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「分割払い」「リボ払い」といったいわゆる【割賦払い債務】の時効開始時期(起算点)は?

      2018/01/11

< 目 次 >
(1)問題の所在
(2)この問題について二つの考え方があります
① 債権者の意思表示は不要で直ちに時効が開始する考え方
② 債権者の意思表示があって初めて時効が開始する考え方

(3)二つの考え方の評価
(4)もし「期限の利益喪失条項(約款)」の特約が付いていなかった場合
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(1)問題の所在

借金をしたら、当然に決められた期限に返済しなければなりません。

クレジットカードとか、消費者金融とか、銀行のカードローンなどを利用して返済方法は分割で行う場合、分割回数をきちんと決めて、毎月返済していく典型的な「分割払い」の方法、最初に分割回数を決めないで毎月々返済していく「リボ払い」の方法、そのほかボーナス2回払いとかあります。

参考記事「分割払い」と「リボ払い」の違い多くの金融機関が採用している「リボ払い」について考えてみる

これらは、分割と割賦とは定義上の違いはあるといわれていますが、総じて「割賦払い債務」といってかまいません。

このような割賦払い債務の場合、往々にして「期限の利益喪失条項(約款)」が付けられているケースが多く、この場合債務者が1回でも月の返済を怠った場合、残りの借金ににつき時効の開始時点(起算点)はいつか?といった問題があります。

例えば、AはBとの間に100万円を月々20,000円の50回の分割払いで返済する旨の金銭消費貸借契約を結びました。ところがAは5回目の返済時に滞りが生じてしまいました。この場合、残りの借金全てについて消滅時効はいつから進行するのか、起算点はいつなのか、ということです。

「期限の利益喪失条項(約款)」とは、債務者が一回でも支払いを怠ったときは「期限の利益」を放棄され、直ちに借金の残額を一括で支払う義務を負う旨の特約をいいます。つまり、債権者は直ちに債務者に残額の一括請求ができるということです。

     ※「期限の利益喪失」とは?「期限の利益喪失条項(約款)」とは?

(2)この問題について二つの考え方があります

この特約があることによって、先の200万円の借金の事案で残金すべての時効の起算点はいつか?

①債権者の意思表示は不要で直ちに時効が開始する考え方

「期限の利益喪失条項(約款)」があることで、債務者Aが1回でも返済を怠ったら債務者Aは「期限の利益」を喪失するので、借金の残額すべて(Aは4回まで返済したわけだから残金は920,000円となる)について弁済期が到来し、よって債権者Bにとって時効成立の要件の一つである「権利の行使ができるようになったこと」が満たされるので、1回でも返済を怠った時点で920,000円すべてに時効が開始します。

②債権者の意思表示があって初めて時効が開始する考え方

「期限の利益喪失約款」があって、債務者Aが返済を怠ったとしてもその時点で直ちに時効が開始するのではなく、債権者Bが債務者Aへ残額全部(920,000円)を支払えとの催告の意思表示があって初めて、その意思表示がなされた時点に借金の残額すべてに時効が開始します。その意思表示ががなければ、月一回の個々の返済期日ごとに時効は順次開始するということです。

 

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(3)二つの考え方の評価

②の考え方の根本には、期限の利益を喪失させるかさせないかは、債権者の自由に属するもので債権者の意思を反映させるべきだという考えがあります。
①の考え方は、時効の成立要件の一つである「権利の行使ができるようになったこと」を矛盾なく貫いている考え方で分かりやすい。②の考え方は債権者が権利行使しようと思えば簡単にできるはずにもかかわらず、債権者が権利行使するまで時効が開始しないとするのは債権者にとって都合が良すぎると批判します。

なお、判例実務は②の考え方に従っています。

(4)もし「期限の利益喪失条項(約款)」の特約が付いていなかった場合

この場合は、そのような特約がないわけだから月一回の個々の返済期日ごとに時効は順次開始するということになります。ただ、返済が滞った月の返済分について相当期間定めて〇〇日までに返済しなければ契約の解除すると通知して、もしその期間内に返済がなければ契約解除の通知とまだ返済期日が来ていない返済分も含めて借金の残額すべてを請求できます。だからその時点から時効が開始します。

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