の債権は「財団債権」といいます。

「財団債権」とは、破産手続きによらないで破産財団から随時弁済を受けることができる債権をいいます。

通常「破産債権」に対する弁済は、破産手続きを通じてなされますが、「財団債権」の場合は、その発生時期が自己破産申立て前(①の領域)であろうと、自己破産申し立て後、自己破産手続き開始決定前(②の領域)であろうと、破産手続きを経ることなく特定の債権者に対して優先的に返済しても何ら問題はなく、債権者平等の原則に反する偏頗(へんぱ)行為にはあたりません。

~参考~
〇「破産債権」とは、破産者に対し破産手続開始決定前の原因に基づいて生じた財産上の請求権であって、財団債権に属さないものをいう(破産法2条第5項)。
〇「財団債権」とは、破産手続によらないで破産財団から随時弁済を受けることができる債権をいう(破産法第2条第7項)。
※破産債権の定義からして、財団債権である債権は破産債権にはならないとされているので、財団債権の範囲は、破産債権の範囲を画する基準にもなります。そして、財団債権は破産債権に対して優越的な地位に立ち、よって財団債権に対する弁済は破産債権に対する配当の前に行われます。

そして、自己破産手続き開始決定後(③の領域)に発生した通信料金は、そもそも破産手続きとは全く関係がない領域なので、破産債権云々の問題ではなく、破産手続き外で支払っても全く問題がありません。

従って、先に述べた結論通り、端末機を問題なく使用できる以上、全ての領域①②③で通信料金も支払っても問題なく大丈夫だということになります。

ちょっと、複雑な思考プロセスを辿りましたが、厳密に言えばそういう流れを経て、最後には通信料を支払って使用を続けてもいいという結論になるのです。

 

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(4)滞納通信料金がある場合その料金の運命は?

同じ通信料金であっても、先に述べたケースとは違って、過去に滞納の通信料金がある場合は、少し複雑な問題が生じます。

その滞納の通信料金の発生原因が、破産宣告前、つまり破産手続開始決定前からある場合は、その通信料金はもはや財団債権ではなく破産債権として破産財団に組み込まれるのが基本となります。そして、その滞納通信料金の債権者(通信会社)は破産債権者としてリストアップされて、今後は優先的に返済を受けることができなくなります。

つまり、そこには「債権者平等の原則」が働いて、破産手続きを通じて、他の債権者と平等の立場でもっている債権額に応じて比例配分された形での債権回収しかできなくなるのです。だから滞納料金がごく少額だと回収できなくなる恐れさえもあります。

もし、抜け駆け的に、他の債権者の先んじて優先的に返済を受けると、先にも述べた偏頗(へんぱ)行為に当たる恐れがあり、破産法違反になってしまいます。ひょっとしたら、その返済行為が「免責不許可事由」にあたる恐れだって出てくるかもしれません。

ただ、これも現実を見た場合、議論のための議論みたいなもので、例えば、その滞納料金が1か月分だけで、10000円前後とか、5000円前後とか、その程度の金額で、偏頗(へんぱ)行為にあたるとか、「免責不許可事由」にあたるとか、そんなのは、とっても現実の常識感に沿っているとはいえません!

思うに、先に述べたように、通信料金の支払いは「生活に必要な費用」としての支払いであり、これが滞納通信料金の支払いであっても同じで、これからも端末機を利用するために支払うのですから、決して、他の債権者の利益を害する目的で財産を減少させたわけではありません。

だから、この場合もそういった議論は不要であり、滞納通信料金の支払いは何ら問題ないと考えます。

ただ、その滞納通信料金の金額が大きくなってくると、その基本路線がそのままストレートに当てはまるかというとちょっと難しくなってくることがあります。

滞納金額が大きいため、破産債権に組み込まれるのならば、いつもの通りに支払うことはできなくなります。すると滞納通信料金は支払われなくなり、よって端末機は強制解約となります。

その辺になってくると、微妙になってくるので、専門家に相談してみるのが良いでしょう。

実際問題、端末機の会社の利用規約にもよりますが、一般的には破産の申し立てがなされた時点で、利用停止となるようで、支払いがなければ、滞納から3か月くらいで強制解約となるようです。

もっとも、もう端末機を解約するつもりでいるのならば、その滞納通信料金は支払う必要はありません。

その債権は破産債権に含ませて、上記にのべた流れで処理すればいいです。免責許可を受ければ、改めて支払う必要がなくなります。

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(5)携帯端末機の代金(分割払い)が残っている場合の携帯端末の運命は?

この場合の代金は、クレジットカード等の性質と同じなので、もし、破産宣告を受けたら、まず期限の利益を失います。

従って、残金一括払いが請求されて、それができないとなると、その残高は当然に破産債権に含まれて、破産手続きに則って処理されます。

そして、端末機の代金残高が破産手続きに乗っかれば、通常は、通信回線の方も解約になります。端末機の代金と通信料金を分離して、それぞれを別々に支払うというのは難しいのです。

いずれにしても、端末代金残高が破産手続きに乗っかることになって、端末機の「利用停止」「強制解約」の道を辿ることになります。

もし、端末機の残高がすでにない場合は、自己破産しても、きちんと通信料を支払っていけば、解約はされずに利用し続けることができます。

ちなみに、端末代金がまだ残っていて破産手続きに乗っかって、強制解約されても、端末機自体の所有権は、最初の段階から購入者に移転されています。携帯電話・スマホの場合は、クルマのように「所有権留保特約」などはついていないので、その端末自体は返却する必要はありません。

「所有権留保特約」が付いているクルマの法律上の所有権というのは、ローンが完済するまではクルマローンの債権者、つまりクルマローン会社にあることになります。クルマの法律上の所有権が購入者に移転するのは、クルマのローンが完済されてからです。

もっとも、携帯電話・スマホの場合は直ちに所有権が移ったとしても、通信回線が解約されているので、電話機としては何ら役には立たないのはいうまでもありません。

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