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「任意整理」のメリットとデメリットについて考えてみよう!

      2018/03/08

< 目 次 >
(1) イントロダクション
(2)「任意整理」のメリット一覧
① 利息制限法の再計算で借金(元本)が大幅に減額される可能性がある
② 弁護士等が「受任通知」を債権者(貸金業者)に発することで、取り立てや催告が禁止される
③「利息」の支払いは免除される
④ 複数ある中で特定の借金だけを「任意整理」の対象から除外することができる
⑤ 返済期間の見直しにより、月々の返済額を減らすことができる
⑥ 裁判所は介入しないので、七面倒くさい複雑な法律手続きが不要で費用も安く短期間で済む
⑦「官報」に名前、住所は載らない

(3)「任意整理」のデメリット一覧
①「任意整理」は基本的には元本を減らすことはできない
② 3~5年間で全て完済できる安定かつ継続的な収入源があることが必要となる
③ 債権者側(貸金業者側)が「任意整理」の申し出に応じてくれないケースもある
④ 個人情報信用機関に登録される
⑤ すでに開始されている強制執行を中断することはできない

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(1)イントロダクション

「任意整理」とは、裁判所の手続きを利用しないで、債務者(または、その代理人である司法書士or弁護士)と債権者(貸金業者)との間で、借金返済の条件について交渉し、両者の合意でもって、債務者がこれから無理のない形で返済できるように、債務整理する手法です。

「任意整理」のメリット、デメリットを大まかに言ってしまえば、3つある債務整理の手法(任意整理・個人再生・自己破産)のなかでも、裁判所がかかわって来ないので、その面倒臭さはなく、もっとも手軽で簡単にできる手法であることが、この「任意整理」の一番のメリットであるといっていいでしょう。その一方で借金の減額の度合いでいえば、3つある債務整理の手法の中で一番小さいことが、この「任意整理」のデメリットといえばデメリットといえるでしょう。

上記のイメージをベースにして「任意整理」の具体的なメリット・デメリットを箇条書きしてみます。

(2)「任意整理」のメリット一覧

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利息制限法の再計算で借金(元本)が大幅に減額される可能性がある

「任意整理」は、元本までも減額するような大幅減額はありません。

でも、2010年の改正貸金業法の完全施行より前のグレーゾーン金利が当たり前の時から借り入れをしている人、もっと現実的に言えば、2008年のグレーゾーン金利の最高裁違法判決以前からずっと同じ貸金業者から借金している人に限っては、過払い金が発生している可能性があります。

その過払い分の金額はまず元本に充当されて、それで実質元本が減額されることはあり得ます。そして、元本に充当されてもなお過払い金が残っている場合は、その過払い金の返還請求ができることになります。

つまり、そもそも過払金の請求は違法な金利設定で本来支払う必要のないのに支払ってしまった利息を再計算して取り戻すという当たり前の一般原則の効果であり、厳密にいえば「任意整理」特有の効果ではなく、ここでいう「任意整理」のメリット領域ではないのかもしれません。

でも「任意整理」する際に利息制限法の再計算をやるのは一応定番といえるので、それで、過払い金の存在が判明したら「任意整理」だけでも借金(元本)が大幅に減る可能性があるのです。そういった可能性があるという意味で、これもメリットの一つと言ってかまわないでしょう。

ただ、これは過去に利息制限法の上限金利を超える金利で借金していればの話で、大手の消費書金融は早くて2008年の中旬、遅くても貸金業法改正の2010年6月までには利息制限法が規定する上限金利まで金利を下げているはずですから、それ以降に借金をしている人にはメリットには入らないでしょう。

弁護士等が「受任通知」を債権者(貸金業者)に発することで、取り立てや催告が禁止される

借金の取り立てに悩まされていた債務者にとって「受任通知」が持つ取り立て禁止の効果は、平穏な生活を取り戻すこの上なく貴重なものです。ただ、これも「個人再生」「自己破産」などの債務整理をやるときも、必ずやることであり「任意整理」特有のものではありません。

「利息」の支払いは免除される

未払い利息(経過利息)、将来利息、遅延損害金といったものは免除されます。これによって消費者金融やカードローン、クレジットカードといった金利の高い借金の利息がカットされます。その恩恵は大きいです。

複数ある中で特定の借金だけを「任意整理」の対象から除外することができる

「個人再生」「自己破産」は特定の借金だけを債務整理の対象から外すことはできませんが「任意整理」は債務整理することで迷惑をかけるのが本意でない債務、そもそも債務整理したくない債務を選択して、それを「任意整理」の対象から外すことができます。

例えば、前者でいえば、勤務先に対する債務、友人に対する債務などであり、後者でいえば自動車ローンとか、住宅ローンとかです。

【※なお「個人再生」では住宅ローンに限っては債務整理から外すことができます(住宅資金特別条項・住宅ローン特則)】

返済期間の見直しにより、月々の返済額を減らすことができる

月々の返済額を減らすということは、返済期間を延びることを意味します。返済期間が延びるということは一見債務者にとっていいことですが、利息がかさむことになります。でも、③で述べたように将来利息が免除される「任意整理」では、そのような心配はいりません。

