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「個人再生」成立後の返済途中で「早期返済」「繰り上げ返済」するときの注意点?

      2018/01/11

 

(1)「個人再生」における早期返済、繰り上げ返済の可能性

「個人再生」とは、裁判所に申し立てて法律の規定に沿って借金が減額される債務整理方法です。

「任意整理」との違いは、裁判所の介入が必須で債務者の再生計画が裁判所によって認められることを条件に、法律の規定に則って一方的に減額されます。だから、そこには両当事者の合意は不要で、しかもその減額の度合いが「任意整理」と比べて大幅に増し元本も含めて減額の対象となります。

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このように大幅減額が可能でも再生計画に沿って借金返済途中に、思いがけなく宝くじの大当たりが出たとか、相続で遺産を譲り受けたとか、そういった臨時収入が出た場合、一気に借金返済に回して借金をチャラにしてしまおうという気持ちになるのも十分ありえます(期限の利益の放棄)。

また、個人再生で減額された債務には利息が付かないので、その点で返済期間が短くなることで生ずる債権者側のデメリットもなく、債権者が拒む理由もありません。もちろん、債権者の同意は要しますが・・・。

さらにいえば、法律上は「個人再生」で返済途中に早期返済、繰り上げ返済をしてはいけないなんていう規定もありません。

よって「個人再生」後の債務者の早期返済、繰り上げ返済は可能というべきでしょう。

(2)早期返済 繰り上げ返済する場合の注意点① ~債権者平等の原則との関係~

ただ、それが可能だとしても「個人再生」の場合は、債権者の利益を十分に配慮しなければなりません。「個人再生」の成立にあたっては、基本的に債権者の同意がなくてもきちんとした再生計画さえ整えば法律の規定でもって一方的に減額されてしまうので「債権者平等の原則」は厳格に順守しなければなりません。

「債権者平等の原則」とは、一言でいえば『借金の返済に関しては全ての債権者を平等に扱わなければならない』ということです。

例えば、Aには合計1000万円の借金があって、その内訳としてBには500万円、Cには300万円、Dには150万円、Eには50万円の借金を負っていたのを「個人再生」が認められて民事再生法の規定により5分の1の200万円に減額され、それを3年間で完済していくことになったとします。 

(※民事再生法で債権額が500万円を超えて1500万円までは借金総額の5分の1に減額されます)

「個人再生」の場合、裁判所が介入して、債権者間の不公平な扱いを回避するために利害関係を有する債権者全員を共通の土俵に上げて一括処理を目指すわけだから、200万円に減額された債権額は「債権者平等の原則」の適用により債権者B.C.D.Eが持っている債権額に応じて平等に比例配分されなければなりません。

その結果、それぞれがもつ債権額はBは100万円、Cは60万円、Dには30万円、Eは10万円になります。そして、それぞれ完済時期には差が出るかもしれませんが、3年間で全て完済するのです。

したがって、当然に早期返済、繰り上げ返済をする場合でも「債権者平等の原則」に反するような返済の仕方は許されません。

例えば、臨時収入額が減額された金額の200万円を超える300万円だった場合は、それだけで借金額を満たしているわけだから、これまで返済した分があるはずで、それに臨時収入の一部でも合わせると明らかに借金は完済し終えることになるでしょう。この場合はそもそも足りているわけですから「債権者平等の原則」が表舞台に出る必要もありません。

では、臨時収入額が200万円に足りない100万円だった場合はどうなるのでしょうか?

この場合こそ「債権者平等の原則」が表舞台に出てきます。100万円を各債権者が持つ債権額に応じて比例配分されて、Bには50万円、Cには30万円、15万円、Dには5万円が加算返済されます。

臨時収入額100万円を特定の債権者に対する借金のみに充てて他には充てないとするのは、明らかに特定の人に対する優遇処置であり各債権者間で不平等を生じ「債権者平等の原則」に違反して許されません。

 

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(3)早期返済 繰り上げ返済する場合の注意点② ~個人再生からまだ日が浅い場合は要注意~

これまで述べたように「個人再生」に基づく返済が開始された後の早期返済、繰り上げ返済は、債権者側でも特に拒否する理由はありません。

でも「個人再生」は債権額が大幅に減額されます。そして債権者側は基本的にはそれを甘受しなければならない状況に至るのです。

にもかかわらず「個人再生」が成立してまだわずか数か月しか経っていないのに、臨時収入があったといって余裕をもって一括返済を申し出て借金を完済させるのは、債権者側に立った場合、事実は違うとしても、人によっては「そんなに財産があるのなら、個人再生前にきちんと返済してもらいたかった!ひょっとしたら財産を隠していたのではないか?・・・・」と痛くない腹を探ってくるケースだってありえるのです。

だから、債権者にそんな不信感を抱かせないようにするためには、仮にまだ日が浅い段階で臨時収入を得たとしても、それはかかる返済には使わなくて今後の緊急時に貯金しておくとか、仮に返済に充てるとしても十分検討したうえでの無理のない個人再生計画であるはずだから、しばらくはその計画に沿った返済を進めていって折を見て実施していくのがいいかもしれません。

もし、本当に不正を狙っての画策だったなら「詐欺再生罪(民事再生法255条)」にあたり刑事罰が科せられる恐れがあります。

(4)まとめ

「個人再生」が成立し返済途中の早期返済、繰り上げ返済は「債権者平等の原則」との絡みとか、返済を申し出るタイミングなどは、十分に注意する必要があります。

だから、独断で決めるのは避けて「個人再生」を申し立てる際にその手続きをお願いした司法書士または弁護士の専門家に相談するのが賢明です。

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