利息を除外された元本だけを原則3年間、特別の場合は5年間で分割返済することになります。

裁判所は介入しないので、七面倒くさい複雑な法律手続きが不要で費用も安く短期間で済む

「任意整理」は私的な解決方法なので裁判所が介入してくることはありません。だから、出廷して裁判官との面談とか、書類提出とか、複雑な法的な手続きを経なければならないとかは不要で、予納金といった裁判費用もかからないので精神的にも楽です。

もちろん、弁護士や司法書士といった専門家に依頼することになりますが、その費用だって1社あたり相場で2~3万円くらいで「個人再生」や「自己破産」と比べてはるかに安価です。

さらにいえば、裁判所から、または債権者(貸金業者)から郵送物が届くことはないし、弁護士や司法書士との連絡方法について事前に相談しておけば家族・知人などにバレることはまずありません。

一括返済を前提としての交渉なら、元本を減らすことも可能である

①の冒頭で述べたように「任意整理」では元本自体を減らすことは難しいです。でも、もし、親とか兄弟とか近しい人からまとまった金額を借り受けることができ、一括返済することができるなら「一括返済するので、少し元本を減らしてくれ!」と交渉することができ、交渉具合によっては元本を減らすことも可能です。もちろん、これは交渉事になるのでどうなるかわかりませんが、可能性はあります。

「官報」に名前、住所は載らない

「官報」とは政府が発行している新聞みたいなもので、裁判の結果や新しい法律の公布などの情報が掲載されていますが「任意整理」は裁判所とは一切関係がないので名前、住所が載ることは一切ありません。ちなみに「個人再生」「自己破産」は必ず裁判所が絡んで来るので「官報」に名前、住所が載ることになります。

要するに「任意整理」は、他の債務整理手法と比べて何か注目すべき積極的なメリットがあるわけではありませんが「自己破産」や「個人再生」よりも手続きが柔軟で自由なスタンスで解決が図れるので、利用しやすいという点がメリットです。言ってしまえばデメリットが少ないという点がメリットといえるでしょう。

(3)「任意整理」のデメリット一覧

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「任意整理」は基本的には元本を減らすことはできない

「任意整理」は、(2)の①で述べたような場合は除いて基本的には元本を減らすことはなく利息の免除だけです。だから、金利の高い借金でないと大きなメリットはありません。

3~5年間で全て完済できる安定かつ継続的な収入源があることが必要となる

「任意整理」は、何度も言いますが、借金が減縮されるにすぎずなくなるわけではありません。その借金を返済する原資・収入手段は必ず必要となります。元本金額を3年から5年にかけて分割で完済する収入源が必要であるということです。

債権者側(貸金業者側)が「任意整理」の申し出に応じてくれないケースもある

「任意整理」はあくまで私的レベルでの任意の交渉、話し合いにすぎないので、そこには裁判所が介入しての強制力はまったくありません。だから、貸金業者としては「任意整理」の申し出に応ずる法的義務はまったくないし、合意する義務もないということです。

したがって「任意整理」の場合、(2)の②で示したような債権者側(貸金業者側)に提示した減額返済案が元本返済に向けて継続性のあるきちんとしたものであっても債権者側(貸金業者側)がその案に合意しないならば「任意整理」を諦めなければならなくなるという事態もあり得ます。この点は仕方がないところです。

個人情報信用機関に登録される

これは、他の債務整理手続と共通で信用情報機関に事故情報として登録されます。いわゆるブラックリストに掲載されるということです。「任意整理」の場合は事故発生日から5年間は消すことができなくなります(JICCの場合)。

もっとも「任意整理」を事故情報として個人情報信用機関に登録するのは「日本信用情報機構(JICC)」の消費者金融系(サラ金系)の貸金業者・信販会社系の信用情報機関のみです。その期間中は新たに融資や借入れを受けたり、クレジットで買物をしたり、ローンを組んだりすることが非常に難しくなります。これが最大のデメリットといえるかもしれません。

すでに開始されている強制執行を中断することはできない

すでに、借金の回収で民事訴訟や支払督促といった法的手続きを起こしている場合は基本的には「任意整理」はできません。

ましてや、裁判手続きがさらに進んで、すでに「差し押さえ」や「強制執行」が開始されている場合は「任意整理」によってそれらの手続きを中断することはできません。そこまで裁判手続きが進んでいる段階で、裁判外の「任意整理」を持ちだされても、債権者側(貸金業者側)としては裁判上での解決(裁判上の和解も含めて)を目指した方がメリットがあるからです。もちろん、法的措置を取り下げてくれればいいのですが・・・

だから「任意整理」を主張するタイミングは、相手方はまだ何ら法的措置に着手していない段階でしょう。

ちなみに「個人再生」「自己破産」の場合は裁判所が介入するので、それらの開始決定と同時に強制執行手続は中断されます。「個人再生」「自己破産」手続きが完了すれば、それらの手続きは失効します。

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